愛染曼荼羅世界

愛染曼荼羅を見ることにしましょう。

 『金剛王菩薩祕密念誦儀軌』の抜粋です。
             
             西

 阿弥陀如来
 宝生如来  大日如来
不空成就如来 
 阿しゅく如来

 


(金剛界 五仏)

             東

加持四處
禮東方不動如來。
禮南方寶生如來。
禮西方無量壽如來。
禮北方不空成就如來

前所觀者爲之法身。今所觀者爲之智身。
相合表一體故。次應以此心供養門莊嚴世界
壇中觀白蓮妙色金剛莖
八葉具鬚蕊衆寶自莊嚴
常出無量光百千衆蓮遶
其上復觀想大覺師子座
寶王以?飾在大宮殿中
寶柱皆行列遍有諸幢蓋
珠鬘等交絡垂懸妙寶衣
周匝香花雲及與衆寶雲
普雨雜華等繽紛以嚴地
諧韻天妙聲而奏諸音樂
宮中想淨妙賢瓶與閼伽
寶樹王開敷照以魔尼燈
三昧總持地自在之?女
佛波羅蜜等菩提妙嚴華
方便作衆妓歌詠妙法音
以我功徳力如來加持力
及以法界力普供養而住

(中略)

誦三遍所生善願皆得成就
次於壇中師子座上月輪中。觀?字成本尊。

於本尊前安麼字。爲意生金剛。
右安賀 引 爲計里枳羅金剛。
後安蘇爲愛樂金剛。
左安?爲意氣金剛。
於西北隅安?爲意生金剛女。
東北隅安日? 二合 爲計里枳黎金剛女。
東南隅安薩爲愛樂金剛女。
西南隅安怛? 二合 爲意氣金剛女。
東門中安弱爲色菩薩。
南門中安吽爲聲菩薩。
西門中安鑁爲香菩薩。
北門中安斛 引 爲味菩薩。
外院西北角安素爲時春菩薩。
東北角安?爲時雨菩薩。
東南角安多爲時秋菩薩。
西南角安薩怛鑁 三合 爲時冬菩薩。

次於畫像心安?字。
此字兩邊安弱字成本尊即結鉤索鎖鈴等印迎請
二手金剛拳地輪反相鉤
二風各正直右風屈如鉤
結已誦眞言以右風三招


 図式してみると、以下のようになります。17仏です。

                               東

時雨菩薩 時秋菩薩
  弱為色菩薩
計里枳羅金剛女 愛楽金剛 愛楽金剛女
斛引為味菩薩 計里枳羅金剛 愛染明王 意気金剛 吽為声菩薩
意生金剛女 意生金剛 意気金剛女
鑁為香菩薩
時春菩薩 時冬菩薩

                               西


<愛染明王の12の御誓願>

  ・ 智慧の弓、方便の矢を以って愛敬を与え幸運を授けよう。
  ・ 悪心を加持して善果を得せしめよう。
  ・ 三毒の煩悩を破って浄い心を起こさしめよう。
  ・ 諸々の邪見驕慢の心を離れて正しい心に住せしめよう。
  ・ 諸人との争いの縁を断って一生平和に送らせよう。
  ・ 諸々の病苦と天災の難を去って天寿を全うさせよう。
  ・ 貧弱飢渇の苦を除いて無量の福徳を与えよう。
  ・ 悪鬼邪神の厄を払って安穏快楽ならしめよう。
  ・ 子孫の繁栄と家運の増長を守って福緑を断たせまい。
  ・ 前世の悪業の報いを清めて後生は浄土に生まれしめよう。
  ・ 女人には愛を与えて良縁を結ばしめ善児を授けん。
  ・ 女人にはお産の苦しみを免れしめ、生まれた子には福徳愛敬を授けん。






理趣経では、「17の清浄の境地」を次のように述べている。

  (大楽の法門) 金剛サッタの巻
    全ては清く、美しいものである。欲・触・愛・慢の小楽を大楽に
    変えることこそ、仏の道である。





  大日如来は十七の清浄なる菩薩の境地をあげて次のように説かれた。


1. 男女交合の妙なる恍惚は、清浄なる菩薩の境地である。
2. 欲望が矢の飛ぶように速く激しく働くのも、清浄なる菩薩
の境地である。
3. 男女の触れ合いも、清浄なる菩薩の境地である。
4. 異性を愛し、かたく抱き合うのも、清浄なる菩薩の境地
である。
5. 男女が抱き合って満足し、すべてに自由、すべての主、
天にも登るような心持ちになるのも、清浄なる菩薩の境地
である。
6. 欲心を持って異性を見ることも、清浄なる菩薩の境地
である。
7. 男女交合して、悦なる快感を味わうことも、清浄なる
菩薩の境地である。
8. 男女の愛も、清浄なる菩薩の境地である。
9. 自慢の心も、清浄なる菩薩の境地である。
10. ものを飾って喜ぶのも、清浄なる菩薩の境地である。
11. 思うにまかせて、心が喜ぶことも、清浄なる菩薩の
境地である。
12. 満ち足りて、心が輝くことも、清浄なる菩薩の
境地である。
13. 身体の楽も、清浄なる菩薩の境地である。
14. 目の当たりにする色も、清浄なる菩薩の境地である。
15. 耳にするもの音も、清浄なる菩薩の境地である。
                                    16. この世の香りも、清浄なる菩薩の境地である。
                                    17. 口にする味も、清浄なる菩薩の境地である。

理趣経曼荼羅(醍醐寺)


 ●金剛界曼荼羅の九会のうち、「理趣会」だけが特別なものです。また、胎蔵界曼荼羅が、
  中心の大日如来を不動明王とみても、愛染明王としても不思議ではないようです。

  よく「教令輪身」という言葉を見ます。大日如来が、様々な如来や菩薩の姿になって、
  その時々の印や拳、持物をもって私たちの前に現れるのです。

 ●空海が、また最澄が「薬師如来」や「不動明王」・「愛染明王」をどれほど大切に想っていたかは、
  いわれある寺院をみれば、自ずと感じられます。

 ●衆生は、「金剛薩た」により発心し、「愛染明王」・「不動明王」に守られて、「金剛薩た」になる
  よう生きます。

  「大日如来」=「阿しゅく如来」=「薬師如来」=「金剛薩た」=「愛染明王」=「不動明王」
  そんな、繋がりのなかで理解を深めています。

 ●「理趣経」の「清浄句」は、どれだけ私たちを救ってくれるでしょうか。
  また、「愛染の十二願」は、なんと心強いことでしょう。


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