准提観音経

    ここでは、地婆訶羅譯の「佛説七倶胝佛母心大准提陀羅尼經」のだいたいの訳と、
    長谷寺藏本の善無畏訳の「七佛倶胝佛母心大准提陀羅尼法」の読みをUPします。

 准提観音さまの経典には、以下のものがあります。お姿や功徳について、微妙に内容が
 ことなります。また、補足や追加がありましたら、お願いします。

「七具胝佛母准提大明陀羅尼経」(金剛智訳)
・七倶胝仏母所説准提陀羅尼経(不空訳)
・七倶胝仏母心大准提陀羅尼経(地婆訶羅訳)
・七仏倶胝仏母心大准提陀羅尼法(善無畏訳)
・七倶胝独部法(善無畏訳)

 地婆訶羅譯の佛説七倶胝佛母心大准提陀羅尼經のだいたいの訳です。
 
 
享和二年刊長谷寺藏本
佛説七倶胝佛母心大准提陀羅尼經
大唐天竺三藏地婆訶羅譯

爾時佛在舍衞國祇樹給孤獨園。

仏が、舎衛国の祇樹給孤獨園におられた、そのとき

是時世尊思惟觀察。愍未來諸衆生故。
そのとき、世尊は思いを馳せて、衆生のために未来を観察されていた。

説是七倶胝佛母心准提陀羅尼法。
そのときに、この『七倶胝佛母心准提陀羅尼法』を説き、

即説呪曰
すなわち咒を説いてのたまわく、

南謨   颯?南   三藐    三勃陀 倶胝南    怛姪他 
ノウマク サッタナン サンミャク サンボダ クチナン タニャタ 
? 折戻   主戻   准締   娑婆訶
オン・シャレイ・シュレイ・ジュンテイ・ソワカ


若有比丘比丘尼優婆塞優婆夷。
 もしも比丘・比丘尼や優婆塞・優婆夷がいて、

受持讀誦此陀羅尼滿八十萬遍、無量劫來所造五無間 等。
 この陀羅尼を受持読誦すること八十万遍に満ちれば、無量劫よりこのかた
の五無間等、

一切諸罪皆悉消滅。所在生處皆得値遇諸佛菩薩。所有資具隨意充足。
一切の罪がことごとく消滅し、あらゆるところで諸仏・菩薩に合い遇うことを得る。
。あらゆる資具はおもうままに身につけることができる。

生生常得出家。具持菩薩律儀淨戒。恒生人天不墮惡趣。常爲諸天之所守護。
 生生つねに出家を得て、つぶさに菩薩の律義(りつぎ)、浄戒をたもち、恒(つね)に人天に生まれて、
 悪趣(あくしゅ)に堕ちず、常に諸天の為に守護せらる。

若有在家善男女等誦持之者。其家無有災横病苦之所惱害。
 もしも在家の善男善女が、唱えたら、その家から災難、病苦のわざわい、悩みがなくなり、

諸有所作無不諧偶。所説言語人皆信受。
することなすことすべて思いどおりで、人々の信望を集める。


若有誦此陀羅尼呪滿十萬遍。
もしもこの陀羅尼の呪を10万遍唱えたら、

夢中得見諸佛菩薩聲聞縁覺。
夢の中で、仏・菩薩・声聞・縁覚を見て、

自見口中吐出黒物。
口の中から、黒いものを吐き出す。

若有重罪誦滿二十萬遍。
もしも重い罪を犯したものが、20万遍唱えれば、

夢中亦見諸佛菩薩。亦復自見吐出黒物。
やはり夢の中で、仏・菩薩をみて、また黒いものを吐き出す。

若有五逆罪。不得如是善夢之者。
しかし、もしも5逆罪を犯したものには、このようなよい夢は見られない。

宜應更誦滿七十萬遍。是時還得如前之相。
しかれども、よろしくさらに70万遍唱えたら、そのときは、前のようになることができる。

乃至夢見吐出白色如酪飯等。當知此人即是罪滅。清淨之相。
そして、夢で白い酪飯のようなものを吐き出す。

復次我今説此大陀羅尼所作之事。
またつぎに、私はこの大陀羅尼の所作のことを説く。

若於佛像前。或於塔前若清淨處。
もし仏像の前において、あるいは塔の前のように清いところで、

以瞿摩夷塗地。而作方壇隨其大小。
瞿摩夷塗地をもって、その大小に従って護摩壇を作り、

復以花香幡蓋飮食燈燭。隨力所?而供養之。
また花・幡・蓋・飲食・燈篭。一心に供養する。

復呪香水散於四方上下以爲結界。
また、呪と香水を四方上下にまいて、結界を結び、

於壇四角及壇中央。皆各置一香水之瓶。
四角の護摩壇の中央で、四隅に香水の瓶を置いて、

持呪之者於其壇中。面向東方胡跪。誦呪一千八遍。
その壇の中で呪する者は、東を向いて胡跪し、千八遍呪を読む。

其香水瓶即便自轉。叉手捧雜花。呪千八遍。
その香水の瓶を転がし、花を捧げ、呪を千八遍。

散一鏡面。又於鏡前正觀。誦呪亦千八遍。
鏡に向かって、正観して、呪を千八遍。

得見佛菩薩像。應呪花百八遍。
仏・菩薩のお姿を見るようになり、呪・花を百八遍。

而散供養。隨請問法無不決了。
その供養をすれば、すべてにできないことがない。

若有鬼病。以呪茅草而拂。病人即得除愈。
もし辛い病をわずらっていれば、呪をもって茅草で払うと
病を除いてくれる。。

若有幼小爲鬼所著。以五色縷。應令童女搓以爲線。一呪一結滿二十一。
もし子供の頃に、わずらうようなところがあれば、五色の紐をもって結び
21回結んで、

用繋其頸。以芥子呪滿七遍。散其面即便除差
その首をつないで、芥子で7遍唱えたら、その顔の差しさわりが消える。

復次有法。於病者前墨畫其形。呪楊枝打之。
また次の法がある。病気の者の姿を絵に描いて、呪をもってそれを楊枝でたたく。

亦便除差復次有法。若有病人爲鬼所著身在遠處。
また別の取り除く法は、患っているところが身から離れていたら

應呪楊枝具滿七遍。寄人持打即亦除差。
呪楊枝具で7遍の呪にこたえて、近しい人が取り除くために打たれる。

復次有法。若在路行誦此呪。無有賊盜惡獸等畏。
また、次の法。この咒を誦念すれば、盗賊や悪獣などに会う恐れがない。

復次有法。常持此呪。設有諍訟無不獲勝。
また、つねにこの咒を受持していれば、たとえ訴訟ごとがあろうとも勝訴する。

若欲往渡江河大海。誦呪而渡無有水中惡獸等難。
もし、大河や大海を渡ろうとするなら、この呪によって、水中の悪獣や
災難がない。

復次有法。若被繋閉枷鎖禁其身。誦此呪者即得解脱
また次の法。もしあなたが捕まって繋がれたら、この呪を唱えるものは、解放される。

復一次有法若諸國土水旱不調。疫毒流行。
また、国が水害や旱魃にみまわれたり、疫病が流行したなら、

應以酥和胡麻粳米。用手三指取其一撮。呪之一遍置火中燒。
酢?胡麻、米を供えて、印を結び、この呪一遍を火に燃やして

或經七日七夜。六時如是相續不絶。一切災疫消滅
七日七晩、途切れずにずっとお祈りすれば、一切の災厄が消える。

復次有法。於河渚間砂?之上。以印。印砂爲塔形像。誦呪一遍印成一塔。
また次の法。河やなぎさの砂の上で、印を結び、砂の塔を作り、
この呪一遍、一塔。

滿六十萬遍。或見觀世音菩薩。或見多羅菩薩。
或見金剛主菩薩。隨心所求皆得滿足。或見授與仙藥。或見與受菩提之記

60万遍唱えれば、観音菩薩をきることができる。多羅菩薩。金剛主菩薩。
求めるものすべてに満足を得る。仙藥を与えられる。菩提之記を授けられる。

復次有法。右遶菩提樹像。誦呪滿千萬遍。
即見菩薩爲其説法。欲隨菩薩即得隨從

また、菩提樹の像を千万遍祈ると、すぐに菩薩を見、菩薩に従うことができる。

次有法。若乞食時常持此呪。不爲惡人惡狗等類之所惱害。
また、食事を乞うときに、この呪を常に唱えると、悪人やわるい天狗などの
たぐいの災いから逃れられる。

復有一法。若在若於塔前、或佛像前、或舍利塔前。誦持此呪三十萬遍。
また、塔の前、仏像の前、舎利塔の前で、この銃を30万遍唱えれば、

復於白月十五日設大供養。一日一夜不食正念誦呪。乃至得見金剛手菩薩。
而彼菩薩即將是人往於自宮

また、満月15日に大供養して、一昼夜食べずにこの呪を唱えれば、
金剛手菩薩を見、自分の中に菩薩を見ることができるだろう。

復次有法。若於轉法輪塔前或佛生處塔前。或從?利天下寶階塔前或舍利塔前。
また、轉法輪塔の前、佛生處塔前、天下寶階塔前、舍利塔前で、

於如是等諸塔之前誦呪右遶。即見阿鉢羅是多菩薩及訶利底菩薩。隨其所願皆悉滿足。
これら諸塔の前で、この呪を右回りに唱えたら、すぐに阿鉢羅是多菩薩と訶利底菩薩
に出会い、こころの満足を得ることが出来る。

若須仙藥即便授之。
もし、すべからく仙薬とこの方法を得る。

復爲説法示菩薩道。
また、菩薩道を示す法を説いて、

若有誦此陀羅尼者。乃至未坐道場。一切菩薩常爲善友。又此准提大陀羅尼大明呪法。
もし、この陀羅尼を唱えるものは、一切の菩薩が善友のために、またこの法を説く、

過去一切諸佛已説。未來一切諸佛當説。未來一切諸佛當説現在一切諸佛今説。
この陀羅尼法は、過去の一切の諸仏も、現在の諸仏も、今また、我もかくのごとく説く

我今亦如是説。爲利 益一切衆生故。令得無上菩提故。
一切衆生を利せんが為の故に、無上菩提を得るが故に、

若有薄福衆生。無少善根者。無有根器之者。無有菩提分法菩提分法者。
もし薄福の衆生ありて少しの善根も有ること無きもの、根器有ること無きもの、善根の分有ること無きもの、

若得聞此陀羅尼法。速疾證得阿耨多羅三藐三菩提。
もし此の陀羅尼の法を聞いたら、すみやかに阿耨多羅三藐三菩提を得ることができる。

若有人能常自憶念。持此呪無量善根皆得成就。
もし人ありて、此の陀羅尼を念じて、常に憶念する者は、無量の善根を成就することができる。

佛説此大准提陀羅尼法時。無量衆生遠塵離垢。
仏が説く、この大准提陀羅尼法を行う時、衆生には塵を遠ざけ、垢から離れ、無量の幸福を得る。

得大准提陀羅尼大明呪功徳。得見十方諸佛菩薩諸聖衆等作禮而去。
大准提陀羅尼大明呪の功徳を得て、十方諸佛・菩薩・諸聖衆等に見えて、礼をして去る。

七倶胝佛母心大准提陀羅尼經一卷

■七倶胝仏母心大准提陀羅尼経(地婆訶羅訳) ■七仏倶胝仏母心大准提陀羅尼法(善無畏訳)
■准胝観音