夭』 (とうよう)

部下の披露宴 祝辞                            H23.5.30


ご結婚おめでとうございます。
また、ご両家のお父様お母様皆さま、本日はまことにおめでとうございます。

わたしは、職場上司というより、同じような年頃の娘を持つ父として、今後末永くお二人が幸せでありますようにと願うばかりでございます。

中国の楊貴妃にまつわる『比翼連理の故事』です。

その昔、楊貴妃と玄宗皇帝は、七夕の夜に、二人だけしかしらない愛の約束をします。その誓いの言葉は、「天に在りては願わくば比翼の鳥とならん。地に在ては願わくば連理の枝とならん。」という言葉です。
いまは、もちろんのこと、やがて天の世界に行っても、二人が重なって目と翼が一つずつで、常に一体となって飛ぶ鳥になりましょう。また次の世で再びこの世界に生まれ変わっても、根元は別々の二本の木であっても、幹や枝が途中でくっついて生きる一本の木になりましょう。生涯、いや次の世でもその次の世でも、永遠の愛を誓う言葉です。この故事は、はるか古代から夫婦の愛の契りの言葉として語られています。「比翼の鳥、連理の枝」になってくださいという話です。

  もう一つ、中国の四書五経の『詩経』にある有名な祝いの詩があります。
嫁ぐ娘に送るその親が詠む詩です。
 『桃 夭』 (とうよう)
 桃の夭夭(ようよう)たる 灼灼(しゃくしゃく)たり その華
この子 于(ゆ)き帰(とつ)ぐ  その室家に宜しからん
「桃のその若々しい様よ、燃えるように咲くその花よ、
(桃の花のような)この子は今お嫁に行く、きっと嫁ぎ先にふさわしいお嫁さんになるでしょう。」

桃の夭夭(ようよう)たる 有(まこと)にふんたり その実
この子 于(ゆ)き帰(とつ)ぐ  その家室に宜しからん
「桃のその若々しい様よ、まことに、はちきれんばかりに実っているその実よ、
(桃の花のような)この子は今お嫁に行き、子をなすだろう。そしてきっと嫁ぎ先に幸せをもたらすでしょう。
桃の夭夭(ようよう)たる その葉 蓁蓁(しんしん)たり 
この子 于(ゆ)き帰(とつ)ぐ その家人に宜しからん
「桃のその若々しい様よ、ふさふさと生い茂っている、その葉よ
(桃の花のような)この子は今お嫁に行く、必ずや嫁ぎ先の人々にも、子々孫々の繁栄をもたらすすばらしい嫁になるでしょう。」
どうか、何時までも、互いにいつくしみ、いたわりあえる生涯の伴侶として、共に生きてください。

私たちここに参列しています全員が、出来る限りのご協力・ご支援を惜しみなくすることをお約束いたしまして、この良き日のお祝いの言葉とさせていただきます。本日は、まことにおめでとうございます。

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