薬師巡礼(終)(C)2004 RayLand   兵庫 香住大乗寺・城崎温泉寺  京都 舞鶴多禰寺

 やっと西国薬師49ヶ寺巡礼の旅を終えました。

夏季特休をとり、早朝大阪から舞鶴に向かいました。あの「岸壁の母」舞鶴港をぐるっと

まわり、結構すごい坂道を上がります。小高い山に多禰寺は、あります。

 

険しい石の階段を上ったところに、山門があります。その山門は鐘楼にもなっていて、

撞けます。思い切って一撞き。「うやうやしく礼拝奉る。」

袈裟をかけ、数珠を手にしますと、

引き締まります。ご本尊にお参りし、読経。最近は、本尊真言、

不動真言、愛染真言、大日真言、おん あびらうんけん ばざら だとばん


光明真言をあげます。じっくり拝観し、ご朱印をいただきに。するとご住職が、「高野山派真言宗

だね。」って。どうして分かったのでしょう。袈裟でしょうか。なんだか、うれしくなりました。

 ゆっくりしたいお寺のひとつです。でも残念ながら、先を急いでいます。今度機会があればと

後ろ髪引かれるおもいです。

  温泉のお湯を飲みます。

 車は、一路城崎温泉へ。温泉寺は、城崎温泉の西の端にあります。

観光客がいっぱいです。外湯巡りも人気です。若い人たちが、タオルをもって歩いています。

まっすぐ温泉寺に。お薬師様は、その慈悲のお姿でお待ちです。

家族づれや若者も、たくさんお参りに来ています。私たちの方が、場違いな感じです。

いいですね。どんなきっかけでも、たくさんの人がひとがおまいりされるのは、いいことです。

 さてさて、車はまだまだ走ります。城崎から香住へ。(簡単に書いてますが、みんな70km

ほど離れています。)いよいよ最後の大乗寺。

 

 静かです。どうやら地元ではお堂よりも、襖絵などの建物が有名のようで、参拝者は、

いません。観音堂と薬師堂があります。ここが、西国薬師49寺の満願、打ち止めの寺院に

なりました。私たちの薬師の巡礼も終わりです。

 おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

 薬師様が菩薩のとき12の大願を立て、やがて如来になられ、いま私たちにその功徳を

降り注いでくださいます。

1、すべての人々をほとけにする。
2、すべての人々を明るく照らし、人々が善い行いをできるようにする。
3、すべての人々が必要なものを手に入れることができるようにする。
4、すべての人々を大乗仏教の正しい教えに導く。
5、すべての人々に戒律を保たせる。
6、すべての人々の身体上の障害を無くす。
7、すべての人々の病を除き窮乏から救う。
8、女であることによって起こる修行上の不利な点を取り除く。
9、すべての人々をさとりの妨げをなす魔から救い、菩薩の修行を修習させて完全なさとりに到達させる。
10、国法による災いなどの災難や苦痛から解放する。
11、すべての人々が飢えや渇きに苦しむことがないようにする。
12、すべての人々に衣服を与え、心慰めるものを与えて満足させる。

 仏の功徳は、そのひとつでも自分にも身に着けたい能力です。さて、わたしにできることは

あるのでしょうか。少しでも私は、お薬師様に近づいたのでしょうか。



最後の大乗寺の入り口の階段下に、一石二体の石像がありました。

右が大日如来。左が弘法大師です。この意味が、少しづつわかってきました。

これからも、どんなときも慈悲の気持ちを失わない生き方をしていきたいとおもいます。

 薬師寺 薬師三尊像

 昨年7月末、西国観音霊場33箇所を満願し、長野善光寺に満願の報告に行き、

ひとつの達成感と逆にまだまだ満たされない焦燥感のなかで、今度は薬師様を

まわろうと思い立ちました。7月29日に奈良薬師寺をはじめ七つの寺を一気にまわり

いよいよ西国薬師巡礼の始まりです。

 この西国薬師は、平成元年に発足した新しい霊場です。大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・

和歌山・三重を範囲として、薬師如来本願功徳経の四十九燈に因んで四十九ヶ寺によって、

平成元年7月3日、大阪にて西国薬師霊場会が結成されました。薬師如来を本尊または

別堂に祀る等本尊に準じてお祀りする寺々の中から、交通・寺観・寺の同意と薬師信仰の

定着性等を考慮のうえ、宗派には一切とらわれずに四十九ヶ寺がまとめられました。

また昨年春に奈良の薬師寺が大講堂落慶法要の際に、49ヶ寺の住職が一堂に会したそうです。

観音霊場との違いは、あまり有名でないお寺が多いこと。参拝者が少なく、物見遊山

の人も少ないこと。お寺の方々がとても親切で、たくさんのお寺で声をかけていただき、

中には、お茶や果物までお接待いただきました。

(ひたすら掛け軸を売ろうとした住職もおられましたが、・・)

 いま思い出すと、その頃からご住職とも話す機会が増え、仏教というものに興味が

湧いてきたように思います。(当時の文章に、「そろそろ仏教の勉強を始めたい。」と

書きました。)あれから、一年。休みの度に、出かけました。21回のドライブです。

13ヶ月。一度に3寺程度。同じ方向にあるところを。(順番は、気にしませんでした。)

でも、多く秘仏だったものですから、これも観音霊場との違いでしょうか。

 どの本にも、たいてい「巡礼を始めて、だんだん信仰心が湧いてくるものだ。」と

書かれています。内心、疑っていました。私の興味は、仏像の姿と配置。

仏教美術でした。また、それぞれの仏像が持つ功徳の種類や位置づけです。

半年ほど、勉強を重ねていきました。そんな中で、「薬師如来」のことをもっと知りたい

と思うようになりました。

薬師如来 日光・月光菩薩 ■十二神将 ■薬師八大菩薩 ■薬王・薬上菩薩
■帝釈天・梵天   ■四天王  
阿難       ■救脱菩薩

そして、経典を調べ読むことまでに、到ったわけです。

薬師本願功徳経対訳

また、更に「薬師如来」は誰なんだろうという疑問。


■瑠璃の発心 ■瑠璃の経文 ■瑠璃の仏土 ■瑠璃の東園 ■瑠璃の仏尊 

どんどん深く調べていくと、「仏教」というものの深さや重さが分かりかけてきました。

人は、生きていると想像できないようなことがおこります。自分にも、そして同行にも。

本当にいろいろ考えました。様々な感情が、時々に心に現れ、私の愛の本質を問います。

それが、怒りであったり、悲しみであったり、あせりや焦燥など。でも、結局は自分の感情

が起因して起こる心の曇りであることが、わかってきたんです。

まだまだ一点の曇りもない鏡の境地は、程遠いですが、素直な自分でありたいと思っています。

■薬師巡礼

仏教の勉強室