禁煙

実は、平成19年8月2日(木)禁煙しました。

当日は、お四国満願の日、朝から台風が四国に近づいていて、不安な朝でした。数日前から、この遍路(満願の旅)で禁煙しようと思っていました。ですから、少しずつ減らしていました。もともと、遍路に出ますと、歩いているときには吸いません。休憩のときに、一服することがありました。

今の世の中、タバコが吸える場所も状況もほとんどなくなってきています。毎年の人間ドックの結果もよくない。18年度には、大腸ポリプの摘出。大きくて癌化していたもので、定期的に検査を繰り返していました。幸い一年後の検査で、完全に転移がないということです。

8月2日、朝高松のホテルを朝一番に出て、朝6:10始発 琴電「長尾」行きに乗って、87番長尾寺に向かいました。まだ雨は降っていません。7時前には、お参りを済ませ、納経所が開くのを待って、ご朱印後一路、88番大窪寺を目指します。

前山へんろ交流館までは、雨もまだでしたが、道の駅でパンをいただいていたら、雨がパラパラ。夏ですから、うすい上着だけ雨対策でもっていました。リュックカバーはつけましたが。台風独特の降ったりやんだり。数人の遍路は、三々五々大窪寺に向かって、それぞれの道を歩き始めています。

私は、雨ですし、女体山の岩は無理だと判断し、ドライブウェイを進みます。雨は、まだ時折降ってくる程度。低い雲が、道の上を流れていきます。

だんだん山深く入っていきます。横をせせらぎが流れていて、遍路道が車道の横になるわずかなところがあります。ここで休憩。(実はこれが最後の休憩でした。)その日最後のタバコでした。まだ、数本残っていました。なんともまさか其の日に完全禁煙するとは、自分でも思っていませんでした。

休憩を終えて歩き始めると、雨がますますはげしくなってきました。ザンザン降り。太郎兵衛館のところでは、土砂降りで、シートを屋根代わりにして立って休みました。

だんだん山も上に。頂上付近の神社前。何も見えません。前が見えないほどの土砂降りです。体中ずぶ濡れ。もう歩き続けるしかありません。あの下り坂、大窪寺の奥の院からふもとの本堂まで、2時間も休みなし。ヘロヘロになって到着です。本堂で、上着(絞れます。)を脱いで、ポケットのタバコはグチョグチョ。

たぶんライターは、濡れて点かないと思います。このライターには、名古屋の娘が、京都の娘と会って、孫と三人のプリクラが貼ってありました。そのまま、本堂の賽銭箱に入れました。

「仏様、お大師さま、もうタバコを一生吸いません。どうか、私を守ってください。」

ぞっとしました。背筋が寒い。こんな約束をしていいのでしょうか。まだ、本気でも実感もないままです。でも、もう仏様に約束してしまいました。雨も小止みになっていましたが、タバコはもう持っていませんし吸いたいとは思いませんでした。

それ以来、一本も吸っていません。だって、仏様に約束してしまったのです。どこに隠れても、どんな嘘も許されませんね。タバコを止めたいと思っている人。がんばってくださいね。

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