虚空蔵求聞持法

 
 

 弘法大師空海は、19才の時 室戸岬の波打ち際の洞窟

(御厨人窟みくろど)で「虚空蔵求聞持法」を修しました。




  御厨人窟 (みくろど) http://www.jtb.co.jp/story/unchiku23_1.html

  岬から1キロほど離れた海岸に、「御厨人窟 (みくろど) 」という海食洞穴があります。
  この洞穴にこもり、虚空蔵菩薩への祈りを唱え続けていた真魚の口に、ある日突然“光り”が
  飛び込みました。



  その瞬間、世界のすべてが輝いて見えたらしいのです。
  洞穴から見える外の風景は、「空」と「海」だけでしたが、その二つが、今までと全く違って、
  光り輝いて見えました。そのときから、真魚は「空海」を名乗るようになりました。



  「光り」が入ったときに、空海は“悟った”のでした。求聞持法を会得し、無限の智恵を手に
  入れたのです。 求聞持法会得に至るまで、空海は四国のけわしい山々で修行をするのですが、
  このとき修行したといわれるところが、「四国八十八ヶ所」のお寺になりました。
 
  H24.10.22 朝5:00 明けの明星


  お大師様のご誓願

 「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きなん。」

 「虚空が尽きるまで、迷える衆生が尽きるまで、さとり(衆生を救う行)の尽きるまで、永遠に
 仏に祈りつづけたい。空、衆生、さとりが尽きれば、わたくしの願いも尽きるであろう。」


 虚空蔵菩薩とは http://www.butsuzou.com/jiten/koku.html

虚空蔵菩薩の「虚空」とは無量の意で広大無辺の福徳・知恵の功徳を蔵する菩薩。梵名アーカーシャガルバ
虚空蔵菩薩の経典と信仰 虚空蔵菩薩の信仰は虚空蔵求聞持法が8世紀初め頃伝えられてから盛んに信仰される。虚空蔵求聞持法は虚空蔵菩薩を念じて記憶力を得るもので、空海の「三教指帰(さんきょうしいき)」に、この真言百万編を誦すれば大変な暗記力を得られるとあり、空海もこの修法をされました。智慧や暗記力ばかりか、あらゆる財宝を得られる功徳、所願成就の功徳があるとされ、日蓮は12才の時「日本第一の智者となさしめ給へ」と21日間願掛けされて虚空蔵菩薩様から宝珠を頂かれました。
「虚空蔵菩薩経」は虚空蔵菩薩が神力によって衆生の罪を救うお経
虚空蔵菩薩像の形 五仏座像を付けた五仏宝冠を頂き、左手に福徳の如意宝珠か宝珠を乗せた蓮華をもつ。また、右手に知恵の宝剣を持つお姿もある。虚空蔵求聞持法の本尊は左手に宝珠乗せた蓮華をもち、右手は与願印を結ぶものが多い。密教では平安時代後期以降、増益、息災の修法に用いられた五大虚空蔵菩薩像が造られた。
功徳は 智慧明瞭 学徳増進 記憶力増進の功徳があり、受験合格の菩薩として近年信仰を集めるばかりか天変怨敵退散 安産 罪障消滅 除病息災 福徳授与 丑年生まれ、寅年生まれ十二支守り本尊の功徳がある。


 「虚空」とは?

  真言密教ではその「虚空」にこそすべてのものが収められており、虚空蔵、虚空庫菩薩がいると
  述べています。

 
 「求聞持(ぐもんじ)法」とは   http://www.d1.dion.ne.jp/~momomon/gmonjiho.htm

  密教では物質の構成要素として地・水・火・風の物質性を考え、そこに重々無尽(融通無碍)に
  浸透している、虚空(空・エーテル・氣)を考えました。(五大)

  弘法大師空海は、その虚空の空間に入ると「五大に響きあり、十界に言語を具す(物質と精神には
  響きがあって、それぞれに言葉を用意している。声字実相義)」と述べています。

 「創造の波動として、宇宙に鳴り響いている宇宙原音に意識を合わせた行者は、その音を直ちに
  自分の理解できる言葉として聞くことが出来る」と述べています。

  善無畏訳「虚空蔵菩薩能満所願最勝心陀羅尼求聞持法」の中に
 「一経耳目文義倶解。記之於心永無遺忘」とある。お経を一度見聞きする事が有ればお経の意味を
  理解する事ができ、永く忘れる事が無い。

 御大師様(弘法大師空海)の「三教指帰」に
 「爰有一沙門。呈余虚空蔵求聞持法。其経説。若人依法。誦此真言百万遍。即得一切教法文義暗記」
  (一沙門より虚空蔵求聞持法を授かる。法に依って此の真言百万遍を誦すれば、一切の教法の文義を
   暗記する事を得)。

 「若能常誦此陀羅尼者従無始来五無間等一切罪障悉皆消滅・・・」
  (若し能く常にこの陀羅尼を誦する者は、無始より来たる五無間等の一切罪障は悉く消滅す・・・)等など。

 「三教指帰」に「阿国大滝嶽に躋り攀ち、土州室戸崎に勤念す。谷響を惜しまず、明星来影す。」
  御大師様(弘法大師空海)が求聞持法を修されたことが書かれております。

  御真言(マントラ)壱百万遍、御唱えします。どんな御真言かと言いますと、虚空蔵菩薩の御真言です。
  御真言はノウボウアカシャ ギャラバヤ オンアリ キャマリ ボ(ウ)リソワカと言います。

  壱百万遍を百日間で唱えるとすると一日、一座一万遍唱えます。又は五十日、七十五日間などもあります。
  五十日間で修行する方が多いようです。五十日間ですと一日、二座(二回拝む)一座一万遍で二万遍にな
  ります。一座終わるには個人差が有りますが五〜六時間程かかります。いろいろ細かいきまりがあります。


 [行者用心(密教事相大系、高井観海)]

 行者は修行中他の請待を受けず、酒、鹽(しお)の入りたるものを食はず、惣じて悪い香りのするものは食はず、信心堅固にして、沐浴し、持斎生活し、妄語、疑惑、睡眠を少なくし、厳重には女人の調へたものを食はず、海草等も食はず、寝るに帯を解かず茸等食ふべからず、但し昆布だけは差し支えなしと云う、要するに婬と、無益な言語と、酒と疑心と睡眠と不浄食、韮大蒜(にらにんにく)等臭きものを厳禁せねばならぬ、浄衣は黄色を可とす。どんな場所が良いか経中には、(空閑寂静の処、或は山頂樹下・・・・・ 其の像、西或は北へ向かう・・・)。見晴らしが良く東。南(西も開けていれば最上)は開けている。修行者は東方又は南方へ向かう。これは明星を虚空蔵菩薩の化身とし拝む為です。

道場は御大師様が修行なされた徳島県阿南市、太龍寺。室戸岬の御厨戸、神明窟や広島県宮島、大聖院。和歌山県、高野山真別所。奈良県吉野、宝寿院。香川県長尾町、当奥の院等等。

  
 虚空蔵求聞持法とは http://www.mandala.co.jp/shingon/kobo.html
 
  「時に一沙門有り。虚空蔵求聞持法を呈示す。其の経に説く。若し人法に依りて此真言一百萬遍を読めば、即ち一切経法の文義の暗記を得ん。是に於て大聖の誠言を信じ、飛焔を鑽燧に望み、阿波國大瀧之獄にはんせいし、土佐國室戸之崎に勤念す。幽谷は聲に応じ、明星は影を来す。」

 山中に篭もり、虚空像菩薩の真言(ノウボウアキャシャキャラバヤ・オンアリキャマリボリソワカ)を百万遍唱えれば一切の経典の意味が心の中にはいり、その智恵を得ることができる。という教えを聞き、大師は太龍の岳や室戸岬に篭もりました。

 「大聖仏陀の神聖な言を信じ、木鑽によって火をおこす時のように休まずに努力し、阿波国の太龍寺(徳島県阿南市加茂町丹生谷)の山にのぼり、土佐の室戸崎(高知県安芸郡室戸崎)に修禅した。幽谷は私の声に応じて響き、明星は空に出現した。」  太龍の岳は四国の深い山の中にあります。捨心岳からは淡路島本州を望める高台であり、室戸岬は太平洋の怒涛の激しい絶勝の地です。

 弘法大師は山岳で苦行練行する近士(ウバソク)として虚空蔵求聞持法を行い、自然の中に宇宙の生命と交流し、大日如来と入我我入し、仏教の真髄を極めようとしたのでした。  遺告諸弟子等にいう。「近士(ウバソク)と成って名を無空とす。名山絶之処、嵯峨孤岸の原、遠然として独り向ひ、淹留苦行す。或ひは阿波の大瀧嶽に上って修行し、或ひは土佐戸門崎に於て寂暫す。心に観ずるときは明星口に入り、虚空蔵の光明照し来て菩薩の威を現わし、仏法の無二を現ず。厥の苦節は則ち厳冬の深雪には藤衣を被て精進の道をし、炎夏の極熱には穀を断絶して朝暮に懺悔すること二十の年に及べり。」


 虚空蔵求聞持法 http://sm88mn25.hp.infoseek.co.jp/sima88_henroganso.html#gumonjihou

 虚空蔵菩薩は、無限にして無辺、同時に全宇宙にあまねく、福徳と智慧とを蔵する菩薩といわれる。
まず、最初に自ら虚空蔵菩薩の画像を描かなければならない。次いで、その画像を閑静な場所を選んで
掛け、修行に入る。修行は、陀羅尼、

   ナウ ボゥ アキャシャ ギャラバヤ オン アリキャ マリボリ ソワカ
     (華鬘蓮華冠をかぶれる虚空蔵に帰命す)

を何と百万遍唱えつづけなければならないのである。
陀羅尼読誦の回数は絶対に守られなければならず、回数の変更はもとより、一遍でも足らなければそれでおしまい。しかも、それを百日間ないし五十日間で終わらなければならないから、行者に掛かる負担は凄まじいものになる。
同一の陀羅尼をほぼ無限に近い回数にわたって唱え続けてゆくことから生ずるであろう精神状態が、ともすれば常軌を逸してしまう確率が非常に高いことは想像に難くない。事実、中世の密教寺院の中には、虚空蔵求聞持法を破戒僧の清行、すなわち粛清にいわば転用したような事例すら見出せる。実際、その際の修行者の死亡率が何と五割に達したという驚くべき叙述の古文書もあるという。

かくて、五十日間ないし百日間で、陀羅尼の読誦が百万遍に満ちたならば、牛蘇(ぎゅうそ)加持法という秘密の行法を遂行する段取りになる。その日は日月蝕にあたることが条件で、牛乳を煮詰めて作った牛蘇、今日のチーズかバターのようなものを銅製の器に入れ、密教寺院で護摩を焚くときに用いる乳木を以って、その牛蘇を攪拌(かくはん)しつつ、陀羅尼を唱えてゆく。そして、牛蘇に気・煙・火のうち、いずれかの相が生ずれば、その時求聞持法は成就されたとみなされ、神薬となった牛蘇を服用すれば、たちどころに抜群の記憶力を得て、限り無い智慧を獲得できるという。
以上が虚空蔵求聞持法の大略だが、空海の場合、最後の牛蘇加持法を修めた形跡は見当たらない。その代わりに、空海には口中に明星が飛び込む神秘体験が起こり、このことをもって虚空蔵求聞持法は見事に完遂されたのである。