阿那律尊者(アヌルッダ)
天眼第一の阿那律(あなりつ)
アヌルッダは釈尊と同じく釈迦族の出身で、釈尊の従弟だといわれています。
釈尊が祇園精舎で説法をされている最中、アヌルッダは不覚にも居眠りをしてしまいました。釈尊に「あなたは道を求めて出家したのではありませんか。それなのに説法中居眠りをするとは出家の決意はどうなったのか」と叱責された彼は、それ以後は不眠・不臥の修行をしたといいます。それがもとでついには失明してしまいます。釈尊は眠ることをすすめるのですが、かたくなに固辞します。
皮肉なことにアルヌッダはそのことによって天眼を得ました。すべてを見通すことができる智慧の眼を。後に天眼第一と称される所以です。
こんな逸話が伝えられています。尊者が衣のほころびを縫おうとして、針に糸を通そうとするのですが、どうしてもうまく通りません。そこで「どなたか私のために針に糸を通してくださいませんか」と言ったところ、「私が功徳を積ませていただきましょう」と声がしました。その声はまさしく釈尊ご自身だったのです。
釈尊曰く「私だって幸福を求めて功徳を積みたいのだよ」と。