十三仏 「仏像イラストは(有)レイランドの著作物です。」

真言宗は、「十三仏」と称して多くの仏さまの中から特に慈悲深く、私たちに直接救いのみ手を
差しのべて下さる仏さまです。

十三仏さまは、あまたの御仏さまの中でも、私たちにもっとも身近で、古くから信仰される13の尊い仏さまです。この世に生きる我々のお守り本尊であると同時に、来世の、つまり先祖供養の仏さまでもあり、年忌の際には必ず御本尊として拝まれています。

13の御仏たちは、それぞれに違った徳(特性、役割)を持ち、それぞれの働きを以て私たち一切衆生を救済されます。そして、私たちの心が真に救われ、すべての世が浄土となることを願って精進されているのです。
 いまも、十三仏を訪ねて、 多くの方々が各地の名刹十三ヶ寺を巡拝しています。

第1番  初七日

亡者の未練を右手の剣で断ち切り、左手の絹索で導く。 迷いを断ち切り、悪障を焼尽し、心願成就へ向かわせる。
不動明王
[アチャラ・ナータ]

御真言 
のうまくさんまんだ、ばざらだん、せんだん、まかろしゃだ、そわたや、うんたらた、かんまん

お不動さまは右手に剣、左手に絹索をお持ちになり、背に火焔を背負って憤怒の形相をし、大盤石に座しておられます。大日如来の化身として諸尊の先頭に立ってお救い下さいます。
第2番  二七日

無常の理を説き、不安を除く。 道理を示し、不安を除く。
釈迦如来
[シャーキャ・ムニ]

御真言 
のうまくさんまんだ、ぼだなん、ばく

お釈迦さまは仏教の開祖。今から2500年前にインドの菩提樹の下で、世の中の道理、自然の摂理を体得し、一切の迷いを離れて悟りを開かれました。
第3番  三七日

釈迦の説法を生かす智慧を説く。 いのちを生かす知恵を授ける。「智の菩薩」
文殊菩薩
[マンジュシュリー]

御真言 

おん、あらはしゃのう

獅子に乗る文殊さまは「三人よれば文殊の知恵」といわれるように知恵のほとけさまです。右手の剣は「諸戯(しょけ)を断つ」といわれ、愚かさを切る智慧の剣です。
 
第4番  四七日

文殊の智慧を生かす行を説く。 いのちを生かす活動を助ける。「行の菩薩」
普賢菩薩
[サマンタバドラ]

御真言 
おん、さんまや、さとばん
普賢さまは六牙の白象に座しておられます。ほとけの慈悲の活動を「普賢の行願(ぎょうがん)」というように、救いの行の菩薩さまです。
第5番  五七日

えんま王の裁きの時。亡者を救済する。 ぬくもりの菩薩。特に子どもを守る。
地蔵菩薩
[クシャティガルバ]

御真言 
おん、かかか、びさんまえい、そわか
大地のぬくもりをあらわすお地蔵さまは六道衆生を救うほとけさまです。六道とは地獄・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道(人間界)・天道(天界)の6つで、全ての生きとし生けるものに救いの手をさしのべて下さいます。
第6番  六七日

第二の釈迦として説法を引き継ぐ。 心を落ち着かせ、正しい判断を助ける。「定の菩薩」
弥勒菩薩
[マイトレーヤ]

御真言 
おん、ばいたれいや、そわか
 
「第二の釈迦」といわれる弥勒さまは、未来の世にお釈迦さまと同じ如来となってこの世に降り立つお方で「未来仏」ともいわれています。常に心を鎮め、衆生を救う思いをこらしておられるため、心を清めるお徳をお持ちです。
第7番  七七日

満中陰。新たな身を授ける。 身体の健康を守る。
薬師如来
[バイシャジャ・グル]

御真言
 おん、ころころ、せんだり、まとうぎ、そわか
お薬師さまは左手の薬壺が示すとおり、私たちの健康を守って下さる仏さまです。日々無事、健康に過ごせることが最も尊いことだということを教えて下さっている仏さまです。
第8番  百ヶ日

阿弥陀の脇侍として、亡者を蓮の台にすくい上げる。 やさしさを授け、慈悲の活動を助ける。「慈悲の菩薩」
観世音菩薩
[アヴァローキテーシュヴァラ]

御真言
 おん、あろりきゃ、そわか
 
阿弥陀さまの左におられる観音様は慈悲の菩薩さま。願いに応じて様々に姿を変え、私たちを見守って下さいます。
第9番  一周忌

阿弥陀の脇侍として、亡者を先導する。 仏の智慧を授ける。
勢至菩薩
[マハースターマ・プラープタ]

御真言
 おん、さん、ざん、さく、そわか
阿弥陀さまの右におられる勢至さまは智慧の菩薩さま。お姿は聖観音(しょうかんのん)さまにそっくりですが、頭の宝冠に水瓶がついています。そこから智慧の力をふりそそぐのです。
第10番  三回忌 

極楽の教主として、亡者を教化する。 安らぎの世界(浄土)を示し、安らかな暮らしを導く。
阿弥陀如来
[アミターバ、アミターユス]

御真言 
おん、あみりた、ていぜい、からうん
阿弥陀さまは西方の極楽浄土の教主さまです。極楽の住人を正しく教化するため説法に努められています。
第11番  七回忌 

新たないのちに向け、堅固な意志(金剛)を授ける。 迷いにうち勝つ強い心を授ける。
阿しゅく如来
[アクショーブヤ]

御真言 
おん、あきしゅびや、うん
 
阿弥陀さまと反対、東の浄土におられるのが阿シュクさま。「無動如来」ともいわれ、動じない堅固な意志を持ち、魔を下す強い力をお持ちです。
第12番  十三回忌 

宇宙の根本教主として、一切の衆生を見守る。
大日如来
[マハーヴァイローチャナ]

御真言
 おん、あびらうんけん、ばざらだどばん
 
天地宇宙の中心であり全てである仏さま。一切衆生は大日さまの深い優しさと限りない厳しさに満ちた大いなる懐に抱かれています。
第13番  三十三回忌 

安らぎを与え、「菩薩(完成された人格)」として生かしめる。 大空の心を授け、理想の姿を示す。
虚空蔵菩薩
[アーカーシャ・ガルバ]

御真言 
のうぼう、あきゃしゃ、ぎゃらばや、おんあり、きゃまり、ぼり、そわか
 
虚空蔵さまは、大空のこころを体現する菩薩さまです。平穏に安住することなく菩薩道を実践し続けることを表すため、根本教主大日如来さまのあとに、十三佛のしんがりとして登場されます。