十一面観音 6尊「(C)2004 RayLand」

十一面観音はヒンドゥー教の十一荒神が強化されたものと考えられている。変化観音の中では最も早くからインドで成立しました。頭上に十一の顔があり全ての方向を見つめて人々を救済します。
 普通、前3面は菩薩面(穏やかな顔、慈悲を現す)、左3面は分怒面(悪人を戒める)、右3面は狗牙上出面(優しい顔、人々を励ます)、後一面は大笑面(大笑いしている顔、悪行を笑い飛ばす)」、頂上は仏面(仏道に入った人に教えを説く)。各面は阿弥陀仏の宝冠を頂いている。

・梵名:エーカーダムシャカ      ・真言:オン ロケイジバラ キリク ソワカ

十一面観音 エーカーダシャムカ
    種子キャ 真言オン・ロケイ・ジンバ・ラ・キリク・ソワカ

 このルーツははっきりしません。インドのルドラではないかという研究も
 あるようです。ルドラは風の神であり、シヴァの前世の姿であるとも言わ
 れます。なお、十一面観音といえば歓喜天像で聖天(ガネーシャ)と抱き
 合っている女神がこの十一面観音です。


  私の掲示板に書き込んでいただいた記事から  隆蓮房様 [2009/02/06(金)02:30:27]

 どの真言が本当の真言か、というご質問をよくいただくのですが、一般的には一つ
の尊に対して複数の真言があるのは当然のことです。
ある人を称賛するときに、ある時は「あなたって頼りになるね」と言ったり「あなたって
やさしいのね」とか「あなたって頭がいいのね」などと、同じ人であっても場合によって
称賛の言葉はまちまちです。

 十一面ですが、「真言宗常用諸経要聚」では、まず「オン・ロケイジンバラ・キリ
ク」、次に「オン・マカ・キャロニキャ・ソワカ」が出ています。

次に、高野山中院流で重要な「三十三尊法」の十一面を見てみると、真言を誦えまくる箇
所が出てくるのですが、先ず最初に登場するのは非常に長ったらしい「大呪」と言われる
真言ですが、コレを在家さんがお唱えすることはほぼないでしょう。
しかし、これは「小呪」で略してもよいことになっていて、この小呪というのが「オン・
マカ・キャロニキャ・ソワカ」です。

そして最後に出てくるのが、大師御伝の「オン・ロケイジンバラ・キリク」です。
この最後の真言は、一般的には十一面に限らず観音一般に用いることが可能な真言である
と考えられます。ローカ・イーシュヴァラは観音のことだからです。

十一面の場合、「オン・マカ〜」は慈悲に対しての称賛(カルニカーヤ:慈悲の身体)、
「オン・ロケイジンバラ〜」は融通無碍の働きについての称賛(ローカ・イーシュヴァラ
:世自在)です。

どうしてこのように複数の真言があるのかといえば、尊にはさまざまな利益がありますの
で、一つの経典の中でも章によって異なる真言が説かれるということ、そして経典が複数
ある場合はさらに増えてしまったします。

しかし、さきほど述べたように、一人の人でも複数の長所があるように、ほとけさまとも
なれば色々な利益がありますので、その利益のここを強調したいという時にその真言を唱
えるという方法もあります。

そこで、ある寺院にお参りにしたときにどうすればいいかということですが、大抵の本尊
様にはいわれがあって、その経典のどの章に根拠を見出して建立されたのかと言うことが
あります。ですから、それに対応する真言を唱えることが一番いいのでしょうが、ぱっとみてもわか
らないものです。

常用経典に載っているような真言を唱えれば間違いもないと思いますが、心配ならばそこ
のご住職にお尋ねしてみるのも何の失礼にも当たりませんので、そうなさることがよろし
いのではないかと思います。

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