遍路三度 27番から32番 H18.11.3-5
11月3日(金)
5:00 起床して、車で伊丹空港に向かいました。
まだまだ、真っ暗です。6時からしか、空港ビルも開かないのですが。
7:10 伊丹 高知空港着 7:55
金剛杖は、機内持ち込みができません。別途預けます。
飛行機は、45分で高知龍馬空港に到着です。雲ひとつない青空です。
空港バスを見にいったのですが、高知駅行きしかありません。
バスの方に聞きますと、ごめん線の一番近い駅は、「よしかわ」というらしい。
タクシーに乗って「よしかわ」駅にお願いしますというと、そんな駅はない、「ふるかわ」だ。
「ふるかわ」は、小さい駅だから、「あかおか」にしろと言うんです。
今日は、御免線で「唐浜」にいってお参りするんだというと、「そんなことわしは、しらん」と。
最初から、しかられてしまいました。ブスッとされて沈黙。やがて、「よしかわ」駅の看板が
見えますと、みんな間違っている、ここは昔から「古川」というところじゃ。「吉」は、線が一本
多いのじゃって。いやはや、町だったらとっくにこちらが乗車拒否していそうな会話です。
『修行』じゃああって、言い聞かせて私の今回のお四国が始まりました。
8:18 「あかおか」発の「安芸」行きに乗りました。車掌さんに、「唐浜」までいくので、「安芸」駅で
外に出てもいいですかって聞くと、手書きの切符にその旨を書いてくれました。
8:35-9:18まで、「安芸」駅のスーパーでおにぎりとてんぷらを購入し、駅前広場で朝食です。
空は雲ひとつない秋晴れです。日差しがまぶしかったですよ。
9:30 唐浜着
さてさて、気分も上々、おいずるを着て靴の紐を締めなおして、いざ神峰寺へ向かいます。
電車を降りたのは、もう一人のおばさん遍路。ゆっくりしていましたね。
神峰寺 往復8km
以前は、3時間で往復したのですが、今回は暑いし、荷物があるし、どうなるのでしょう。
途中何度も車に抜かれながら、狭い道を歩きます。休憩しているときに、ひげのおじさんに
抜かれました。
いよいよ遍路道に入ります。おばさん遍路、おじさん遍路が先に向かいます。
「きついですよ。車道と何度も交錯しますから、車道を行くのもいいですよ。」と声をかけました。
最後の一葉
途中の展望休憩所で、おじさん遍路と一緒になり、お話をうかがいました。
京都の方で、今日が14日目とか。気温が高くて参っている。たくさん荷物を持ってきて、
半分ほど送り返したそうです。何度もどうしてこんなにつらい思いをして歩いているのだろうと
思いながら来た。でもその辛いのが終わると満足感、充実感がいいんだよねえって。
「この楽しさが、やめられませんよねえ。」同感です。今日は、安芸で泊まるそうで、
ゆっくり海岸を歩くんだとおっしゃっていました。
神峰寺をお参りし、納経所の向かいの通夜堂に荷物を置いて休憩していますと、
歩きの者だけ、冷えた「新高梨」をいただきます。このおいしさは、最高でした。
でも買うには、でかすぎて大変です。直径20cmくらいあるんです。
へろへろになって山を下りました。今日は、お参りの車も本当に熟年カップルばかり。
信仰は、やはり人生経験や年齢が必要なのかもしれませんね。
14:08 「唐浜」発に乗って「のいち」までいきます。37.5kmあるんですよ。
今夜は、お気に入りの「黒潮温泉」泊です。もう4.5回きています。
実は、メンバーになって今回ポイントで、1000円食事券ゲットしました。
15:00 チェックイン。もうどこにも出ません。今夜は、7:00消灯です。
明日は、歩きますよ。
11月4日(土)
6:30 食事は、食べてから出ます。だってこの時期、夜明けが遅いですからね。
7:00 のいちから 2.5km 大日寺 9km 国分寺 6.9km 善楽寺 6km です。
7:40 のいち動物公園の橋、龍馬記念館の前を通って少しの遍路道。
山門前のお店の横に出ます。
お寺には、もうおまいりの方々がいます。会社でしょうか、若い人も混じっている団体。
おそろいのずだ袋には、会社名が入っています。本堂前で記念写真。
納経も済んで、そろそろ出発しようかと思っていると、おじいさんが声をかけてくれました。
「たしか、昨日神峰寺で出会いましたよね。ずいぶん早いですねえ。」
「そういえば、昨日神峰寺の道で(私が上り、あなたが下り)でであいましたね。」
「いやあ、あのあと電車でのいちまでワープしたんですよ。」
「それにしても早いですね。」「宿が連休で取れなくて、40km歩いたんですよ。」
そんな会話でした。「今日は、くたびれたからゆっくり行くよ。」って。
8:20 さあ、ここから国分寺まで長いです。家やら野道をのんびり歩きます。今日しか、
歩けないのですから、十分味わっていかないと。ルンルン気分です。
前から来たワゴンをよけて道の端にいますと、窓を開けて女の子が大きな声で
がんばってくださいって。ありがとうって手を振って。素敵な瞬間です。
日差しが暑くって、休憩毎に1枚ずつ服を脱ぎます。野原をてくてく。
少し向こうに「芋天」、「お遍路さん休憩所」なんて看板が見えます。
気持ちは、すでにそちらを向いていましたが、わずか100mの往復も寄り道は辛いです。
後ろ髪を引かれながらいきますと、うしろから自転車できた少女がなんとさわやかに
「おはようございます!」と挨拶してくれました。
ああ、よかった。芋天に惹かれていたら、この爽やかな少女に声をかけてもらえなかった。
きっと素敵な女性になることでしょう。足取りも軽やかに、鼻歌混じりですよ。ルンルン!
途中、「へんろいし饅頭」やさんに寄りました。1っこ70円。
黒砂糖の皮に小豆餡。前の用水路のところで食べていますと、おばあさんが寄ってきて
1000円札を。そして、地図にない遍路道があるから案内するよと。
保存会の地図にも載っていません。饅頭屋さんからすこしいくと、石標が。わずか100m
くらいですが、りっぱな遍路道。ありがたかったです。役場に言っても、きちんとしてくれない。
お遍路さんを見かけると、案内してるんだ。納め札をちょうだい。集めているんだよって。
見覚えのある「観光ブドウ園」、すぐに国分寺橋。向こうの堤防沿いに少しいくと、田んぼの
あぜ道を通って、国分寺です。
11:00 なんと3時間近くかかりました。休憩が多すぎますかね。
花の頃はみごとだという国分寺です。おばあさんが、一人で毎日お世話されているそうです。
お参りが途絶えません。次から次ですね。連休ですからね。
ここでも出発しようとしていると、大日寺でであったおじいさん。3時間もかかったよ。
今日はゆっくりいくよって。それで、私のペースと同じですよ。
(翌日も会うことになるのですが、彼はこのあと滝をまわって旧の30番札所に行ったそうです。)
さて、わたしは、山門からまっすぐ野道を30番善楽寺に向かいます。
少し離れて、ハイキング姿の熟年カップルがきます。遠くまで見はらせますから、
道を間違えないように歩きました。結局、途中で抜かれてしまいましたが。
善楽寺まで、7km.。
蒲原では、前にも寄ったショッピングプラザなかざわで昼食です。売っているお弁当も
手作り風。しの竹の煮物、山菜のてんぷら。前のベンチでたべました。
さあ、ゆるやかな峠には遍路小屋5号が待っていてくれます。先客がいました。
私もノートに足跡を残します。ありがたいですね。
さて、配送センターのトラックターミナル横を抜けて、大坂峠。新しい公園墓地から下の
家並みに。抜けて国道を渡ると善楽寺さんです。
14:00 二時に着いたら、今夜の宿まで歩こうと思っていました。正直いいますと、タクシーでも
いいかなあと迷っていました。
ここの梅見地蔵さんにおまいりしたかったんです。今回来る2日前、歯茎が腫れて、
顔の形が変わっていました。抗生物質の薬を飲み続けて、やっと腫れが引いてきた
ところでした。首から上の病のお地蔵さまです。
見かけたおばさん遍路が、「今日はどこに泊まるの?」
「たかすです。そう。わたしもそのあたりよ。同じね。」と。結構健脚の方です。
一度会った遍路とは、3度会うものだと聞いたことがあります。
昨日、唐浜駅で同じ電車でした。明日も会うのかな。
「神峰寺で、あなたも梨をいただいたわね。おいしかったわね。おみやげに買おうかしら。
でも重いわね。」一人の遍路旅、なんでも話題にして話をしたいのかな。
14:45 さて、ここから今夜の宿までは4.5kmあります。このペースだと、16:00着ですね。
歩きましょう。土佐一宮(とさいっく)の駅の横を通って、遍路道からすこし外れますが
ほぼ直線です。道が狭くて、車とのすれ違いが怖いです。
ひたすら足元を見ながら、とことこ。
やっと宿の近くに着き、ローソンで今夜と明日の朝食を購入。もう宿の部屋に入ったら
一歩も出る気なしです。
16:00 予想通り、到着。雨が、ぱらぱら降ってきました。部屋に入ったとたん、ザーーとにわか雨。
ビジネスホテルですが、従業員の応対に大満足。とても丁寧でやさしくいたわっていただきました。
部屋の良し悪しより、働く方をみればその宿の気持ちがわかりますね。
また、昨日のタクシーを思い出しました。いかんなあ。
内湯が、和風で深いので、ゆっくり足をマッサージしました。
今夜は、6時半に就寝です。朝まで、寝れるかなあ。ははは、何回も起きました。
11月5日(日)
5:00起床
6:00 ホテルから2kmの竹林寺に向かいます。まだ外は、真っ暗です。今日の昼までしか時間が
ありません。早く着くためでなく、数分でも歩いていたいから。ホテルには、自家製の地図
が置かれています。
うっすらと夜が明けてくる中、農道を五台山の鉄塔を目指します。ふもとの村に来たのですが、
どうももらった地図も右にいったらいいのか、左なのか?朝一番から迷子ですよ。
朝から働いておられる村人を発見して、丁寧に教えてもらいました。去年来た道ですが、
少しでも場所が違うと、まったくわかりませんね。
小さな酒屋さんの横の路地をくねくね入っていくと、お墓の坂道に出ます。かなりハードな
のぼり道ですが、今日の体調は抜群です。ずんずん行きます。
植物園の中に出てきました。見回りのバイクの警備員さんが、門は鍵がかかってないから
あけて出てくださいって、いたわりの言葉をいただきました。愉快ですよね、有料の施設を
中からただで出て行くのですからね。
7:00 竹林寺山門です。石畳が素敵なところです。紅葉はすこし後かな。
あの立派な五重塔、一言地蔵さまにもおまいりしました。早朝の至福の時間です。
20名くらいの団体さんがきました。若い人が多いです。みなさん、着ている白衣にご朱印
が、真っ赤です。あれあれ、先達さんはいないようです。リーダー風の方はいますね。
大師堂では、声も高らかにご詠歌をあげています。
挙動不審の若そうな男遍路。若い乙女遍路さん。
納経所で、印をいただき二人の歩き遍路さんより一足お先に出発します。
ここから約6kmです。石畳の参道を降ります。ふと、宝くじでも当たったらこの参道の
修復をお願いしたいなあなんて、ぼっとしてたら、足を滑らしましたよ。好きな道のひとつ。
橋をわたり、一路禅師峰寺さんに。去年も休憩したところでまた休憩。
向こうの道を自転車で行く少年たちを眺めたり、風で落ちる落ち葉の音を聞いていました。
いつもゆっくりしすぎです。あの二人のお遍路さんに、次々抜かれてしまいましたよ。
ここまでくると、時間がもったいない。存分に味わいたい。これも欲ですね。強欲者です。
トンネルを越えると、大きな池のほとりです。休日のジョギングや散歩の方が行きかいます。
お一人の方が、ここは「石土神社」があるんだ。あの石槌神社のご神体もみんなここから
持っていったんだよ。ぜひ寄っていきなさいと。また「琴平神社」もここのがもとなんだと
熱心に説明してくれました。いやはや、お寺の話がまったくでなかったなあ。こっちは、
バリバリの遍路装束なのになあ。
池をぐるっと左回りにいって、トンネルの前を村にはいります。すぐに「峰寺」さんの道。
道しるべには、左に車道、右に遍路道。ここがまた、すごいのです。370mなのですが、
なかなか一人前の急なのぼり道ですよ。ひいひいいいます。なんとか山門に到着。
海のすぐそばです。小高い山の上からは、土佐湾が一望できます。桂浜の橋や弁天岩も。
お参りしていますと、昨日別れたおじいさん遍路。やっぱり会いました。三回目なんだよって。
全部あるいておられるのです。展望所から渡船の話や、去年私が歩いた桂浜の大橋の
話題で盛り上がりました。わたしが、「もう金輪際、大橋は歩きたくない。怖い。」と話したら
これからそこを行こうと思っているのにと悩ませてしまいました。1m幅で車のフェンダーに
引っ掛けられそうな怖い道なんですよ。どうぞ、気をつけてください。
11:00 です。下の駐車場でタクシーを呼びました。下田タクシー。飛行場まで。これで今回は終わり。
寂しいです。タクシーに乗りますと、「お遍路は、何か悩み事でもあってですか。」と聞かれました。
「いやいや、楽しくてはまってしまいました。」なんて会話。すると、真光教系の信者さんのようで、
『あいさつが大事』のパンフレットをいただき、熱心に布教されました。
高知のタクシーもいろいろだなあと。これが最後の出会いでしたね。
早めに空港について、先に荷物を預けます。すると、エックス線にひっかかりました。
「なにか、チャッカマンのようなものが入っていませんか?」と。はい、お参りの線香ろうそく入れに
先が少し長いチャッカマンを入れています。これです。規則ですから、没収です。
「えっ!来るときはOKなのに帰りはだめなんですか?」「規則ですから。」ちょっとムカッ!!
怒りは、おいしい土佐の定食うどん付で消えました。。
13:10 飛行機は、来るとき45分だったのに、帰りは35分で大阪に到着。空港の駐車場には無事車が
ありました。2泊で8000円。そんなものかな。
夕刻には、家でお風呂に入って、今回のお遍路を思い出しながら、足をマッサージ。
また、明日から仕事です。でも誰よりも、心のリフレッシュもしたし、厭な仕事もすいすいですよ。
人の立場や思いを慮って、みんなでいい社会を作っていくために、また働きますよ。うんうん。
■遍路三度 家から高野山へ(1) (2) (3) (1番ー16番) (17番ー26番)
再度高野へ(町石道) (27番ー32番) (33番ー39番) (40番ー43番、51番)
(44番ー53番) (54番ー69番) (70番ー88番、3.2.1番、高野山)