遍路ふたたび(5)  平成17年8月6日(土)から8月11日(木)

遍路ふたたび(1)東寺出発準備 (2)別格1.2番、1番ー11番
(3)12番-19番、別格3番 (4)20番ー23番、別格4番 (5)24番ー33番、別格5番  
(6)34番ー43番、別格6.7.8番 (7)44番ー53番、別格9番 
(8)54番ー66番、別格10ー15番 (9)67番-83番、別格16-19番 
(10)84番-88番1番、1番、 (11)高野山 (12)別格20番、別格1番 (13)東寺


 
                                          室戸の海は、穏やかでした。


8月5日(金)
  朝5:00大阪から室戸へ260km。
10:30 室戸岬の遍路道入り口に到着。さっそく車を停めて、遍路姿に変身です。



  11時から奥の院のお薬師さまにお参りし、これからの旅の安全をお祈りです。



11:30、あのきつい坂道を登ります。670m。24番最御崎寺二度目のお参り。

    

途中、休憩所でスケッチ若者に抜かされました。上でご本堂をスケッチです。
大師堂の前のベンチにおばあさんが一人。すぐに声をかけられて、クリアファイル
の錦札コレクション自慢と説明です。やれやれ。遍路センターにいって、念願の
五鈷鈴を購入3200円。すごくいい音なんです。



今回は、一般駐車場方面からスカイラインを歩いて下ります。ここからの景色
が見たかったんです。室戸の海を見下ろしながら降ります。

 

途中、観光バスの団体さんがみんな見てるんです。ゆっくり歩きました。55号線を横断して、
海岸を岬に戻ります。今日の室戸は、とても穏やかです。時刻は2時。
旅館「明星(あけのほし)」は、2時半チェックインできます。

みくろど・青年大師像を見て旅館へ。

今日は朝が早かったから、ここでおしまい。



  
   お大師様の手形。                             徒歩5km     室戸泊

8月6日(土)
 室戸の夜明けです。

  7:30出発。岬を回って歩きで25番津照寺まで6.5km。半分55号線です。
  炎天下。港のすぐ横ですが、駐車場はありません。クラウンのおじいさんが
  車でお寺が見つけられずに困っています。「この海沿いに停めればいいですよ。
  お寺はここですよ。」って説明しました。やっぱり2回目の責任ですよね。

  長い階段の途中に鐘楼です。
前回と同じく鐘を撞きました。南無。写経大師

上のご本堂はお地蔵さま。旅の道中安全祈願です。

 さあ、26番金剛頂寺まで、3.8kmです。すぐ空が曇って雨粒がパラパラ。
なんとも気持ちよくて、濡れながらです。室戸病院の橋を渡ったところで
稲刈りの済んだ田んぼ(二期作ですから)のあぜ道でパンを食べました。
 

またまた、バスの団体さんが食い入るように覗くんです。少し進むと遍路道。
やっぱりきついのぼり道。山の遍路道は、石段と急な坂道ですから本当にきつい
ですよ。上りきると駐車場前に出ます。

 厄坂を女坂19段33段、男坂42段。

 

 愛染さまがおられます。稚児大師

お参りを済ませ、遍路道にすぐには行かずに駐車場の
「はらみたや」直行です。ここのアイスクリンが目的です。
買っていると、高知のタクシーの運転手さんが、「泊まるところは決めてるかい。」って
声をかけてくれました。今日は下に降りて、バスで室戸に戻る旨を話し、いろいろな方
法の遍路さんの話を聞きました。「歩いている人には、頭が上がらないよ。」「女房が、
穴禅定で詰まって、引き返したんだ。」と愉快な話。

汗も引いたので、スタートです。
さらに山を登って遍路道に。細くて草むらですが、案内がしっかりあったので
迷わないで下りました。
 

キラメッセ室戸・鯨の館に出ます。昼食時間のせいか、
たくさんの方が順番待ち。中にも入れないし、駐車場の休憩所で上着も脱いで
休んでいると、おばあさんが建物からぶつぶつ言って出てきました。「いくら待っ
ていても順番がこないんだ。もう食べずに帰るよ。」って、私に言うんです。
「そうですか。大変ですね。」なんて話して車にもどって、またくるんです。「これはね、
御茶屋餅といって、おいしいだよ。買ってきたから、半分あげるよ。」といって
10個入りの半分、5個を包装紙に移してくださるんです。「こんなにいりません。
2個いただきます。」というと、「半分っこだよ。」というんです。5個置いて、
そそくさと車で出発するんです。起立・合掌。

思いました。私ならやっぱり2個しかお接待しないなあ。「お接待」とは何?
自分の大事なものを、「半分っこ」できる人になれるんだろうか。ありがとうござい
ます。大福餅5個は食べきるのも大変でしたが、それよりも「半分っこ」の
お教えに、のどが詰まりました。

  東部交通バス「不動岩」15:07発なので逆うちですが半島の先に戻ります。

  

  行ってよかったです。ここは、山頭火も歌を残しています。海側の岩の窪み
  にお大師様がおられます。
  まだ時間があるので、元海岸まで戻ります。バス停の前が、海がめの産卵地だ
  そうです。サーフィン青年たちが波乗り中。
やっとバスが来て、室戸岬ホテル前まで。30分くらいかかりましたよ。よく歩いた
ものですよ。               16km    室戸泊


8月7日(日)
  5時22分、日の出です。ちょっと雲がかかってましたが、室戸の夜明け。
  今日も穏やかな海。前は、刺すような波と音だったのに、今回は雷さんのゆりかご
  のようですよ。時折、ドーンって。
  7:30車で27番神峰寺下までいって28km。

 10:00「ドライブイン27」という遍路先輩たちの日記によく出てくるところに
 車を駐車させてもらいました。とっても広い場所で、観光バスの人たちがここで
 マイクロバスに乗り換えるところです。参道が狭くて、大型バスはいけません。

 ここから往復で8km。二期作の稲刈り中。しばらく車道をいくと遍路道です。

 



あと1.8km。またきついんです。途中、数箇所車道と交差しています。遠回り
でも車道が楽ですね。展望台で全部着替えて、大休憩。往復4時間かかりました。
お山はまた階段です。もう予備のペットボトルも空ですよ。「ご霊水」を2本
いただきました。納経所の前に通夜堂(立派で畳、水屋あり)。

 
   
  



 なんとか下りてきて、ドライブイン27で冷麺をいただきました。

 2時に28番大日寺まで車で向かいます。今日は野市の黒潮温泉に泊まります。
 3時過ぎに大日寺到着。

 後で撮影禁止に気付きました。

バスの団体さんに先達さんが「さあ、あと3ヶ寺行きますよ。」
すごいですね。いったい1日でいくつ回るんでしょう。途中ローソンでカチカチに
凍ったペットボトルを2本購入し、お二人のお歩きさんにお接待しました。若者は
早速額にあてて体を冷やしています。お役に立ててうれしかったですよ。.
                       8.2km   野市 泊

8月8日(月)
  6:30 朝食。釜揚げシラス定食。
 

  

  7:39「のいち」発で「ごめん」まで土佐電鉄。8:00「ごめん」から29番国分寺
まで3kmです。道が狭くて歩きつらいですね。国分寺橋を渡って川沿いに行き、
あぜ道を進むと国分寺の真正面に出ます。茅葺のご本堂。今日はまだ歩きの方を
見ていません。

  

10:30、30番善楽寺まで6.9km。なのですが、出てすぐの遍路道で間違えて、
ひたすら歩いていくと、「国分寺橋」?!えっ!もう1kmくらい来てるよ。
逆戻りです。やっと正規の遍路道に戻りました。途中小学校のそばを通ります。
今日は登校日でしょうか。いっぱい帰ってきます。「こんにちは!」って声をかける
のですが、一人も挨拶しないんです。「変な遍路には、挨拶しないで。」と教えて
いるのでしょうか。むなしく「こんにちは」といい続けていました。

 アスファルト道は、じりじり容赦なく照り返してきます。スーパーで飲料水と
そうめんを買ってベンチで食べました。途中なんと「遍路小屋5号」発見。あり
がたいですね。ノートがありました。私の前に4人の親子の記載。「子供たちも
お大師さんのお呼びがあって、一緒に歩いています。」と。

 

 どなたかの手記に「遍路に出る人は、お大師さまから声をかけられた人です。」
というのがありました。そういう私もきっとお呼びがあったのですね。
 国道に出て、峠を越えます。暑い!階段の遍路道を下りて、すこし行くと善楽寺
です。お参りして納経を済ませて見ますと、木陰に足を痛めたスケッチ青年ですよ。

   

 13:30善楽寺から土讃線「とさいっく」まで1.5km。土佐電鉄「文殊通」まで
 3km。どっちを選ぶか迷いましたが、やっぱり「土佐一宮」。

 

 14:27発で「ごめん」まで。ギターを持った青年遍路(ギター侍君)が駅のホームに
 きました。「どこまで?」「野市へ。大日寺に」だったら「のいちまで一緒ですね。」
 ヒッチハイクだそうです。御免で乗り換え、「のいち」へ。  15km  のいち泊
  

8月9日(火)
  7:39「のいち」から「ごめんまち」下車。のりかえて御免線「もんじゅどおり」下車。
  8:30 2kmで31番竹林寺へ。楽だと思っていたら、遍路道は五台山をまともな山道。

 

朝の山道は、本当にきついですよ。もうふらふら。10:00、ご本堂・大師堂。五重塔
の横に「一言地蔵」(元気に歩けますように)。

  

 一言地蔵様

 駐車場横から遍路道。小さな石を敷き詰めた石道です。立派な遍路道。でも坂が急。

 

下から川沿いに32番禅師峰寺まで5.7km。暑い!途中で大休止。サングラスの恐そ
うな青年に「大丈夫ですか?冷たい水ありますよ。」っていたわりの言葉をもらいまし
た。どうぞお先に。

 五台山に竹林寺の塔を見ながら、川沿いに歩きます。
 

1:00、やっと到着。でも最後の上りの坂はきつかったですよ。
300mほどですが、室戸よりきついかな。でも遍路道からしか山門の正面には出ない
んですよ。上では、土佐湾を見ながらサングラス青年が休憩中。

 あの狸の大師さま。

 お祈りをしていますと、やたらと声のでかい先達さんが。ベンチに座っていると
 「どこから来たの?あなたはいい顔をしている。」と声をかけていただきました。
 なんと錦のお札を2枚もいただきました。高山さんという福井県の方でした。
 納経所で冷たいお茶のお接待をいただいていると、ギター侍君。サングラス青年
 が、「今日はどこまで行かれるんですか?」「次の雪蹊寺までで精一杯ですね。」
 なんて会話を。歩き同士の会話を楽しみました。

 33番雪蹊寺まで8km。でも納経所の張り紙に、「県営渡しは8月9日まで整備の
 ため運休します。代替バスはありません。」だって。桂浜の橋を渡るしかありません。
 ここは、砂浜です。畑は砂。お墓は、墓石が小さな石だけ。両墓制かな?

 炎天下です。アスファルトの照り返しで、目の奥が痛くなってきました。へろへろと
 ローソンまで。日陰で大休止。しばらくすると、サングラス青年が前を通過。手を
 振ると両手を挙げて笑顔です。彼の笑顔は、とっても印象的でした。
   

 さあ、桂浜の大橋です。なんと歩道が50cmくらいなんです。高さは10階建ての
 ビルくらい。ダンプカーはビュンビュン。ひたすら上ります。頂上付近で2箇所退避
 場所。うまい具合に前から来た自転車とそこですれ違いました。途中だったらどう
 でしょう。すべての車から覗き見られてましたよ。私は、車の時は「私の代わりに
 歩いていただいてる。」と思っています。

 橋を渡ったところから左に折れて、階段を下りて下の漁村にでます。でもこの村
 から一切の遍路マークがありません。辻の度に地図とにらめっこ。迷っていると、
 おじさんがこっちだよって。しばらく行くと軽トラが急ブレーキ。バックしてきて
 あっちのほうが近いよ!「どっちなんだ?!」。不安を抱きながらいくと、工場の
 角。事務所に人影。窓をノックして尋ねると、道順コピーを持って出てきてくだ
 さいます。冷たいお茶をお接待されました。本当に仏様のような方でしたよ。

 雪蹊寺橋を渡ると目の前がお寺です。やっと着きました。もう4時を回っています。
 団体さんがきていますから先にご朱印をいただき、ゆっくり汗を冷やしてお参りし
 ます。

 
         真新しいご本堂です。17年7月落慶だったとか。

 ん?入り口に停まった車から、ギター侍君が。「また会いましたね。」
 彼は、先に納経所に行って「本堂で1曲弾いてもいいですか?」だって。おもむろに
 真新しい本堂の前に座って、ギターを出しています。短い曲でしたが、クラシックの
 ような。彼のお経なんですね。「ありがとう。」といいました。今夜はこの近くで泊ま
 るのか、本を出して宿探ししています。(小さな声で)「玄心さんがいなくてよかった
 ですね。」と。


 さて、これからが大変です。どうやって野市まで戻るのか。
 聞きますと、近くから「はりまや橋」までバスがあるとか。とても不安の中、バス停
 へ。「豊岡」行き?!乗ること20分。「南はりまや橋」駅。ままよ!下りると今日は
 よさこい祭りの前夜祭。派手な衣装の若者がうろうろ。すぐに御免線の駅があって、
 御免町まで40分。乗り換えて、ごめんなはり線で「野市」へ。

 夕食は、7時30分を回っていました。今夜でお終いです。明日、大阪に戻ります。
                        17km  野市 泊

8月10日(水)
  朝、ゆっくり食事をして8時に車で、須崎の別格5番大善寺に向かいます。南国IC
  から高速で須崎東まで。お参りです。下の駐車場に車を置いて、下の大師堂は後回し
  で、階段を上がります。お大師さまに。

 

 

 納経所の方が、近寄ってきていろいろお話をいただきました。
 ご朱印帳にもそれぞれの魂が宿るから、大事にしなさい。

 

 別格のお寺は、地元では・・寺とか言わないものもあるんだよ。・・・とても話好きそう。
 お参りの方が来て、解放されました。さあ、一路高速で大阪へ360km。
 車のワイパーノブに五鈷鈴をつけました。時々鳴らして、安全運転と仏の加護を
 感じられるようにしています。夕刻4時に大阪到着。

※ 今のテーマは、「なぜ歩くの?」です。答えは、「お大師さまに呼ばれたから」。
  今回は、『半分っこ』ということを学びました。
  やっぱり歩くと、「これしかない!」と思います。『遍路ハイ』になります。
  気分が高揚し、体はくたくたなのにズンズン前に進むんです。なにも考えていません。
  夕方、宿に着くと満足感だけなのです。時間さえあれば、このままずっと進みたい。
  いつか、通し打ちしたいですね。さあ、次は足摺に向かいましょう。