遍路ふたたび(8)  11月2日から6日

遍路ふたたび(1)東寺出発準備 (2)別格1.2番、1番ー11番
(3)12番-19番、別格3番 (4)20番ー23番、別格4番 (5)24番ー33番、別格5番  
(6)34番ー43番、別格6.7.8番 (7)44番ー53番、別格9番 
(8)54番ー66番、別格10ー15番 (9)67番-83番、別格16-19番 
(10)84番-88番1番、1番、 (11)高野山 (12)別格20番、別格1番 (13)東寺

  

11月遍路 
11月2日 夜6時 大阪出発 9時30分到着       今治国際ホテル 泊

11月3日(1日目)

  やっぱり歩きたいので、ホテルを6時30分に出て歩き出す。
 ホテルの近くが55番南光坊なので、逆打ち。すでに何人か、お参りの方がいます。
 ふと高野山別院の屋上を見ますと、なんとお大師様が屋上におられます。



 南光坊から、あのマンション「今治城」の前を通って3kmくらい。

 

 雨がパラパラ降ったり止んだり。菅笠にビニールをかけて、パーカーです。
 少しの間、逆打ちです。遍路マークが発見できません。途中、迷ってみかん畑に行ってしまいました。
 戻ってきたのを見た村の方が、3人もこっちだよって指差してくださっています。
 延命寺には逆打ちですから、鐘楼の横から降りてきます。それをみた地元のおじいさん二人が、
 「どこからきたの?逆打ちかい?」って。ありがたいですね。

 54番延命寺に向かいます。



 ここから、泰山寺に向かいます。
 大きな国道をずっと歩きます。雨がこ止みなく。横断歩道の手前で、おばさんが自転車を止めて
 こっちを見ています。「泰山寺は、すぐだよ。あの道を右に曲がってね。」と案内のために待っていて
 くださってたんです。

 あのお地蔵様の千枚通しの56番泰山寺です。



 納経していると、歩きのおじさんがやってきました。空を見上げながら、「合羽を着ようか、
 空が明るくはなってきたが、・・」と悩んでいます。「私は足が弱いから、お先に出ます。」って。
 すぐにはるか遠くに。すごい!その後、会うことはありませんでした。すごい!」

 お寺を出て、すぐに左へ行くと奥の院まですぐらしい。やっぱりおまいりしたくて。
 すぐにお店?納経所?があって、中からおばあさんが「ようおまいり」。お堂の正面に 、
 あの壁を塗るコテで作ったという十一面観音さま。お線香をあげていると、お盆に熱い昆布茶と
 お菓子のお接待。だれもお参りがないんです。


 3.1km

 田んぼの中をしばらく歩きます。さっきのおじさんが、「久しぶりの「遍路道」らしいところだよ」って
 教えてもらったところです。

 橋を渡ると、向こうに小高い山。きっとあの裏が栄福寺です。遍路地図を見て、いかなぎ神社、八幡神社越えを
 選びました。八幡神社の別当寺ですから。前まで来て、躊躇しました。すごい階段。雨の中、ヒイヒイ。さらに
 山を登ると、とっても立派な岩清水八幡宮。正面階段をずっと下りていくと、なんと栄福寺のすぐ横です。

 

 57番榮福寺
 呼吸を整えて、本堂大師堂。大師堂の干支の彫り物をじっくり見ましたが、どうもどれやら不明です。

 

 歩きの人もいなくて、とぼとぼ犬塚のほうへ。

 
 2.4km  

 やっと車道に出て、木陰で休憩です。パンを食べていると、仙遊寺からおじさんが。「逆打ちや!遍路道はここかい?」
 って。みんな、歩きの人は元気だ。

 58番仙遊寺
 山門まででも息が切れるのに、最後の坂はすごい。どうもまだ都会のグータラが抜けない。
 村の団体さんらしき一行が。境内まで車を乗り入れるおじさん家族。なんと、手洗い水の出口で直接手を洗ってる。
 後のみなさんが、口をすすぐのに。むごい!

     

 6.1km  

 下りる遍路道は、山門のすぐ下です。今回は、くだりに強い。ズンズン進みます。
 やっと下りたところで、おじいちゃんが「ほれ、みかんをあげよう。」と。
 2時間近く歩きます。村の中やら、車道やら。町を歩くのは疲れます。犬は啼くし、人は冷たい視線だし。



 59番国分寺
    

 もう4時を回っています。あのタオル屋さんの元気なおにいさんにまたお接待のハンドタオルをいただきました。
 戻りの今治行きのバスは、16時44分発。まだ30分ある。今日は、初日できついので、タクシーを呼びました。
 おにいさんが、インターネットで明日の天気を調べてくれました。晴れるそうです。
         
 今治市内 連泊

11月4日 2日目

 朝5時30分車で、今治から伊予小松まで行って、石鎚山ハイウェイオアシスに車を止めて、さあ歩きましょう。
 道が心配だけど。ちょうど地元のおばさん二人が犬の散歩に来られていました。道を聞いたのですが要領を得ません。
 ままよ、遍路地図を頼りに香園寺への逆打ちルートでいざ横峰寺へ。
     8.0km  H100からH760まで登る。
 採石場を過ぎて、新しい道の工事現場を抜けます。だらだら坂をずっと上りますと、道が終了。横に四国の道標。
 香園寺奥の院から横峰寺への遍路道と合流します。

  

 そこからは、快適な山道です。
 休憩していますと、おじさん二人が通過。蟻さんにみかんを二袋お接待。

 しばらく行くと、なんだか急に岩肌の坂道が、延々2kmほど続きます。やっとのことで、車道に着きます。
 途中、数箇所去年の台風の影響か道が崩れていますが、地元の方やお寺のお世話で通れるようになっています。




 車道を進むと、駐車場方面と歩き道が分かれます。そこから1kmくらいです。実は、ずっと上りなんですよ。

 60番横峰寺。念願のお寺には、大師堂の横に下りて着きます。去年は、台風で別院でのお参りでした。でも、
 ここからお寺の方が、ご本尊を担いで運ばれたとか。すごいですね。お寺は、神社のような造り。石鎚の天狗色は
 ありませんが、独特の雰囲気です。

   

 一段降りて、納経所。前で休んでいますと、おじさんが二人、正規のルートで上ってこられました。
 お一人は、妙に時間や持参金などに正確なおじさん(係長と名づけました。)と年配の方で豪放磊落な感じの
 おじいさん。「昨日は、何の日なんだい。郵便局が休みだったよ。残り金が、13.000円だよ。下に降りたら、
 郵便局にいかないとな。」「何しろ、一ヶ月も歩いていると、何日かも何曜日なのかも関係ないからな。」
 「今日は、香園寺の宿坊に泊まるんだ。二回目で、あそこの風呂は温泉だしいいよ。」

 旅の無事をお祈りし、お別れしました。

 ハイウェイオアシスに戻ったのが、2時半。ラーメンがどこの有名なものより、おいしかったですよ。
 みかん1袋100円。

 3時です。時間があるので車で、別格10番興隆寺に向かいます。ナビで設定すると、どうも到着地点があやしい。
 駐車場とお寺が離れている。不安に思いながら車を走らせます。小松からすぐなんですが。

 予想通り。車を降りてから、赤い橋をすぎて山門。そこから延々と階段です。別格は、侮れません。
 札所の寺院より大きくて立派な(すごい階段)ところが多くあります。

  

 やっとお参りして、4時です。別格11番生木地蔵は、そこから10分あまり。今度は町の中なのですが迷いました。
 よこの神社が立派すぎて、まさか鳥居のすぐ横とは。生の木に地蔵をお大師様が刻んだとか。今は、倒れた木が
 残っています。

 

 今夜は、西条市内の国際ホテルに泊まります。JR西条駅近く。チェックインして、すぐに駅に下見です。
 素泊まりで、5.000円。安い。お店を探して、熱い飲み物を入れる水筒を購入しました。


 11月5日(3日目)

 宿からJR予讃線で「伊予西条」から「伊予小松」3っつめ。210円。6:23松山行きです。乗客はほとんどなし。
 伊予小松駅を降りると62番宝寿寺がすぐ見えているのですが、61番香園寺さんに先にお参りします。1.4km

 歩いていると、昨日お会いした係長さんが。やはり香園寺さんの宿坊にお泊りで、早出です。きっと、時間にも
 正確な方なのでしょう。再会を喜び合って、すれ違いました。

 香園寺さんの門を過ぎたところで、これまた昨日お会いした磊落おじいさん。「あんたか。郵便局に行くのを忘れて、昨日会った人に2万円借りたよ。お遍路さんは、いい人ばかりや。」「今日は、郵便局は開いてるかな。
 カードなんじゃ。」(でもまだ朝の7時過ぎですからね。)

  

 あの劇場のようなご本堂。子安大師。娘たちに縁結びと安産とのお守りを購入。安産の護符。

 1.3km戻って62番宝寿寺です。去年大師堂の改築中でしたが、ご本堂も一部きれいになっています。
 お祈りしていますと、あのおじいさん。「杖をみて、わかったよ。郵便局が開くまで時間があるから、清楽寺も
 行ってきた。いいところだったよ。」ですって。一度出会った人には、3回出会うというのは本当ですね。
 「あんたは、まだ若いから、そのうちじっくり回ればいい。」うれしいお言葉です。いつまでもお元気で。

 

 1.4kmで63番吉祥寺です。手前に芝之井があります。国道を避けて、昔の街道沿いを。村の洗濯場です。



 ここ吉祥寺は、唯一の毘沙門天様がご本尊。奥様のくぐり吉祥様。しばらくベンチで休憩です。
 パンとポットに入れてきたコーヒーです。

 

 さあ、3kmほど歩いて石鎚神社の赤い鳥居を目指しましょう。会う人すべてにご挨拶。
 あれ?あの神門がない?!いま改築工事で完全に撤去です。お参りの道も迂回します。
 階段を上って、3の鎖がある最後の階段。到着しました。

   

 拝殿の中には、阿吽の天狗様。おばあちゃんが二人、いすに座って一心に心経を唱えておられます。
 木製の大小に槌があります。肩やら腰やら、ひとつづつトントン。

 64番前神寺は、神社の参道を下りて、右に曲がったらすぐです。広いところに鳥居のような門。
 ぱらぱらお参りの人がいます。ここには、不動堂に石の槌があります。やっぱり石鎚ですから、この槌で
 トントン。

 

 鐘楼の前で、パン。もう、64番まできました。
 予讃線「石鎚山」駅に向かいます。石鎚温泉が魅力的でしたが、駅に着くと20分ほどで電車が来ます。
 まだ、12時です。電車は「伊予西条」止まりです。そこで、できれば別格12番延命寺と13番仙龍寺は行って
 おきたいので、西条のホテルに停めてある車で行くことにします。

 別格12番延命寺まで、25km。すぐにわかりました。「いざり松」と朱印帳に書いていただきます。大師堂は建物の
 入っていって、すぐ横で納経です。 

   

 13番仙龍寺さんは、また松山道「伊予土居」から高速で「川之江」まで行って、そこからがすごかった。
 うねる山道をひたすら走ると、ほとんど誰もいない山。ダム湖のほとりに駐車場だけ。
 すごい登り坂をくたくたになってあがると、靴を脱いでお寺の二階へ。おじいさんが納経のところに
 おられるだけ。お大師様のお部屋。右にはお不動様。休憩の部屋には、周りいっぱいに88箇所の写真と
 御影。その御影にご朱印が押されています。こんどは、そうしようかな。

  

 時刻は、3時半。夕刻が迫りあたりが冷えてきました。なんとか14番椿堂まで行けるかな。
 今度は、もっとすごいダム湖沿いの道を。そして、まだ徳島県のほうへ向かいます。

 別格14番椿堂です。村の中の坂道の途中にあります。「おさわり大師」が椿の木の前にいらっしゃって、
 右手でお大師様を、左手で自分の悪いところを触って祈ります。だれもいないお寺。秋の夕暮れ。

  

 今夜も西条市内に戻って泊まります。


11月6日(4日目)

 昨夜半から、雨です。本降り。あたりは真っ暗です。6時半に出発。
 川之江ICから、65番三角寺に。つくころには、雨が上がってきました。7時半。朝からちらほらお参りの
 方がいますよ。季節はずれの不断桜が咲いています。紅葉に桜ですよ。

  

 三角寺から徳島方面に国道192号線を進みます。10kmほどいって、66番雲辺寺への参道を。
 あたりは雲に覆われて、風も出てきました。 上ること3km。杉の小枝が道いっぱいに落ちている中を
 走っていますと、山門手前で歩きの方が。お接待のパンを。上の駐車場に車を停めて、合羽を着て歩き
 だすと、遍路道をあがってきたさっきのかた。思わず、軍手とホッカイロを追加のお接待。九州の熊本
 から飛行機で松山空港に着いて、歩き出したそうで、ほとんど野宿だそうです。寒くなるので大変です。
 冬用のテントと寝袋を持っているから平気だとか。 どうぞ、ご無事で!

  

 ロープウェイだと上から下りてきますが、山門からだとご本道の横に下からきます。
 例の自動の手水水。ザンザン降りの中をお参りしました。あの大毘沙門像が、煙っています。

  

 熊本の方に別れを告げて、今度は15番箸蔵寺に向かいます。徳島道の井川池田ICのそばです。
 なんとロープウェイですよ。重装備で乗り込みます。窓から遍路道、山門が見えます。歩けたらいいな。

   

 上について、右のほうに行きますと納経所。さらに右に進むと、気も遠くなるような階段です。何段でしょう。
 三度休憩しましたよ。上りきると、怖い天狗の阿吽のお面。ご本堂では、太鼓をたたいてご祈祷中。

   

 広い境内です。左手の遠くに大師堂。(ほんとうに広いんです。)ここは、金比羅さまの奥の院とか。
 雰囲気が似ています。ロープウェイを下りると、お土産に『箸』です。名古屋の娘に夫婦箸を買いましょう。

 目の前に「うどん」屋さん。思わずとびこんで「かまたま」ですよ。
 さあ、一路大阪へもどります。ちょうどお昼ですから、3時間で戻れます。徳島道もこれが最後です。
 今度は、高松道です。これからは、全部歩きたいな。早速計画を立てましょう。