布 袋


 布袋は、実在の人物が伝説化されたものといわれています。

10世紀の中国、後梁の頃にいた契此(かいし)という禅宗の僧がモデルになってつくられたといわれています。
契此は、明州奉化県の人で、彼が没したのは、後梁の貞明2年(916)3月奉化県の岳林寺といわれています。

中世鎌倉時代以降、水墨画の発達に伴って、禅画の画題で親しまれていた布袋和尚(契此)が、
七福神の形成とともにその中に組み込まれていったようです。

 布袋和尚の名の由来ですが、契此がいつも持ち歩いた、その手に提げている袋が布製であることから、
布袋和尚と名がついたようです。彼は、世に超然とするところがありました。額が狭く、腹が大きく膨れ、
半裸で、つえ(団扇の場合もあり)を持って、いつも布の嚢(ふくろ)を担っていたようです。

人々に物乞いしては、施し受けたものは、その嚢に入れ、また魚肉を受けてはそれを食しました。
その嚢の中身は、物乞いしてもらった物の他に、日用品が入っていたようです。彼は、日用品を
全部この袋の中に詰め込んで、街を歩きまわっていたようです。

 また彼は存命中から、中国五大聖人・弥勒菩薩の化身として尊とばれていました。
その理由は、彼がよく弥勒菩薩に関する漢詩を詠んでいたことにあるようです。

 布袋は、堪忍と和合を教える神であり、布袋は弥勒菩薩、つまりお釈迦様亡き後、瞑想を続け、
遥か未来の暗黒差し迫る世界に出現して世界を救う神、の生まれ変わりといわれているあたり、
最も奥の深い教えを諭す、仏教的な観点からいえば、真の意味で福の神といえるかもしれません。

布袋は、七福神以外にも、十八羅漢のひとりにあげられます。


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