初めての四国遍路 (阿波一国23寺 区切り打ち)

    1.  平成16年7月30日(金)から8月2日(月)まで     1番から12番
    2.   平成16年8月 7日(土)から8月8日(日)まで    13番から23番
    3.  平成16年9月3日(金)から9月5日(日)まで     24番から32番
    4.  平成16年10月2日(土)から10月4日(月)まで   33番から43番
    5.  平成16年11月12日(金)から11月14日(日)まで 44番から53番 
    6.  平成16年12月11日(土)から12月13日(月)まで 54番から66番 
    7.  平成17年1月8日(土)から1月10日(月)まで    67番から80番
    8.  平成17年2月11日(金)から2月13日(日)まで   81番から88番、1番、高野山へ

 初めての遍路です。    

なんとも、とんでもない夏台風で、すべての計画が変更です。でも、やっとはじまりました。


関西のお寺めぐりとは、随分違います。
仏像を鑑賞したり、寺の伽藍をのんびり見るものとは違います。

きっと、自分の内に有る、信仰の心を沸き立たせ、また常に
自分に自問自答する中で、先の長い道のりにおいて「行」ずる
本来のあり方が、ここにあるようです。







日時 行程 出会い 人・自然 時々の思い
7/30(金) 
9:20


11:15

和歌山港  
南海フェリー

徳島港 着
女性のお遍路さんひとり。
台風が気になります。今日は、フェリーが動いています。晴れ。 いよいよ夢に見た四国巡礼の旅がスタート。不安がいっぱい。自分がどんなふうに変わっていくのか、期待もいっぱいです。
12:00

13:00
板東 霊山寺前 売店
準備に一時間もかかりました。

車は、駐車場において山門から霊山寺へ
お店でいろいろ教えてもらえます。
菅笠の紐をつけていただき、耳の横でくくるとあせもができないそうです。
真夏の太陽。午後の出発は、覚悟の上です。 店の方に相談しながらできるだけのものを揃えました。教えを請うのは、いいですね。
輪袈裟は、薄紫のです。何も書いていないのが欲しかったんです。
これでどこのお寺にも「正装」でお参
りできます。
13:00
14:00
霊山寺
第一番
霊山寺
(りょうぜんじ)

釈迦如来
山門を入ってすぐ左手に石の十三仏と縁結び観音があります。
とにかく山門で一礼。

本堂に受戒の方用の椅子が並んでいます。
何からしたらいいのかまったく分からずに、線香・ろうそく・賽銭・納め札・写経、数珠・経本・・・
どうして、カッコつけようとしてしまうのだろう。不慣れを恥ずかしいとおもう気持ち。いつ捨てられるかなあ。
歩き お遍路出発 ほとんど村の中です。アスファルトが熱いです。
あちこちの案内が安心。 菅笠、金剛杖、おいずる、頭陀袋。道行く車からの視線が、気恥ずかしいです。まだまだ旅心が定まりません。
14:15

15:00
極楽寺
第二番
極楽寺
(ごくらくじ)

阿弥陀如来
第一番札所から1.1km
「長命の杉」に紅白の緒が二本つないであって、端を持ってお祈りします。木を触って、体の悪いところに当てるといい。
大きな仏足石でした。
お経を上げていると、体長3ミリほどの蜘蛛が、上から降りてきて、腕から経本を歩いています。なんとか読み終わり、そっと賽銭箱に下ろしてあげました。 納経所の売店で、見ると一番のお店より2割は安い。実は、8月1日にもう一度寄って、杖袋を購入。
歩き 最後の金泉寺裏に、やっとあぜ道のお遍路道がありました。 炎天下、2.7kmが45分もかかりました。暑い。
あぜ道で、草刈のおじさんが、ほんとうににこやかに挨拶してくれました。
田んぼのあぜ道に入ると、頭を垂れかけた稲穂の中に10数羽の白鷺が虫をついばんでいました。
咳き込んで、驚かせてしまいました。ごめんね。
こうした、人との出会いに教えられ、また気づくことがあるんだろうなあ。やさしい人間になりたいな。
 挨拶というのは、とても大事なものですよね。
15:45

16:15
金泉寺
第三番
金泉寺
(こんせんじ)

釈迦如来
 第二番札所から2.7km
あの竜のお不動さまが、剣に巻いています。お世話のおばあさんが帰るときだったのにお水を出してくれました。いっぱいかけなさいって。
「黄金井」に姿が映りましたよ。
どうやら遍路道は、お寺の裏から入ります。帰りに山門をくぐるとき、一人歩きの青年遍路と出会いました。「こんにちは」が、さわやかです。
やっぱりお参りは、40-50分かかりますね。
お経もきちんとあげると時間がかかります。もうくたくたでした。
16:20 坂東タクシーを電話で呼んで、霊山寺まで お寺を出て、大きな道に出ましたが、タクシーが流しているような町ではないですね。例のお遍路ガイドに番号がありました。 電話して目印のお店「こんせん」うどんと言って、遍路姿ですっていったら、5分もしないできてくれ ました。 やっぱり方法が違ってますね。でも、車でないと家からの往き帰りがね。もっと考えないと。
16:25
 車
17:30
香川
塩江温泉
霊山寺に止めてあった車で60分かかりました。汗だくです。 たった半日ですが、いい日でした。 なにしろ民宿はどうもだめなので、旅館を探したのですが徳島中のホテル・旅館が「全国高校芸術祭」 とかで、満室ですから車で塩江温泉に予約していました。
7/31(土)
6:30
H出発 昨日のタクシーに乗ったところまでいきます。旅館は朝早いのと、夏なのでおにぎりも・・ということで朝ごはん抜きです。 朝から、雨が降っています。台風がどうやら高知県に上陸する時刻。
風は、ありません。
台風が気になります。早朝から雨が降っています。これからきつくなる予報です。
 まあ、いけるところまで行こうということで、早朝出発です。今日は車にします。雨と危険防止です。無理しないでいきます。
8:00

8:50
大日寺
第四番
大日寺
(だいにちじ)

大日如来
 第三番札所から6.4km
山すそにひっそりたたずむお寺です。誰もいません。静かにお祈りをしました。
33体の観音様がガラス戸に並んでいます。
納経所の外のバケツに、いっぱいの蓮の花。おそらく供花するのでしょう。
雨の中、ツバメたちが忙しそうに飛んでいます。
「梨花一枝 春、雨を帯ぶ」長恨歌の一節が浮かびました。こころは、静かです。
9:20

10:00
五百羅漢 受付のおばあさんが、雨の中来たことをねぎらってくれます。コの字型のお堂に何体の羅漢がいたでしょう。 風も少し出てきて、雨はときおり強く降っています。
羅漢たちの中に、必ず誰かに似た人がいるといいます。無意識に、5年前他界した父の顔を探していました。
10:05

地蔵寺
第五番
地蔵寺
(じぞうじ)

地蔵菩薩
第四番札所から2.5km
愛染堂に行きたくて、道を尋ねると、納経所の方がわざわざ紙に書いてくださいました。 「近くだからがんばって」って。
地蔵さまは、六道どんな場所にも現れて救ってくれます。今日の雨も、危険がないように。
歩き 遍路道では
ありません
村中を橋を二つ過ぎて
すぐです。
道には、体長1cmほどの小さなアマガエルがいっぱい飛んでいます。踏まないようにしっかり見ないと。 登山用の雨合羽上下。完全防水登山靴。どんな雨も大丈夫。でも、杖と笠はもったいないのでやめました。
10:40 愛染堂

 かなりのお年の老婆が出てきて、台風なのにといたわりの言葉をいただきました。大師堂で火が灯り 読経が。私もお堂に行くと、なんと老婆は尼僧でした。普段着ですが、中でお祈りされています。
 
白と茶色の犬が、山門でお出迎え。
あの犬もちゃんとお堂の前で尼僧を待っています。

本尊は不動明王ですが、愛染堂といいます。ご真言を21回。
わたしは、愛染さまをお祈りしていますから、特に感慨が深いです。
「どこからきたの?台風だから無理しないでね。」尼僧の言葉は、穏やかな響きがあります。
12:00 地蔵寺に戻る 本当は4番に向かうのですが、私は5番に。
途中、村の中で道を間違えました。
村の細い道には、あちこちに無縁仏の墓石があります。自然と手を合わせますね。
行き倒れた人。無縁仏。様々な人が、いろいろな思いで通った道ですね。
蛙に注意です。
 車
12:30

13:20
安楽寺
第六番
安楽寺
(あんらくじ)

薬師如来
第五番札所から5.0km
お堂の扉が、台風よけに板でふさがれています。横から入りました。でも、大師堂は完全に閉鎖でした。 しかたなく、お堂の前でお経をあげました。
納経所の二人の老人以外誰もいない。
お堂でお経をあげるのが恥ずかしかったです。
ご本尊の左の側に、小さな愛染明王が いらっしゃいました。感激しました。

 車
13:35

14:00
 車
十楽寺
第七番
十楽寺
(じゅうらくじ)

阿弥陀如来
第六番札所から1.1km
そろそろ風も強くなって、お寺のろうそく立てもガラスを外し、台風に備えるということです。
もう、無理しないで今日は帰りなさいと、お寺の方に言われて、宿にもどります。
人の言うことを、素直に聞き入れられるそんな人でありたいな。弁解や無意識の抵抗・対抗意識を捨てよう。
15:00 香川塩江温泉に戻りました。 誰もいない大浴場。
台風ですもの。

この時期、徳島や香川は、全国高校芸術祭とかで、すべてのホテル・旅館が満室です。
外は強い風と激しい雨です。和歌山の高校生が、台風で「文化祭」が延びたのでと、ホテルで急遽ミニコンサートが始まりました。
伝統芸能の部とかで、十数人の太鼓です。ロビーに集まった宿泊客に、練習を兼ねての上演です。

すばらしかったですよ。さすがに県代表です。翌日の本番でいい成績だったらいいのですが。
 部屋で、写経をしました。納め札に名前を書きました。一日に20枚くらいは必要ですね。日付は、「吉日」と入れるのが一般的?
私は、きちんとその日を書きたいな。
8/1(日)

6:15
 車
昨夜の風は、谷あいの温泉にはきついものでした。 早出します。行ける所まで。車です。テレビでは、大雨洪水警報が。 おいずるが長くて、合羽から裾が出ます。 雨が私の進路を塞ぐのなら、私はそれに向かっていこう。試練なのか、警告なのか。
今までも、お参りはいつも雨だったから。
7:00

7:40
 車
熊谷寺
第八番
熊谷寺
(くまだにじ)

十一面千手千眼観音
第七番札所から3.8km
7時前に着いて、山門を見に行きました。それからお参りに本堂へ。まだ扉が閉まっていましたが、開けにきてくれました。
朝、一番のお参りは気持ちいいです。雨はこやみなく降っています。 お経を上げるとき、うまく息継ぎができません。そのうち、うまくなるかな。
やっぱり、菅笠、杖を持ちたいな。
両側が田んぼの農道をいくと、ぽつんとお寺がみえます。 駐車場に一台の車が。
「葛の花踏みしだかれて色あたらしこの山道をゆきし人あり」 釈 迢空 おはようございますの言葉が、とてもうれしいですね。
8:00

8:30
 車
法輪寺
第九番
法輪寺
(ほうりんじ)

釈迦如来
第八番札所から2.7km
地方からの巡礼でしょうか、4人づれの方です。
涅槃の釈迦如来(秘仏)
みたかったですよ。
ひっそりとした、雨のお堂を眺めながら、しばし一服。
車道 「うどん一」 朝食抜きでした。途中の通り沿いに新しいうどんやさん。もう開店しています。 愛想のいい奥さん。コーヒーがただ。「釜玉」350円
これぞ讃岐うどん。
壁になにげなく「週間ポスト」の取材記事が貼ってありました。結構すごいうどん屋さんかも。おいしさも気持ちで変わるものなんですよね。
9:20

10:00
 車
切幡寺
第十番
切幡寺
(きりはたじ)

千手観音

第九番札所から4.3km
噂の333段。昨夜の風に階段は杉の小枝や竹で時々歩きにくい状況です。でも、引かれている気分です。 上の本堂で、ご夫婦遍路に声をかけていただきました。下りの石段では、一人遍路の方とすれ違い
降りるとき、次に上がってこられる方のために、枝や木を横にのけながら降りました。なぜか当然の気持ちです。
10:30

11:10
 車
藤井寺
第十一番
藤井寺
(ふじいでら)

薬師如来
第十番札所から12km
濁流の用水路のそばを通り、有名な藤棚を見ながら本堂に。
お祈りしていると、にぎやかな4人組み。すぐに納め札入れに手を入れて金・銀の札あさりです。
「金の札があった。1.000円で売れる。これも台風の日に来て、お大師さんのおかげや」。(不悪口、不瞋恚)
車道 昼食 まだお昼前だし、風もないから、がんばって焼山寺まで車で走ろう。
途中の神山町「道の駅」で栗アイス。パンで昼食。

無謀とは、無知の上に、判断力をもたない行動ですね。
「杖杉」に願掛けです。
12:30

13:20
 車
焼山寺
第十二番
焼山寺
(しょうざんじ)

虚空蔵菩薩
第十一番札所から40.3km
途中の山道は、滝のように水があちこちから噴出し、落石と昨夜の風で小枝が散乱していました。 ろうそく立てのブリキの台が、風で倒れていました。
さすがに、私も始めての経験です。がけ崩れを注意しながら、やっとの思いで上りました。
15:30
 車
今夜の宿は、高松です。 やっぱりもうひとつ貴重品入れの頭陀袋と杖入れの長い錦の袋を買いたくて、2番極楽寺の売店に。 売店は、1番のお堂内と駐車場、2番の納経所。
あとはありません。
「焼山寺にいったの?朝から通行止めでみんな帰ってきたのに。行けたの?警報が出てるよ。神山は一番雨の多いところだよ。お遍路宿もみんな台風で満室だよ。」
8/2(月)
9:30
 車
H(高松) ホテルの目の前が、高松城。いつか、80番くらいにもう一度ですね。 午前が時間的に空きました。観光でなく、やっぱりお参りに。 まだ、香川県以外に大雨・洪水警報がでています。思い出しても、怖いです。
でも無事なのは、ご加護ですかね。
10:45

12:30
 車
金比羅宮にお参りに。 階段は600段くらい。以前も何度か来ていますが、今回は短いように思います。
みやげ物屋さんに、歓喜天や各種明王がありました。お正念をいれてませんから、とはいうものの。 おいしい地元の方のいくうどん屋さんを教えてもらいました。「灸まんうどん」。最高でした。
18:00 大阪 到着 瀬戸大橋から倉敷、山陽道で、大阪へ。250km。
饅頭「お遍路に行ってきました」をお土産に。
休みが、もうとれません。今回は、このあたりが限界。絶対、近いうちに晴れてるときに歩きます。13-17番は近いですものね。

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