遍路6回目の(3) 

平成24年4月15日から19日、6回目を始めます1番ー17番
平成24年8月5日から8日、6回目(2)18番ー23番
平成24年10月21日から24日、6回目(3)24番ー28番

 室戸市羽根の中山峠から、室戸岬を望む。


 今回は、二か月ぶりに24番から28番(室戸から高知市内まで)です。
道中は、高知の海岸沿い。途中、雨も降りましたが、いい出会いもありました。


H24.10.21(日)

 実は、金曜日から出発しようとネットで宿を調べていましたら、なんとほとんど満室で、
やっぱり秋の行楽シーズンですね。困っていましたが、そうだ私は暇なんだと思い直して
平日ならどうかなと、調べたらほとんど開いています。ならば、日曜から出発にしようという
ことになったんです。でも、木曜日には用事もあるし、3泊しかできません。

 いつも思うんですが、歩くのは3日目くらいから、やっと体がなじんできます。なのに毎回
3泊だと、なじんだ頃に終わりなんです。困ったものです。

 というわけで、日曜日の朝、家を6時に出て、電車で南海なんばに向かいます。
おなじみの徳島バス”エディー号”です。でも、徳島までくらいなら、2時間半程度ですが、
今回は、室戸まで。なんと6時間かかるんです。

 本当は、前回23番薬王寺(日和佐)で終わってますから、今回も日和佐からなのですが、
途中2泊しないと室戸に着きません。まあ、こだわるものでもありませんから、室戸まで
行ってしまいます。

 なんば    7:30発   徳島バス  13:35着  室戸岬です。

 バス停は、あの中岡慎太郎像の前ですから、ユース前まで戻ります。乗客は二人連れの
方と私の3名が最後でした。
 
 さて、室戸ユース前のあのお薬師さんの祠の前から、上に向かいます。
いつも、最初の出始めは緊張します。身なりも整えて、重いリュックを背負います。
ごそごそ準備して、さて出発です。

  ここが、遍路道の入り口です。

 いやあ、分かっているんですよ。距離も短いし。でも、何度上っても、この道きついです。
こんかいなんて、バスに6時間座ってて、おりてすぐにこの坂道。それも歩くのが二か月ぶり。

 ペースも分からない。へろへろ。はあはあ言い過ぎて、過呼吸気味。おまけに、嘔吐しそう。
本当に、きついです。途中に、小屋がありますが、そこまでに3回くらい止まってましたよ。

 寒いんではと、厚着していたのも原因ですね。(おかげで、今回荷物の多いこと。)
「ひい、ひい」って言ってたら、上から女性の年配の方が下りてきて、津照寺さんは、どちら
ですかって。こっちじゃなくて、お寺の向こう側の車道を下りるんですよというと、また上るん
だねと、辛そう。勝手なもので、辛い人を見ると、こちらは元気になってしまう。いやはや、
なんと小っちゃい自分なんだと、最初からへこみましたよ。

 なんとか、大師像に迎えられて山門です。観光客も結構おられます。逆に、お遍路さんが
いないので、有名なお寺は少し雰囲気が違います。

 虚空蔵菩薩真言。今回も、無事に終われますように。日曜日の午後です。

 さて、写真を撮って戻りましょう。ん?!携帯電話がない?えっーーー!
どこかに落とした?まさか。リュックを全部探したのですが、見つかりません。
途中の坂道では、へろへろで一度も電話を触っていない。とすると、下のあの準備をして
ところ。誰かが、拾っていたらどうしよう?

 いやあ、もう急いで下りていくしかありません。不安です。
こんなに、最初から急いで歩くのも、どうでしょう。お大師さんが、いいかげんな気持ちで
歩かないように、お示しくださったのでしょう。

  この奥の院のすぐ手前に、ありました。

 10分くらいで下りたでしょうか。走ってました。なんと、あの祠の前の慰霊塔の前の草むらに
落ちてました。幸い、ほとんど人も来ない場所ですし、草むらだったので、気づかれずに
あったんですね。いやあ、これでちょっぴり引き締まりました。

   

  国道にでたすぐのお墓。        だれもいない駐車場に、一匹のねこが睨んでます。

 自分の非日常への入り口は、いつもなにかしらミスしたり、とまどったりしてしまいます。
諌めてもらったことに、感謝します。体の疲れも、忘れてしまいましたよ。

 さて、もう3時です。今日は、これで宿に向かいます。
今夜の宿は、私の定宿。「ホテル明星(あけのほし)」です。青年大師像の前にあって
お風呂が海洋深層水の露天風呂。しょっぱいんです。食事もいい。遍路には、すこし
高いのですが、ここはちょっと譲れませんね。

 翌朝、早く出発したいと申し出て、おにぎり弁当を夕食の時に準備していただきました。
夕食は、マグロのモツ煮、ウツボの柳川鍋、カツオのたたき・・
一泊二食で、10.000円です。超贅沢!

  早かったので、お風呂には他にお一人でした。

  マグロのモツ煮、ウツボの柳川鍋、カツオのたたき・・

 夕方、6時に食事して、8時には消灯です。窓の外は、室戸の海。いつもは、どーん、どーんと
 波の音がするのですが、今日はとても静かに、潮騒が聞こえます。明日の夜明けの明星を楽し
 みに、お休みなさい


  H24.10.22(月)

 予定通り、4時過ぎに起きて、5時過ぎに宿をでました。
昨日、作ってもらったお弁当を食べました。持って歩くのは、やっぱり重いです。

外は、真っ暗。薄明かりに、真っ白な青年大師像が浮かび上がっています。
東の空には、くっきりと明けの明星(金星)が輝いています。そう、今回の最大の目的が
御蔵洞(みくろど)から、この明星を見ることです。洞窟は、小さいのも入れて3つあります。
お大師さんは、どの穴から明星をお祈りしたのでしょう。

  真ん中の奥から。

 

 外に出て、室戸の海から、明星を。

 虚空蔵真言を、延々と唱えながら、歩きました。
昨日、お寺はお参りしていますから、ぐるっと半島を回って、国道55号線を進みます。

 夜明け前から、散歩の方もちらほらおられて、ご挨拶です。
津照寺までは、7km位。ゆっくり歩いて、8時前。でも、すでに何人もの方が、お参り。
秋ですし、お参りが多いですね。

  この階段は、いつも気おくれします。

 ここから、4kmで金剛頂寺です。室戸病院前を通っていきます。
できるだけ、村の道でなく、海の堤防沿いに歩きたいですね。快晴です。

 途中のへんろ小屋で、おひとりの御老人が休んでいます。じっと海を眺めておられます。
私も、ちょうど休憩したくて、そばのベンチ。無表情で、なにもおっしゃいません。
まあ、いいやとお茶を飲んで休んでいましたら、軽自動車の女性が、
「ああ、ここにいたの?!大丈夫?!」と降りてきます。

 みると、スリッパ。室戸病院。どうやら、おじいさんは入院患者のようで、徘徊癖が
あるらしく、職員さんが探しておられたようでした。軽く会釈して、連れていかれました。

 遍路も、あの徘徊老人とどう違うのだろう?人間の「意志」や「意識」は、どんなもの
だろう。どうしても、「生きる意志」は、「欲」。では、「生きる意識」は?!

 唯識の、マナ識・アーラヤ識。勉強しても、本質理解は、ほど遠い。
ただ、あの老人と違うのは、少しだけ健康で、体が動くことくらいですね。
とぼとぼ、次の札所に向かいます。

 途中から、車道を外れて、遍路道。なんと、すいすい足が動きます。ずんずん進んで、
お寺に到着しました。

   

 ここは、金剛頂寺。24番最御崎寺が、「東寺」、ここを「西寺」といいます。ご朱印帖には、東・西寺
と書いていただきます。ちなみに、津照寺さんも「津寺」です。

 さて、これから奈半利まで、16kmあります。遍路道をキラメッセの方におります。
逆打ちでは、いつも迷うんですが、今回は順打ちですから、遍路シールや札がよく見えます。

 どなたのも会わないですね。歩いている人は、少なそうです。もうすぐ、国道に出ます。

  おっと!思わず踏みそう。

 遍路道の、それも真ん中に、じっとしています。意外と小さくて、細いのですが、よく見ると、
マムシではない。うっすらと、腹が赤い。カメラを向けても動かない。・・・やまかがし?!

 前回、真夏で何匹かに出会いました。今回は、これきりにしたいですね。
「丑の時参りの、満願の夜、帰り道に大きな牛が横たわっていて、それを乗り越えないと
 願いが、成就しない。」という言い伝えが、私の村にあります。それを、思い出しました。
そうか、この蛇を越えないと、「心願」が成就しないのだろうか。お大師さんか、虚空蔵さん、
お薬師さん?!エイッと、飛び越えまして、後ろを振り返ることなく走り去りました。

  
 金剛頂寺本堂。十二神将まえに、小さな愛染様。

 今日のテーマは、「生きる」ということですね。そんな思いで歩きます。
 ちょっと長帳場です。ひたすら、歩きます。

 途中に、みかけた生き物たちです。

   

 夏の虫たちも、季節の終わりには、その命を終えるのでしょうか。
 道のあちこちに、蜂の死骸。この写真の蜂は、まだ生きていました。
 人を襲うスズメ蜂。でも、命を終える蜂。ただ、見守るだけですか。

 ひたすら、ひたすら黙って、誰にも会わない遍路道でした。

 今夜の宿は、ホテルなはり。

  
 
 いつだったか、津照寺の大師堂前で、このホテルの営業の方に出会ってから、
 もう3回目の利用です。親切で、ご飯がうまい。

 おいしい夕飯、温泉。なんと、それで6.000円・・・大満足です。
 今回の夕食は、マグロのマヨネーズ丼。

  

 このホテルは、まぐろ料理の有名なところです。
 レストランは、いつも地元の方や家族でにぎわっています。
 地域の宴会も、ここですね。

 実は、朝食が付いていません。朝早い人も多いのでしょうね。
 7:00ころからなら、好きなおにぎりセットも実費であるんですよ。

 さて、今夜もこれくらいで寝ます。明日は、雨の予報。夜半から降り出しそう。


H24.10.23(火)

 夜半から、雷、強い雨音です。窓の外は、真っ暗で見えません。
どうしたものかと思案ですが、やっぱり出かけましょう。7時ころが、一番激しいとのこと。
それも、ちょうど神峰寺あたりなので、不安ですが、行けるところまで行こうと思います。

ちょうど、雨もほとんど降っていません。午前5時。
フロントの方にもご心配をかけました。ありがとうございます。まだ、ポンチョは、いらなさそうです。

 真っ暗な中、国道を安芸の方に進みます。記憶には、町はずれに、24時間コンビニがある
はずです。ここで、朝ごはんと昼のパンを購入。ちらほらとお客さんがいます。おじさんから、
慰労の言葉もいただきました。

 どんより雲が垂れ下がっていますから、なかなか夜が明けません。やっと薄明かりに。
ぱらぱら、時折降っていますが、なんとか雨具なしで歩けます。安田に差し掛かった時、
おじさんがわざわざ近寄ってきて、「今、安田の橋が工事中で渡れないから、国道を迂回
するように。」と、教えてくれました。ありがたいです。

  秋の海は、やはり寂しげです。少し波も高い。

 さて、いよいよ神峰寺に向かいます。村のきれいなベンチで、朝食のパン。
風も強くて、老人会が置いている花のプランターが倒れています。いくつか直していたら、
家からおじさんが出てきて、お礼を。いや、ただ直してるだけですから。
「いとこの夫婦が、もうすぐここを通って、神峰寺に向かうんだ。あんたも、気を付けて。」

 ぱらぱら降ってきました。ポンチョです。これ以後、ポンチョを着たり、脱いだり。
あの鳥居のところから、上っていきます。

  この鳥居をみると、気が引き締まります。

 途中、出会った歩きの人は、4人。車もそれくらいかな?雨ですしね。
いつもは、途中の遍路道に入るところにリュックを置いて、上がるのですが、今日は
ぬれていますし、そのまま上がります。

 遍路道は、急です。登りはまだいいのですが、下りは危険ですから、今回は下りは
車道を下ります。

 やっとの思いで、到着です。

 今回、発見したのですが、山門手前のカーブ3つほどに、三鈷の松があります。
松葉が、3本になっている松です。金剛峰寺の大師堂前の、あの松と同じですね。
下ばかり向いて歩いていたからでしょうか、発見しました。だれにも話せなくて、残念です。

  

 このお大師さんは、12番手前の一本杉のお大師さんと同じですよね。
急坂の上ったところで、いらっしゃいます。右横には、若い?お不動さま。

 誰もいない、本堂・大師堂でお祈りしました。

 時間は、9時10分。いや、9:57発の御免行電車が、唐浜駅からあります。
・・・4km弱の下り。でも、雨です。無理しないで、11:00発にしましょう。
今回は、安芸まで歩くのではなくて、もう一つ札所28番大日寺に行きたいのです。

 

 離れ業。唐浜から御免駅まで電車にのって、途中をワープ。御免駅から
逆打ちで、野市の大日寺に向かいます。電車が約1時間。そこから、6km位。
3時には、宿に到着予定です。

  とうのはまへんろ君

 駅の広場に、素敵な待合室があります。以前は、宿泊禁止なんて書いてありましたが、・・。
おじいさんが、雨の中、ひとりじっと座っておられました。大阪にお住まいですが、
ここが故郷らしく、昔は相撲大会や、神輿も出て、にぎやかだったと。事情が、ありそうです。
雨が小降りになって、すっと出て行かれました。

 電車が来るまで、雨を眺めながら、お昼のパンをいただきます。
やがて、1両のワンマン電車がきました。回数券を取ってのります。途中、安芸で乗り換えて
高知駅直通。電車は、高架線路ですから、ずっと海をみながら進みます。座席のヒーターが
暖かくて、すぐに夢の中。なんと、車掌さんが乗ってこられて、切符を購入。

 12:00に、御免駅に到着。下りたときは、まだポツポツ雨が降っていたのですが、なんと
すぐにやんで、日が差してきました。よかった。でも、湿度は100%ですよ。

 やっと、雨の装備から解放され、歩き始めます。あの遍路石まんじゅう屋さんの少し手前で、
右に折れて、逆打ち開始。線路を越えて、松本大師堂を目指します。途中、お二人の歩きの
方に出会いましたよ。この時期は、中年の方が主流です。若い人は、ほとんどいません。

 記憶では、もうそろそろあぜ道に入るのですが、どうも同じような風景で、曲がるところが
分かりません。立ち止まって、地図をみていると、おじいさんの車が止まって、親切に教えて
くれました。この暖かさが、たまりません。やっと到着。ずいぶん来た感じですが、たいして
離れていませんね。

  

 松本大師堂です。すっかりきれいになりました。ここも、近大の歌先生の肝いりで改築された
へんろ小屋。以前は、朽ち果てたお堂に、蜂の巣があって、休憩もきつかったのですがね。

 ここから、延々農道を進みます。あたりに強烈なにおいです。
そう、この辺りは、外ではしょうが、ビニールハウスは、ニラの栽培がさかんです。においます。
懐かしい感じもするし、わたしは苦痛ではありません。
(余談ですが、足摺の大岐の浜辺は、にんにく畑で、目がちかちかします。)

 大きな橋を渡って、川沿いにしばらく行って、新興住宅街を抜けると、大きな石塔があって、
大日寺の旧参道の階段です。

  到着しました。2時です。

 ゆっくりお参りして、ご朱印もいただきました。
ここは、高野山大学の先生で、川崎一洋先生のご実家です。先生は、ネパール仏教美術の
専門家で、今年前期の授業では、ネパールの画像も含めて、興味深いお話をうかがいました。
いままでとは、ちがった親しみのあるお寺に感じました。

 手水場の横に、座れるところがあって、そこにリュックを置いてました。時間もあるし、ちょっと
のんびりお参りの方々を眺めていましたら、黒いリュックに野球帽の若者が到着です。

 お疲れさまのあいさつ。人懐っこい感じのいい若者です。しばらくお話をしました。
神戸の青年で、通し打ち。えらいなあ。今日は、雨で大変だったでしょう。

 これもご縁、自作の腕念珠を差し上げて、お札をいただきました。
フェイスブックもしているとのことで、以来できるだけ毎日、道の情報やおやつのことなど、
サポートしています。21歳らしい。なにがあったのかは、聞きません。

 でも、この縁で、なにかお手伝いができたらいいなあ。押し売り先達です。

 

 野市のお城が見えます。隣の丘には、風力発電のでかい風車。
どうも、ドンキホウテみたいですね。あの青年が、迷惑に感じなければいいのですが。

 彼は、出発前に一応は、遍路のことを調べてきたといってました。最近は、スマホが
ありますから、方角から地図、付近の情報もすべてリアルタイムに分かります。便利に
なりました。そんな、押しつけがましい情報は、きっと不必要ですね。

でも、やっぱり一人お四国に出るには、きっと理由があるはずです。お手伝いしたいですね。
軍手も差し上げました。きっと数日後には、寒くなってきます。そのとき役立つと思います。

 今日は、いい日でした。いい青年に出会いました。かれの、これからの無事も祈りつつ
今日の宿に向かいます。ここも、私の定宿。高知黒潮ホテル。

 温泉もあり、食事もおいしい。明日は、朝食をゆっくり食べて、タクシーを呼んでもらって、
高知竜馬空港から、大阪伊丹空港に帰ります。フライトは、わずかに50分。
昼には、帰宅しています。だって、明後日高野山大学の授業があるんです。

 今回も、あわただしい3日でした。4月には、毎月歩きたいと思っていましたが、やっぱり
いろいろ用事もあって、まだ3回目です。12月頃にもう一回、今年中に行きたいですね。

 今度は、空港から歩いて、32番から逆に29番。33番から36番青龍寺です。
楽しみに、日々を過ごしたいですね。


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