『さすらいの仏教語』玄侑宗久著
H27夏に、大学の聴講講座で、出典を言わないで、目次だけ渡されて、調べてきなさいと宿題に。きつかったなあ。
仏教語 |
よみ |
意味 |
愛嬌(敬) |
あいぎょう あいきょう |
仏―慈しみ敬う 日―にこやかでかわいらしい |
挨拶 |
あいさつ |
仏―禅宗。自分の意見を相手に投げかけたりすること。 日―人に会ったり別れたりするときに儀礼的にかわす言葉や動作 |
閼伽 |
あか |
仏―仏教において仏前などに供養される水のこと |
天邪鬼 |
あまのじゃく |
仏―毘沙門天の鎧の腹の辺りにある鬼の面。また仏像で、仁王などの仏法守護神に踏みつけられている小鬼。 日―わざと人に逆らう言動をする人。 |
阿弥陀籤 |
あみだくじ |
仏―阿弥陀仏の功徳(くどく)が平等であるからとも、もと、くじの図形が放射線状で阿弥陀仏の後光に似ているからともいう。 日―出費する人数に合わせて引いた平行線の一端に異なる金額を書いて隠しておき、各自が引き当てた金額を出し合う仕組みのくじ。 |
一大事 |
いちだいじ |
仏―仏が衆生救済のためこの世に出現するという重大事。 日―放置できない重大な出来事。容易でない事態。 |
一蓮托生 |
いちれんたくしょう |
仏―死後、極楽の同じ蓮華の上に生まれること。 日―結果はどうなろうと、行動や運命をともにすること。 |
有頂天 |
うちょうてん |
仏―色界の中で最も高い天である色究竟天(しきくきょうてん)のこと。または、色界の上にある無色界の中で最上天のこと。 日―得意の絶頂であること。また、そのさま。大得意。 |
うろうろ |
有漏有漏 |
仏―「有漏有漏」。「有漏」とはさまざまな煩悩に惑わされたり、あれこれと迷っているさま。 日―あてもなくあちこち歩き回るさま。どうしたらよいかわからずに困りはてているさま。 |
えたい |
得体 |
仏―平安時代の僧侶が着ている衣で宗派や格式がわかったことから、「衣体(えたい)」が転じた。 日― 真の姿や考え。本当のこと。正体。本性。 |
閻魔 |
えんま |
仏―ヒンドゥー教などでの地獄、冥界の主。冥界の王として死者の生前の罪を裁く神。日本仏教においては地蔵菩薩の化身とみなされ同一視されている「地蔵十王経」 日―恐ろしいものの代名詞 |
お陀仏 |
おだぶつ |
仏―往生際に阿弥陀仏(あみだぶつ)の名を唱える意から 日―死ぬこと、物が駄目になること。江戸時代以降の俗語 |
おっくう |
おっこう 億劫 |
仏―「非常に長い時間」という意味。「一劫」の長さは、100年に一度、天女が高い岩山に舞い降りてきて、纏っている羽衣で山の頂上を撫で、そ の摩擦で岩山が消滅するまでの時間で、途轍もなく長い時間。それの一億倍が「億劫(おくこう)」日―めんどうで気が進まないさま。 |
おぼん |
お盆 |
仏―安吾(あんご)の最後の日、旧暦7月15日を盂蘭盆(ullambana)とよんで、父母や祖霊を供養し、倒懸(とうけん)の苦を救うという行事である。『盂蘭盆経』 日―太陰太陽暦である和暦(天保暦など旧暦という)の7月15日を中心に日本で行なわれる、祖先の霊を祀る一連の行事。仏教の教義で説明できない部分も多く、古神道における先祖供養の儀式や神事を、江戸幕府が庶民に強いた檀家制度により仏教式で行う事も強制し、仏教行事の「盂蘭盆」(うらぼん)が習合して現在の形が出来たとされる |
餓鬼 |
がき |
仏―亡者のうち餓鬼道に生まれ変わったものをいう。preta とは元来、死者を意味する言葉であったが、後に強欲な死者を指すようになった。 日―子供の俗称。おもに高校生未満の子供を指す |
がたびし |
我他彼此 |
仏―「我他彼此見(がたぴしのけん)」は、自分と他者を区別する見解を持つこと。 日―立て付けの悪い引き戸を開け閉めするときの音を表現した言葉。壊れかけたり傷ついたりしてスムーズに動かない機械、組織、身体などのありさまをいう。 |
伽藍 |
がらん |
仏―
僧侶が集まり修行する清浄な場所。後には寺院または寺院の主要建物群を意味する。サンスクリット語のsaMghaaraama
(सँघाराम) の音写で、「僧伽藍摩(そうぎゃらんま)」「僧伽藍」が略されて「伽藍」と言われた。 日―金属製の物がぶつかって立てる騒がしい音を表す語。
何もなくて、だだっ広く感じられるさま。 |
瓦 |
かわら |
史上、初めて瓦が登場するのはおよそ2800年前の中国とされる。日本には西暦588年、百済から仏教と共に伝来。飛鳥寺で初めて使用されたとされる。飛鳥時代では、瓦葺きの許された建物は寺院のみである。現存日本最古の瓦は飛鳥時代のもので、元興寺の極楽坊本堂と禅室に葺かれている瓦とされる。 |
観念 |
かんねん |
仏―「観想の念仏」の略。
瞑想法の一で、精神を集中させ、仏や浄土の姿を思念することをいう。 日―物事に対してもつ考え。あきらめて、状況を受け入れること。覚悟すること。あきらめるといった意味は、真理を会得し悟りを得るという「覚悟」の意味から転じたもの |
祇園 (祇園精舎) |
ぎおん |
《(梵)Jetavana-vihāraの訳》須達(しゅだつ)長者が、中インドの舎衛城(しゃえじょう)の南にある祇陀(ぎだ)太子の林苑を買い取り、釈迦とその教団のために建てた僧坊。祇陀林寺。 日―京都の祇園社(現在の八坂神社)。京都市東山区の八坂神社を中心とする一帯。近世初期以来の花街。 |
愚痴 |
ぐち |
仏―《(梵)mohaの訳。痴・無明とも訳す》仏語。三毒の一。心性が愚かで、一切の道理にくらいこと。心の迷い。また、そのさま。 日―言ってもしかたのないことを言って嘆くこと。 |
功徳 |
くどく |
仏―現世・来世に幸福をもたらすもとになる善行。善根。 日―神仏の恵み。御利益(ごりやく) |
工夫 |
くふう |
仏―仏道修行などに専念すること。特に禅宗で、座禅に専心すること。 日―よい方法や手段をみつけようとして、考えをめぐらすこと。また、その方法や手段。 |
けげん |
化現 怪訝 |
仏―神仏が人々を救うために姿を変えてこの世に現れること。「観音の―」 日―不思議で納得がいかないこと。また、そのさま。 |
袈裟 |
けさ |
《(梵)kasṣayaの音写。赤褐色の意で、染衣(せんえ)・壊色(えじき)などと訳す》インドで制定された僧侶の衣服。青・黄・赤・白・黒の正色を避けて濁色の布を用いたところからの名。功徳衣(くどくい)。福田衣。無垢衣(むくい)。 |
玄関 |
げんかん |
仏―禅宗で、玄妙な道に入る関門。転じて、禅寺の方丈への入り口。 日―建物・住居の主要な出入り口。 |
講堂 |
こうどう |
仏―寺院の建物の一。経典の講義や説教をする堂。 日―学校・官庁・会社などで、儀式を行ったり講演や講義などを行ったりする建物または広間。 |
ご開帳 |
ごかいちょう |
仏―ふだんは閉じてある厨子の扉を、特定日に限って開き、中の秘仏を一般の人に拝ませること。開龕(かいがん)。啓龕(けいがん)。開扉(かいひ)。 日― 隠すべきものを人目にさらすこと。賭博(とばく)の座を開くこと。 |
極微 |
ごくみ ごくび |
仏―「ごくみ」これ以上分割できない最小の実体。原子レベルの大きさ。すべての物は、この極微の組み合わせで出来ていると考えられる。 日―非常に小さいこと。また、そのさま。きょくび。 |
後生 |
ごしょう |
仏―死後に生まれ変わること。また、死後の世。来世。あの世。死後極楽に生まれること。来世の安楽。極楽往生。 日―他に哀願するときに用いる語。お願い。 |
ゴタゴタ |
兀庵兀庵 ごったんごったん |
鎌倉時代、宋から来た禅僧・兀庵普寧(ごったんふねい)は既成概念にとらわれない自由な発想の持ち主で、しかも理屈っぽい性格であったため、彼の話は複雑に入り混じったようになって分かりにくく、あまり評判はよくなかった。 |
ご馳走 |
ごちそう |
《その準備のために走りまわる意から》食事を出すなどして客をもてなすこと。また、そのための料理。「友人宅で―にあずかる」。 走り回ること。奔走。 |
権化 |
ごんげ |
仏―仏・菩薩が人々を救済するために、この世に仮の姿となって現れること。また、その仮の姿。化現(けげん)。権現(ごんげん)。化身。 日― ある抽象的な特質が、具体的な姿をとって現れたかのように思える人やもの。 |
言語道断 |
ごんごどうだん |
仏―奥深い真理は言葉で表現できないこと。 日―言葉で言い表せないほどひどいこと。とんでもないこと。また、そのさま。もってのほか。 |
金輪際 |
こんりんざい |
仏―大地の最下底のところ。大地がある金輪の一番下、水輪に接するところ。金輪奈落。 日―物事の極限。ゆきつくところ。 |
砂糖 |
さとう |
|
三千大千世界 |
さんぜんだいせんせかい |
10億個の須弥山世界が集まった空間(十万億土)を表す言葉。 1つの三千大千世界は1人の仏が教化できる範囲であるともされるため、1つの三千大千世界を仏国土ともよぶ。 |
自業自得 |
じごうじとく |
仏―自分のした善悪の行為で、みずから苦楽の結果を招き受けること。 日―自分の行いによって、悪い報いを自分が受けること。 |
獅子身中の虫 |
しししんちゅうのむし |
《獅子の体内に寄生して、ついには獅子を死に至らせる虫の意》仏―
仏徒でありながら、仏法に害をなす者。 |
七難 |
しちなん |
仏―7種の災難。『仁王般若経』に説かれる (1) 月日失度の難 (太陽や月の異変) (2) 星宿失度の難 (星の異変) (3) 災火の難 (大火)(4) 雨水変異の難(5) 悪風の難(6) 亢陽 (こうよう) の難 (ひでり) (7) 悪賊の難 『法華経』に説かれる (1) 火難(2) 水難(3) 羅刹 (らせつ) 難 (悪鬼による災難) (4) 刀杖難(5) 鬼難 (死霊による災難),(6) 枷鎖難 (牢獄にとらわれる難) (7) 怨賊難などがある。 日―いろいろな難点。多くの欠点。 |
実際 |
じっさい |
仏―真如、または無余涅槃(むよねはん)のこと。存在の究極的な姿。 日―物事のあるがままの状態。想像や理論でなく、実地の場合。 |
邪見 |
じゃけん |
仏―因果の道理を無視する誤った考え方。五見・十惑の一。 日―よこしまな見方・考え方。不正な心。 |
娑婆 |
しゃば |
仏―釈迦が衆生(しゅじょう)を救い教化する、この世界。煩悩や苦しみの多いこの世。現世。娑婆世界。 日―刑務所などにいる人たちが、外の自由な世界をさしていう語。 |
自由 |
じゆう |
仏―「自ずからに由る」(おのずからによる) 日―好き勝手や自由気ままという意味 |
出世 |
しゅっせ しゅっせい |
仏―仏が衆生(しゅじょう)を救うためこの世に現れること。俗世間を離れて仏道に入ること。また、その人。出家。 日―社会的に高い身分・地位を得ること。この世に生まれ出ること。 |
上品 |
じょうぼん じょうひん |
仏―浄土教で極楽往生の際の九つの階位を表し、人の往生には上品・中品・下品があるという考え方。九品仏はそれを表した9体の阿弥陀仏のこと。くほん 日―品質のよいこと。また、高級品。品格のあるさま。品のよいさま。また、味などの洗練されているさま。 |
女郎 |
じょろう |
奈良期から平安期における遊女の主たる仕事は、神仏一致の遊芸による伝播であり、その後遊芸伝承が次第に中心となる。 |
素性 |
そせい すじょう |
「そせい」だと、「本来の性質」、 |
説教 |
せっきょう |
仏―宗教の教義や経典を、その信者や民衆に、口頭で説き明かすこと。また、そこで話される内容そのものを指す場合もある。 日―目下の者に対して、教え導くために言い聞かせることや、堅苦しい教訓をいう場合もある。 |
退屈 |
たいくつ |
仏―修行の苦難に負け、精進の気をなくすこと。 日―することがなくて、時間をもてあますこと。また、そのさま。飽き飽きして嫌けがさすこと。また、そのさま。 |
大丈夫 |
だいじょうぶ |
「丈夫」とは中国の成人男子のこと。特にその中でもしっかりしたな男を大丈夫と言っていた。安心できる状態、しっかりしている状態、又は間違いがない状態などを表す言葉。 |
台無し |
だいなし |
仏―「台」は仏像を安置する台座のことで、台座が無ければ仏像の威厳が無くなることから、 日―台無しは面目を失う 。駄目になることを表す。 |
荼毘 |
だび |
パーリ語 jhāpetiの音写。死者を火葬にすること。梵焼などと漢訳される。 日本では,文武4 (700) 年の道昭の火葬がその最初という。
|
啖呵 (痰火) |
たんか |
せきと一緒に激しく出る痰。また、ひどく痰の出る病気。 喧嘩をする際などの、勢いよく言葉が飛び出す歯切れのよい言葉。
香具師(やし)が品物を売るときの口上。 |
檀那 |
だんな |
仏―ほどこし。布施。転じて、布施をする人。檀越(だんおつ)。檀家。 日―商家の奉公人などが男の主人を敬っていう語。また一般に、金持ちや身分のある男性を敬っていう。妻が夫をいう語。他家の夫をいう場合もある。 |
中有 |
ちゅうう |
仏―四有(しう)
生有(しょうう)・本有・死有・中有。の一。死有から次の生有までの間。人が死んでから次の生を受けるまでの期間。7日間を1期とし、第7の49日までとする。中陰。 日―空中。空間。 |
つっけんどん |
|
仏―「慳貪」に接頭語「突っ」が付いた語。「慳貪」は「むさぼり物惜しみする」という意味。
日―無遠慮でとげとげしいさま。冷淡なさま。 |
爪弾き |
つまはじき |
仏―仏家で行われた「弾指(だんし)」という風習に由来する。
曲げた人差し指の爪を親指の腹に当てて弾き、音を出すことで「許諾」「歓喜」「警告」「告知」などの意味を示す行為である。 禅宗では、便所を出た後などに不浄を払うため行われる。 日―嫌悪・軽蔑・非難などの気持ちを表すしぐさ。ある人を忌みきらって排斥すること。 |
徹底 |
てってい |
中途半端でなく一貫していること。 すみずみまで行き届くこと。 |
道場 |
どうじょう |
仏―《(梵)bodhi-maṇ 釈迦が悟りを開いた菩提樹下の場所。仏道修行の場所。浄土真宗・時宗の寺院。信徒が集まって念仏を唱える集会所。 日―武芸の修練を行う場所。また、広く心身の鍛錬などを行う場所。 |
塔婆 |
とうば |
仏―(梵)stūpaの音写。髪の束・頭部の意》 仏舎利を安置したり、供養・報恩をしたりするための建造物。仏塔。塔婆。そとうば。 日―死者の供養のため、墓石の後ろに立てる細長い板。板塔婆。そとうば。 |
どっこいしょ |
|
一説に、「六根清浄」、「独鈷」 日―かけごえ。 |
ないしょ |
|
仏―「内証(ないしょう)」が転じた語。 内証とは、自らの心のうちで真理を悟ることを意味するサンスクリット語の漢訳で、「自内証」ともいう。 日―外から知ることが出来ない秘密の事柄をさす。 |
南無 |
なむ |
梵語ナマス(namas)およびナモー(namo)の音写。敬意、尊敬、崇敬をあらわす感嘆詞。意訳すると、敬意を示します、敬礼します、礼拝します。一般に帰依の同義語として使われる。 |
奈落 |
ならく |
仏―梵語の
naraka(ナラカ)を日本で音写したもの。 地獄。また地獄に落ちること。 日―日本の劇場における舞台の下や歌舞伎の花道の床下の空間の通称。 |
念仏 |
ねんぶつ |
仏―サンスクリット語では"buddha-anusmRti"で、仏陀に対する帰敬、礼拝、讃嘆、憶念などの意。仏教における行のひとつで、仏の姿や功徳を思い描いたり、その名号を口に出して呼ぶこと。 日―一般的には、浄土教系の宗派において合掌礼拝時に「南無阿弥陀仏」と称える「称名念仏」を指すことが多い。 |
莫迦 |
ばか (馬鹿) |
仏―サンスクリット語で「無知」や「迷妄」を意味する「baka」「moha」の音写「莫迦(ばくか)」「募何(ぼか)」が転じた。 |
彼岸 |
ひがん |
仏―サンスクリット pāram(パーラム)の意訳であり、仏教用語としては、「波羅蜜」(Pāramitā
パーラミター)の意訳「至彼岸」に由来する。 悟りに至るために越えるべき迷いや煩悩を川に例え、その向こう岸に涅槃があるとする。 日―彼岸(ひがん)は雑節の一つで、春分・秋分を中日とし、前後各3日を合わせた各7日間(1年で計14日間)である。この期間に行う仏事を彼岸会(ひがんえ)と呼ぶ。 |
聖 |
ひじり |
仏―元来「日知り」を意味し、太陽の司祭者・呪術者を指したとされる。仏教伝来後は「聖」の字があてられ、学徳の高い僧を聖と呼ぶようになった。 日―平安時代中期浄土教信仰を庶民に普及する僧たちを念仏聖と呼び、寺院に定住せず深山の草庵に住んだり遍歴しながら修行する半僧半俗の存在だった。聖は、寺院経済を支える禅徒の立場にあった。 |
皮肉 |
ひにく |
仏―中国禅宗の達磨大師の「皮肉骨髄(ひにくこつずい)」が語源で、元仏教語。 「皮肉骨髄」とは、「我が皮を得たり」「我が肉を得たり」「我が骨を得たり」「我が髄を得たり」と、大師が弟子たちの修行を本質を理解していないと評価した言葉 日―相手の欠点や弱点を意地悪く遠まわしに非難すること。また,その言葉やさま。あてこすり。予想や期待に反し,思い通りにいかない・こと(さま)。 |
微妙 |
びみょう みみょう |
仏―「微妙」を呉音で発音して「ミミョウ」といい、言葉では言い尽くせない不思議で奥深い意味合いを表す語として用いる。 仏の大悲は「深遠微妙(じん
のんみみょう)」であり、その説法は「微妙法音(みみょうほうおん)」である。 『無量寿経』には「普く十方のために微妙の法を説きたもう」とある。 玄奘三 蔵が訳した『説無垢称経(せつむくしょうきょう)』には「微妙なるはこれ菩提なり、極めて覚り難きが故に」と説いている。 日― 趣深く、何ともいえない美しさや味わいがあること。また、そのさま。みみょう。
一言では言い表せないほど細かく、複雑なさま。また、きわどくてどちらとも言い切れないさま。 |
貧者の一燈 |
ひんじゃのいっとう |
仏-『阿闍世王受決経』にある故事に基づく。 阿闍世王が釈迦を招待したとき、宮殿から祇園精舎へ帰る道を、たくさんの灯火でともした。それを見た貧しい老婆が、自分も灯火をしたくてなんとかお金を工面し、やっと一本の灯火をともすことができた。阿闍世王がともした灯火が消えた後も、老婆がともした一本の灯火は朝になっても消えなかったという。「長者の万灯より貧女の一灯」「長者の千灯より貧者の一灯」、単に「貧者の一灯」とも。 日―金持ちが捧げる多くの灯明より、貧しい者が真心を込めて供える一つの灯明の方が、仏は喜ぶという意味から大事なのは量や金額ではなく、誠意の有無だという教え。 |
不思議 (不可思議) |
ふしぎ ふかしぎ |
仏―仏の智慧や神通力というのは、それを思い測ったり言葉で言い表したりすることはできない、ということ。 日―思いはかることもできず、言語でも表現できない。あやしいこと、異様なこと。数の単位のひとつ。 |
ふしだら |
|
仏―サンスクリット語「sutra」を音写した「修多羅」が語源である。
古代インドでは、教法を「多羅葉(たらよう)」という葉に書き、鉛筆のような物で経文を刻書し、散逸しないように穴を開け、紐を通して保存していた。 この紐や糸を「修多羅」といい、正確で 歪みなく秩序よく束ねること。それに、「不」がついて、否定した。 日―けじめがなく、だらしないこと。また、そのさま。品行が悪いこと。身持ちが悪いこと。また、そのさま。 |
分別 |
ふんべつ |
仏―もろもろの事理を思量し、識別する心の働き。 『阿毘達磨倶舎論』では,(1) 自性分別,すなわち直覚作用のこと,(2) 計度分別,すなわち判断推理作用のこと,(3) 随念分別,すなわち過去のことを心に銘記する追想記憶作用のことの3種に分けて説明し,また意識は,三分別すべてを有しているので有分別であると説明している。 日―道理をよくわきまえていること。また、物事の善悪・損得などをよく考えること。 |
方丈 |
ほうじょう |
仏―維摩(ゆいま)経の主人公である維摩の居室。禅寺で、住職の居室。寺の住持。また、住職の称。 日―1辺が1丈(約3メートル)の正方形。1丈四方。また、その広さの部屋。 |
坊主 |
ぼうず |
仏―「坊」は大寺院に所属する小さな寺院の主人で、一般僧侶の呼称になった。 日―僧侶。頭に毛がないこと(人)。男の子に親しみを込めて、またはぞんざいに呼ぶ語。
|
菩提 |
ぼだい |
仏―サンスクリット語でボーディ(bodhi)の音写であり、「完全なる英知」あるいは「悟り」の意味である。煩悩(ぼんのう)を断ち切って悟りの境地に達すること。また、悟りの智恵。 日―死後の冥福(めいふく)。 |
補陀落 |
ふだらく |
仏―観音菩薩の住処、あるいは降り立つとされる山である。補陀落山とも称す。サンスクリット語(梵語)の「ポタラカ」、「ポータラカ」(Potalaka)の音訳である。 |
ホラ吹き |
法螺吹き |
法螺貝に細工をした吹奏楽器のことで、見た目以上に大きな音が出るが中身は空。 修験者などが、使う。 日―予想外に大儲けをすることを「ほら」と言う 大げさなでたらめを言ったり、大言を吐いたりする人。 |
魔羅 |
マーラ |
仏―煩悩の化身であるマーラ。魔王マーラ・パーピーヤス(天魔波旬、魔羅、天魔、悪魔などの漢訳がある)。マーラの語義は「殺すもの」であるとも、「死」の人称形とも言われる。 日―陰茎 |
微塵 |
みじん びじん |
仏―物質の最小単位である極微(ごくみ)を中心に、上下四方の六方から極微が結合したきわめて小さい単位。転じて、非常に微細なもの。 日―非常にこまかいちり。物が割れたりして、非常にこまかくなること。量や程度がごくわずかであること。 |
冥利 |
みょうり |
仏―仏・菩薩が人知れず与える利益(りやく)。 日―知らず知らずの間に神仏から受ける利益や恩恵。また、善行の報いとして受ける幸福。ある立場にいることによって受ける恩恵。職業や身分を表す語の下に付けて、それにかけて誓うという意を表す。 |
無念 |
むねん |
仏―妄念のないこと。迷いの心を離れて無我の境地に入り、何事も思わないこと。 日― くやしいこと。また、そのさま。 |
めっぽう |
滅法 |
仏―因縁によって生じたのではないもの。無為法。涅槃(ねはん)のこと。 日―道理にはずれるさま。常識を超えているさま。並みの程度でないさま。はなはだしく。 |
藪 |
やぶ |
|
野暮 |
やぼ |
人情の機微に通じないこと。わからず屋で融通のきかないこと。また、その人やさま。無粋(ぶすい)。 言動や趣味などが、洗練されていないこと。無風流なこと。また、その人やさま。無骨。 遊里の事情に通じないこと。また、その人や、そのさま。 |
油断 |
ゆだん |
仏―「北本涅槃経」二二の「王、一臣に勅す、一油鉢を持ち、由中を経て過ぎよ、傾覆することなかれ、もし一滴を棄せば、まさに汝の命を断つべし」からという。一説に「ゆた(寛)に」の音変化ともたかをくくって気を許し、注意を怠ること。 日―たかをくくって気を許し、注意を怠ること。 |
利益 |
りやく |
仏―仏・菩薩(ぼさつ)が人々に恵みを与えること。仏の教えに従うことによって幸福・恩恵が得られること。また、神仏から授かる恵み。 日―利益を得ること。ためになること。また、その利得。りえき。 |
老婆心 |
ろうばしん |
仏―長い人生経験のある年老いた女性が、必要以上に心配すること。『景徳伝灯録』 日―必要以上に世話をやこうとする自分の気持ちを、へりくだっていう語。 |
路地 |
ろじ |
(露地)屋根などがなく雨露がじかに当たる土地。建物と建物との間の狭い道。門内や庭内の通路。草庵式茶室に付属した庭。 |