愛染堂だより(1)(C)2004 RayLand   [高野山 金剛峰寺]


昨日の季節はずれの雪が、『なごり雪』としてまだ参道に残っていました。

凍てつく土を踏みしめて、高野山金剛峯寺の大伽藍へ。金堂の手前に、

参拝者も通り過ぎる清楚なお堂が、あります。そこが、愛染堂です。

お堂は、閉じられています。正面の扉にわずか覗けるところがありますが、

中は真っ暗です。

想像は、尽きません。消防署前の仏具屋さんのショーウィンドーに

愛染明王の坐像がありました。三面の愛染像です。

三面六臂三目の赤肉色。 頭に獅子冠をかぶり、髪を逆立て、三目で、

牙をむき出して□をカッと開き恐ろしい姿の憤怒(ふんぬ)尊です。

目が三つあります。三界(あらゆる世界)を見通す事を示してます。

腕は六本、これは地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人道、天道の六道

すべてを救うそうです。

右手には手前から順に五鈷杵(ごこしょ)・矢・蓮華、左手は五鈷鈴・弓・握りこぶしです。

五鈷杵と五鈷鈴は健康や息災、時には恋いのライバルや、嘘、不純なモノなどから守るため。

矢と弓は恋愛を叶えるため。蓮華と握りこぶしは、女性の優しさと男性の力強さを表わします。

蓮台の下の壷は宝瓶(ほうびょう)といって真理、智慧、悟り、の三つの徳の宝石がはいっています。

 参考画像です。

お薬師様を巡っているうちに、いろいろ勉強し始めて、不動明王と愛染明王にめぐり合いました。

愛染という名前のとおり、愛情・情欲をつかさどり、愛欲貪染をそのまま浄菩提心(悟りの心)に

かえる力をもち、煩悩即菩提を象徴した明王です。

人が抱くさまざまな欲望は、人間には滅亡へとかりたてる力を持つとともに、時には生きて

いくうえでの活力源となり、より多くのものを可能にし、高める力を持っています。

この両刃の剣である力強い欲望(生への執着)を、悟りを求め自らを高めようとする

積極的な情念として昇華しようというのが愛染明王です。

三つ目の目が縦に見開いているお姿を、まざまざと見ますと、自分の心の奥底を

見透かされているようです。思わず、「自分に嘘はないか?この愛に偽りはないか?」

と問いかけずにはいられませんでした。


あのシバ神が、満身の力を込めて見開いた三つ目の眼光は、すべての世界を照らし

人々を闇の世界から救ったように、愛染さんの眼も私を善男・善女と誘ってくれるでしょうか。

今度、お薬師さん巡りが終わったら愛染さんを巡りましょう。

より強い愛を確かめながら、より深い大きな慈悲心を育てましょう。

仏教の勉強室
■愛染堂    ■愛染堂だより(1)  ■(2) ■(3) ■(4) (5) ■(6) ■(7) ■(8) 
■(9) ■(10) ■(11) ■(12)
■愛染曼荼羅 ■歓喜天 ■愛染敬愛法