帰家穏挫(きかおんざ)

 長らく放浪していた者が、故郷の自分の家に帰って身も心も落ち着く。転じて仏教では人間が本来自分に備わっている仏性に立ち帰って安住すること。

 昨日、東京の相田みつを美術館で「ゆ」と書いた書を見ていて、その解説に『帰家隠挫』の言葉がありました。禅宗道元禅師のことばかと。もう今年で定年です。ずっと口では、仕事をこきおろし、辛い辛いとぐちりながら来ましたね。(周りでは、愉快そうだと。)

『帰去来の辞』帰りなんいざ!そんな気持ちでした。でも、今回、この言葉に接して、ストン!って、落ちました。

 30数年、人生を模索し、おぼれながら来たのかもしれませんね。方法論だけが、処世術として身についた私です。

 そろそろ、帰りましょう。自分の座席にね。そんな、気になりましたよ。

    ■遍路で学んだことに戻る     次の話 ⇒