観音経秘鍵(かんのんきょうひけん)


  世尊妙意観世音。 
   せそんみょういかんぜおん。

   金銀座寶の蓮華は、歴劫不思議の波を立て心得の深きを顕す。
  
こんごんざほうのれんげは、りゃくこうふしぎのなみをたて、しんとくのふかきをあらわす。

  弘誓深如海の船は、此に来りて傾かず、
   ぐぜいしんにょかいのふねは、ここにきたりてかたむかず、

   還著於本人の剣を以って、呪詛諸毒薬の病を滅す。
   げんじゃくおほんにんのけんをもって、じゅそしょどくやくのやまいをめっす。

   念彼観音の力を合わせ、諸欲害身の敵を滅ぼす。
   
ねんぴかんのんのちからをあわせ、しょよくがいしんのてきをほろぼす。

   発大清浄願の滝水は、煩悩妄想の垢を雪ぐ。
   ほつだいしょうじょうがんのたきみずは、ぼんのうもうそうのあかをそそぐ。

   我意汝略説の草木は、聞名及見身の種を成し、
   がいにょりゃくせつのそうもくは、もんみょうぎゅうけんしんのたねをなし、

   心念不空の風吹けば、能滅諸有苦の雲晴れ、
   しんねんふくうのかぜふけば、のうめつしょうくのくもはれ、

  念念勿生の月明らかに照らす。
   ねんねんもつしょうのつきあきらかにてらす。

   推落大火の雨降れば、火坑の火も消滅す。
   すいらくだいかのあめふれば、かきょうのひもしょうめつす。

   即従座起の金を以って、和光垂迹の利物を顕わす。
   そくじゅざきのこがねをもって、わこうすいじゃくのりもつをあらわす。

   雲雷鼓掣電降雹?大雨は、皆な是れ観世音の仏力なり。
   うんらいくせいでんごうばくじゅだいうは、みなこれかんぜおんぶつりきなり。

   唱え奉る福聚海無量、閻浮檀金の家の内は、皆な是れ法性の春。
   となえたてまつるふくじゅかいむりょう、えんぶだんごんのいえのうちは、みなこれほっしょうのはる。

   以偈問曰の華開く、我今重問、彼の秋の露は、
   いげもんわつのはなひらく、がこんじゅうもんぴのあきのつゆは、

  世尊妙相具の草木宿する事疑い無し。

   せそんみょうそうぐのそうもくしゅくすることうたがいなし。

   生死の病種種因縁の薬を給う。
   しょうじのやまいしじゅいんねんのくすりをたまう。

   慈眼視衆生、福聚海無量。是故応頂礼。念彼観音力。
   じげんししゅじょうふくじゅかいむりょう。ぜこおうちょうらい。ねんぴかんのんりき。

   諸願成就。皆令満足、急急如律令。
   しょがんじょうじゅ。かいりょうまんぞくきゅうきゅうにょりつりょう。

   南無大慈大悲観世音菩薩、
   なむだいじだいひかんぜおんぼさつ

   種種重罪  五逆消滅   自他平等  即身成仏。
   しゅじゅじゅうざい ごぎゃくしょうめつ じたびょうどう そくしんじょうぶつ。