お参りのに出るには  (四国88箇所参りのとき)

●四国のお遍路に出ようと思います。でも、いったいどうしたらいいのか。難しいですよね。

●四國霊場八十八カ所の巡礼を始めるとき、まず最初のお寺で授戒の式を受けます。
これは、必ずしも第一番から始める必要はないので、初めにスタートするお寺でよいでしょう。
授戒の式は住職に導かれて、通常真言宗の作法に沿います。

○個人で思い立ったのでしたら、特に受戒を受けなくても、気持ちです。

  三信条
      ●摂取不捨の御誓願を信じ、同行二人の信仰に励む。
      ●何事も修行と心得て愚痴、妄語を慎む。
      ●現世利益の霊験を信じ、八十八使の煩悩を消滅させる。

○読経は本堂と大師堂の二か所で行います。
 お経は、経本によっても違います。「勤行次第」は、どうやら基本の考えを外れなければ、
 自分なりのスタイルを持つのもいいでしょう。


[具体的な作法] ご紹介しますが、基本スタイルは、「お参りの方法」を参照ください。

@山門 (駐車場からの入り口がある場合でも、やはり山門から入りたいですね。)
 合掌し、手を合わせ一礼します。寺の場合は左側から入り左側から出ます。

      このときスゲ笠以外の帽子は脱ぎ一礼します。菅笠は、脱がなくてもいい。
      仏様が山門までお迎えに来て下さっているのです。
                     
A手洗い
 手と口を清めます。左手を洗い、しゃくを持ち替えて、右手洗います。
 もう一度、左手に新鮮な水をくみ口をすすぎます。残りの水で柄杓を立てると柄に流れますから、
 左手を洗い、しゃくの手元を洗い、元の位置に置きます。
 絶対にしゃくの水を直接飲まないようにしましょう。他のお遍路さんも使います。

 ここで、輪袈裟と念珠を準備します。

B本堂
 1.線香は、3本(本人.先祖様.弘法大師様)たてます。
 2.ロウソク1本。お祈り中にお迎えしている仏様を香でもてなします。ロウソクは心に灯す智意です。
 3.火は他の人のろうそくを使わない。 自分の持ってきたマッチかライターで灯明しましょう。
 (種火が有るときはこれを利用しても良い)
 4.納め札1枚(あらかじめ住所、名前を書いておきます。)を納め札入れにいれます。日付を忘れずに。
 5.供物料としてお賽銭を納めます。

 念珠を3回すり、合掌します。手前にすります。(向こうにするのは、お葬式)
  真言宗の念珠は、左手が人差し指で右手が中指にかけます。中で一回ねじって、
  房も両手の平に包みます。(この持ち方は、真言宗高野山派です。)

(必) 合掌礼拝(がっしょうらいはい)
 胸の前で合掌し三礼(膝を小さくかがめて3回))
 「うやうやしく み仏を礼拝したてまつる」と唱える。一返

   ※ お坊さんや先達さん・・・ (普禮真言(ふらいしんごん) 
        ※ご本尊のおみ足を額にいただき、一切諸仏にご挨拶を申し上げます。
                        おん さらば たたぎゃた はんなまんなのう きゃろみ
打ち鐘があれば、(鈴でも)2回打つ。

(必)懺悔文(さんげもん)   (青色は、漢文調。黒は和文調です。経本によります。)
         我昔所造 諸悪業(がしゃくしょぞう  しょあくごう)
         皆由無始 貪瞋痴(かいゆうむし   とんじんち)
          
従身語意 之所生(じゅうしんごい  ししょうしょう)
          
一切我今 皆懴悔(いっさいがこん  かいさんげ)

                    我れ昔より造(つく)りし所の諸(もろもろ)の悪業(あくごう)は、
                    皆な無始(むし)の貪、瞋、癡、(とん、じん、ち)に由(よ)る。
                    身語意(しんごい)より生ずる所なり。
                    一切(いっさい)我れ今、皆な懺悔(さんげ)したてまつる。

    ※真言宗では、懺悔文が最初ですが、他宗では、開経偈が先です。

帰依文(きえもん) 三返(それぞれ3回づつ)

    ※経の区切れでは、毎回1回鈴を打ちます。
三帰
       弟子某甲  盡未来際     帰依佛  帰依法  帰依僧   
       でしむこう  じんみらいさい  きえぶつ きえほう  きえそう 

三竟
       弟子某甲   盡未来際    帰依佛竟    帰依法竟     帰依僧竟
       でしむこう  じんみらいさい きえぶつきょう  きえほうきょう  きえそうきょう


   人身受け難し、今己(いますで)に受く、仏法聞き難し、今己に受く、
      この身、今生(こんじょう)に度(ど)せずんば、 
      更に何れの生(しょう)に於いてか、この身を度せん。
      大衆諸共(もろとも)に、至心(ししん)に三宝(さんぼう)に帰依したてまつる。


   
自ら仏に帰依し奉る。当(まさ)に願わくは衆生と共に、大道(だいどう)を
                           体解(たいげ)して、無上意(むじょうい)を発(おこ)さん。
     自ら法に帰依し奉る。当に願わくは衆生と共に、深く経蔵(きょうぞう)に入りて、
                           智慧(ちえ)海の如くならん。
     自ら僧に帰依し奉る。当に願わくは衆生と共に、大衆(だいしゅう)を統理(とうり)して、
                           一切無礙(いっさいむげ)ならん。

                                  金 1回

十善戒(じゅうぜんかい) 三返
       弟子某甲 尽未来際         (でしむこう じんみらいさい)
       不殺生 不偸盗 不邪淫      (ふせっしょう ふちゅうとう ふじゃいん)
       不妄語 不綺語 不悪口      (ふもうご ふきご ふあっく)
       不両舌 不慳貪 不瞋恚      (ふりょうぜつ ふけんどん ふしんに)
       不邪見                 (ふじゃけん)
                                  金 1回

発菩提心真言(ほつぼだいしんしんごん)三返
       おん ぼうち しった ぼだはだやみ     金 1回
                  (清らかな仏心の蓮華を我が胸中に開かん)

三昧耶戒真言(さんまやかいしんごん)三返
       おん さんまや さとばん            金 1回
                  (仏性もとより平等なれば、仏と一体になり 即身成仏せん) 

(必)開経偈(かいきょうげ)
        無上甚深 微妙法(むじょうじんじん  みみょうのほう)<
         百千万劫 難遭遇(ひゃくせんまんごう  なんそうぐう)
        我今見聞 得受持(がこんけんもん  とくじゅうじ)
        願解如来 真実義(がんげにょらい  しんじつぎ)


           無上甚深(むじょうじんじん)微妙(みみょう)の法は、
           百千万劫(ひゃくせんまんごう)にも逢(あ)い遇(お)うこと難(かた)し、
           我れ今、見聞(けんもん)し受持(じゅじ)することを得たり、
           願わくは如来の真実義(しんじつぎ)を解(げ)せん (ことを)。
        
                                   金 1回

(必)般若心経(はんにゃしんぎょう)一巻  syingyo02.wma   (読み方で、区切りました。)

    仏説摩訶   般若波羅   蜜多心経
   ぶっせつまか はんにゃはら みたしんぎょう

   観自在菩薩    行深般若      波羅蜜多

    かんじざいぼさ  ぎょうじんはんにや はらみた

    時照見五    蘊皆空度   一切苦厄   舎利子色  不異空空   不異色色 
   じしょうけんご  うんかいくうど  いっさいくやく  しゃりししき ふいくうくう ふいしきしき

   即是空空   即是色    受想行識     亦復如是  舎利子是   諸法空相
   そくぜくうくう そくぜしき  じゅそうぎょうしき  やくぶにょぜ  しゃりしぜ   しょほうくうそう

   不生不滅    不垢不浄  不増不減   是故空中   無識無    受想行識 
   ふしょうふめつ ふくふじょう ふぞうふげん ぜこくうちゅう   むしきむ   じゅそうぎょうしき

   無眼耳鼻   舌身意無   色聲香味     觸法無   眼界乃至   無意識界
   むげんにび  ぜつしんにむ  しきしょうこうみ  そくほうむ げんかいないし むいしきかい

   無無明亦    無無明盡   乃至無老   死亦無老  死盡無苦   集滅道無   
   むむみょうやく むむみょうじん ないしむろう  しやくむろう  しじんむく   しゅうめつどうむ

   智亦無得   以無所得   故菩提薩垂   依般若   波羅蜜多       
   ちやくむとく  いむしょと    こぼだいさった   えはんにゃ はらみた

   故心無圭   礙無圭  礙故無有 恐怖遠離  一切顛倒    夢想究竟  
   こしんむけい げむけい  げこむう   くふおんり  いっさいてんどう むそうくきょう

   涅槃三世   諸仏依  般若波羅蜜多    故得阿耨   多羅三藐    三菩提  
   ねはんさんぜ しょぶつえ はんにゃはらみつた  ことくあのく  たらさんみゃく  さんぼだい 

   故知般若  波羅蜜多   是大神呪   是大明呪    是無上呪    是無等等
   
こちはんにゃ はらみた  ぜだいじんしゅ ぜだいみょうしゅ ぜむじょうしゅ  ぜむとうとう

   呪能除   一切苦   真実不虚  故説般若    波羅蜜多  咒即説  呪曰 

   しゅのうじょ いっさいく  しんじつふこ こせつはんにゃ はらみた  しゅそくせっ しゅわつ

   羯諦羯諦        波羅羯諦    波羅僧羯諦     菩提薩婆訶 
   ぎゃあていぎゃあてい はらぎゃあてい はらそうぎゃあてい   ぼうじそわか 
   般若心経                                          金 1回
   はんにゃしんぎょう

       ☆『五大願

         衆生無辺誓願度(しゅじょうむへんせいがんど)           
         福智無辺誓願集(ふくちむへんせいがんしゅう)
         法門無辺誓願覚(ほうもんむへんせいがんかく)
         如来無辺誓願事(にょらいむへんせいがんじ)
         菩提無上誓願證(ぼだいむじょうせいがんしょう)

(必)御本尊真言(ごほんぞんしんごん)三返   (大師堂では、読みません。)
     お参りしたお寺のご本尊の真言をとなえます。
                                        金 1回

(必)光明真言(こうみょうしんごん)三返
       おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん

十三仏真言(略式の場合は、読みません。)
不動明王 御真言   のうまくさんまんだ、ばざらだん、せんだん、まかろしゃだ、そわたや、うんたらた、かんまん
釈迦如来 御真言   のうまくさんまんだ、ぼだなん、ばく
文殊菩薩 御真言   おん あらはしゃのう
普賢菩薩 御真言   おん、さんまや、さとばん
地蔵菩薩 御真言   おん、かかか、びさんまえい、そわか
弥勒菩薩 御真言   おん、ばいたれいや、そわか
薬師如来 御真言   おん、ころころ、せんだり、まとうぎ、そわか
観世音菩薩 御真言  おん、あろりきゃ、そわか
勢至菩薩 御真言   おん、さん、ざん、さく、そわか
阿弥陀如来 御真言  おん、あみりた、ていぜい、からうん
阿しゅく如来 御真言 おん、あきしゅびや、うん
大日如来 御真言   おん、あびらうんけん、ばざらだどばん
虚空蔵菩薩 御真言  のうぼう、あきゃしゃ、ぎゃらばや、おんあり、きゃまり、ぼり、そわか
                                 金 1回

(必)御宝号(ごほうごう)三返、
       南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)
                                 金 1回
  一般的には、ここまで。あとは、回向文です。

   舎利礼文
      一心頂礼      万徳円満       釈迦如来      真身舎利 
     いっしんちょうらい まんとくえんまん   しゃかにょらい   しんじんしゃり
     本地法身       法界塔婆       我等礼敬      為我現身 
     ほんじほっしん   ほうかいとうば    がとうらいきょう  いがげんしん
     入我我入       仏加持故       我証菩提      以仏神力 
     にゅうががにゅう  ぶっかじこ      がしょうぼだい   いぶつじんりき
     利益衆生       発菩提心       修菩薩行       同入円寂 
     りやくしゅじょう   ほつぼだいしん   しゅうぼさつぎょう  どうにゅうえんじゃく
     平等大智      今将頂礼
     びょうどうだいち  こんじょうちょうらい

   觀音經普門品偈(かんのんきょう ふもんぼんげ)   一反
              ※觀音様のお徳を、詩文の形で讃えます。

   大金剛輪陀羅尼(だいこんごうりん だらに)   三反
        ※ご本尊、諸佛諸菩薩への供養の落ち度の部分を補足します。
         
         のうまく しっちりやじびぎゃなん たたぎゃなん あんびらじびじまかしゃ きゃらばじり
         さたさた さらていさらてい たらいたらい びだまに さんばんじゃに たらまち
         しったぎりやたらん そわか


   阿弥陀如来根本陀羅尼

         のうぼう あらたんのう たらやぁや
         のうまく ありや みたぁばぁや
         たたぎゃたや あらかてぃ さんみゃく
         さんぼだや たにゃた
         おん あみりてい
         あみりとう どはんべい
         あみりた さんばべい
         あみりた ぎゃらべい
         あみりた しってい
         あみりた ていせい
         あみりた びきらんでぃ
         あみりた びきらんだ ぎゃみねぃ
         あみりた ぎゃぎゃのぅ きちきゃれぃ
         あみりた どんどび そばれぃ
         さらば あらた さたねぃ
         さらば きゃらま きれぃ しゃきしゃ
         よぅ きゃれぃ さわか


    至心廻向(ししんえこう)   一反
        ※ここで得た魂の喜びをいつまでも失わず、魂の向上が成就出来ることを願うと同時に、
         それを自分だけのものとはしません。
      懺悔随喜勧請福 さんがいずいきげんせいふく
      願我不失菩提心 げんがふしほていしん
      諸仏菩薩妙衆中 しょふほさびょうしゅうちゅう
      常為善友不厭捨 しょういせんにゅうふえんしゃ
      離於八難生無難 りよはつなんせいぶなん
      宿命住智荘厳身 しゅくべいちゅうちそうげんしん
      遠離愚迷具悲智 えんりくべいくひち
      悉能満足波羅蜜 しつのうまんそくはらび
      富楽豊饒生勝族 ふらくほうじょうせいししょく
      眷属広多恒熾盛 けんしょくこうたこうしせい
      四無擬弁十自在 しぶかいへんしゅうしさい  (かいは、石へんです。)
      六通諸禅悉円満 りくとうしょせんしってんまん
      如金剛幢及普賢 じょきんこうとうきゅうほけん
      願讃回向亦如是 げんざんかいきょうえきじょし
      帰命頂礼大悲   きべいていれいたいひ
      毘慮遮那仏    ひろしゃだぶ


(必)回向文(えこうもん)(普回向ふえこう)一返

        願以此功徳  (がんにし くどく)
       普及於一切  (ふぎゅうお いっさい)
      我等與衆生  (がとうよ しゅじょう)
      皆共成佛道  (かいぐ じょうぶつどう)

 
                        願わくば此の功徳(くどく)を以って、
                        普(あまね)く一切(いっさい)に及ぼし、
                        我れ等と衆生(しゅじょう)と、
                        皆(みな)共に仏道を成(じょう)ぜん(ことを)

                                 金 3回

(必)「ありがとうございます」と述べ、合掌一礼

     (普禮真言(ふらいしんごん)  三反
        ※ご本尊のおみ足を額にいただき、一切諸仏にご挨拶を申し上げます。
                    おん さらば たたぎゃた はんなまんなのう きゃろみ


C大師堂 線香・ろうそく・納め札・お賽銭、読経します。

(必)合掌礼拝(がっしょうらいはい)
     胸の前で合掌し三礼しながら「うやうやしく み仏を礼拝したてまつる」と唱える。一返

       (普禮真言(ふらいしんごん)  
        ※ご本尊のおみ足を額にいただき、一切諸仏にご挨拶を申し上げます。
                      おん さらば たたぎゃた はんなまんなのう きゃろみ
(必)懺悔文
(必)開経偈

(必)般若心経

 一般的には、この後ご宝号と回向文です。

  諸真言(3)
   大日如来 おん、あびらうんけん、ばざらだどばん
   不動明王 のうまくさんまんだ、ばざらだん、せんだん、まかろしゃだ、そわたや、うんたらた、かんまん
   愛染明王 おん まからぎゃ ばぞろ うしゅにしゃ ばざら さとば じゃくうんばんこく
   光明真言 おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん

    百字の偈(ひゃくじのげ) 『理趣経』

      菩薩勝慧者 乃至盡生死 ほさっしょうけいしゃ    だいししんせいし
      恒作衆生利 而不趣涅槃 こうさくしゅうせいり   じふしゅでっぱん
      般若及方便 智度悉加持 はんじゃきゅうほうべん  ちとしっかち
      諸法及諸有 一切皆清浄 しょほうきゅうしょゆう  いっせいかいせいせい
      欲等調世間 令得浄除故 よくとうちょうせかん   れいとくせいちょこ
      有頂及惡趣 調伏盡諸有 ゆうていきゅうあくしゅ  ちょうふくしんしょゆう
      如蓮體本染 不爲垢所染 じょれんていほんぜん   ふいこそぜん
      諸欲性亦然 不染利群生 しょよくせいえきぜん   ふぜんりきんせい
      大欲得清浄 大安楽富饒 たいよくとくせいせい    たいあんらくふうじょう
      三界得自在 能作堅固利
 さんかいとくしさい     のうさけんこり

(必)ご宝号(3)南無大師遍照金剛
(必)普回向(1)

(必)ありがとうございます」と述べ、合掌一礼
     ( 普禮真言(ふらいしんごん)  三反
        ※ご本尊のおみ足を額にいただき、一切諸仏にご挨拶を申し上げます。    
                   おん さらば たたぎゃた はんなまんなのう きゃろみ)

 お経の後で、納経場でご朱印とご影札をいただきましょう。(お経を納めた証です。)

 帰りも、山門から左側を通ってでます。
 振り返って、合掌し、手を合わせ一礼します。(菅笠以外なら、脱帽です。)

■四国八十八箇所  仏教の勉強室