愛染堂だより(5)(C)2004 RayLand   [長浜 舎那院]

 垂れ込めた雲から落ちる雨粒は、車窓からみえる田植えの稲を育て、ここ近江長浜の

総持寺のぼたんの花に、その珠の恵みを添えています。

 ご本尊のお薬師さまに会いにきました。法界常印に薬壺をもっておられます。地方都市

にそぐわぬほどの大きなお堂です。なんと、その右には、「歓喜天」の金色の小さな厨子。

お薬師さんの後ろには、愛染さま。お不動さん。大威徳明王までいらっしゃる。とてもかわいい

お顔の聖観音さま。見ごたえのあるお寺です。

 雨の中、長浜駅の方に向かって歩きました。長浜八幡宮の標識があります。せっかく遠く

にきたのだからと、参拝に向かいました。ふむふむ。本殿脇に、細い道があります。川の

向こうに古びたお堂が見えます。だれもいません。小さな橋を渡ると、護摩堂と書かれています。

本尊は、左に不動明王、右に歓喜天、と書かれています。でも中は真っ暗でなにも見えません。



やっぱり待っていてくださったんだと、思いもかけず出会えた喜びです。そして、本堂に廻り

ました。誰もいないし、お堂の入り口は閉まっています。ふと見ると、靴を脱いでおあがりください

と書いてあります。そっと入り口の障子を開けますと、薄明かりの中で「愛染さま」が正面に

お座りです。「舎那院」、太閤秀吉が愛染明王をご本尊にしたお寺です。

 左に、「お薬師さん」、右に阿弥陀さま。

 こんな形でお会いするなんて、とても怖くなってきました。

 もちろん、お堂の中は「撮影禁止」です。そとにポスターが

 ありました。記憶に残そうと写真を撮ったのですが、見て

 ください。五鈷鈴から光が!!もちろん、ポスターは色あせて

 ブルーに。本当は、真っ赤なはずですよね。画像をみて

とても驚きました。見た目より、青いのです。

 五鈷杵と五鈷鈴は「金剛薩た」の象徴です。『金剛頂瑜伽金剛薩た五祕密修行念誦儀軌』に
 
「手に金剛杵を持ち、色の光を放つ」とあります。鳥肌がたちました。

それで、画像処理しました。真紅に輝く「愛染さま」の五鈷鈴が

金色の光を放っています。

 「金剛薩た」は、発心の菩薩です。そうして、また菩提心の菩薩

です。その見守られている中で、私たちは苦悩しているのですね。

 どこへ行っても、「愛染さま」が待っていてくれています。最近は、

「歓喜天」さんまでおられます。ほんとうに、怖いです。しっかり

生きないと、「仏罰(ばち)」があたりそうです。

 帰りに、八幡宮の社務所に「阿吽(あうん)」守がありました。

 小さな二つの真っ黒なお守りです。金糸の刺繍で、片方が「阿」、もう一つが「吽」。

 「阿(あ)」は、ものごとの始まり。
  仁王像右側の執金剛神は口を開け「阿」です。「不動明王」の化身で『生善の理想』
 「吽(うん)」は、すべての終わり。
  仁王像左側の蜜迹力士(みつしゃくりきし)は、「愛染明王」の化身で『断悪の理想』


 わたしは、赤い紐のついた「吽」を持つことにしました。

仏教の勉強室
■愛染堂    ■愛染堂だより(1)  ■(2) ■(3) ■(4) (5) ■(6) ■(7) ■(8) 
■(9) ■(10) ■(11)
■愛染曼荼羅 ■歓喜仏 ■愛染敬愛法