地蔵菩薩 じぞうぼさつ
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  真言:オン                ご真言 おん かかか びさんまえい そわか(11字真言)
                              なま さんまんだなん かかか すたんぬ そわか(16字真言)
                              なま さんまんだなん かかか びさまえい そわか(17字真言)


   

十三仏の35日(五七日)導師。梵語名 クシティガルバの意訳、直訳するとKsiti(大地)garbha(子宮)となり大地の母胎という意味。地蔵十王経によれば閻魔大王の化身ともされている。別名として妙幢菩薩とも呼ばれる。   

お地蔵さまは、お釈迦様が亡くなってから五十六億七千万年後に救済者弥勒菩薩が登場するまでの間、私達を救うのが主な役目です。

釈尊が入滅し、弥勒菩薩がこの世に現れるまでの仏のいない時代に、地獄・飢餓・畜生・阿修羅・人・天の六道に輪廻(さまようこと)して苦しむ人々を救うという菩薩です。

 髪がない剃髪、袈裟を身に着ける僧形で立像、坐像のほか半跏像もあります。左手に宝珠を持つ像と、左手に宝珠、右手に錫杖をとる例が多く、まったく持物を持たない場合もあります。高僧像と似ていますが老人に造られることが少ないのが地蔵菩薩像の特徴です。

地蔵の地は大地を意味します。大地は私たちの衣食住から金銀財宝に至るまで、いろいろなものを与えてくれます。お地蔵さまも同様に私たちにいろいろな恵みを与えその生活を護持するところから、この名前がつきました。安産・健康・長寿・智恵・豊作・求財などにご利益があります。

「地蔵三部経」は、「地蔵十輪経」、「地蔵本願経」、「占察善悪業報経」


[教え] 『地蔵菩薩功徳経』 から
もし未来の世に、善き男性と善き女性が地蔵菩薩のお姿を見たり、この経を聴き読誦し香華をあげ、飲食、衣服、珍しい宝を布施し、供養をして褒め称え仰ぎ見て礼拝をしたなら、28種の功徳を得られるでしょう.

1.天龍が守ってくれる
2.善果が日ごと増す
3.勝れた因が集る
4.菩提が退ことがない
5.衣・食に豊で不足しない
6.病気にかからない
7.水の難、火の難に遭わない
8.盗賊の被害に遭わない
9.人から敬われる
10.鬼神が助けとなる
11.女が男性に転ずる
12.王の女性大臣となる
13.容姿端麗で相がよい
14.何度も天界へ生まれ変わる
15.或いは帝王になる
16.前世に得た智慧によって将来を知る事ができる
17.求める者は皆、従う
18.眷属が歓び楽しむ
19.全ての不道理を消滅させる
20.苦楽の報いの善悪の業を永久に取り除く
21.苦しみに通じるところが滅びる
22.夜の夢見が安らかになる
23.先祖が苦しみから離れられる
24.前世の福を受け、生まれる
25.全ての聖者がほめたたえる
26.素質や能力がすぐれる
27.哀れみ、慈しむ心を与える
28.絶対的な悟りを得ることができる

あるいは地蔵の本願を目指す修行を聞き、褒め称え、仰ぎ見て礼拝をしたなら、七種の利益を得られるであろう

1.すぐに完全な聖地へ行かれる
2.悪業を消滅させる
3.諸仏が臨んで守ってくれる
4.悟りの境地から退くことはない
5.本来、持っている力が増す
6.前世の全てを見ることができる
7.絶対的な悟りを得ることができる


[歴史]

日本には奈良時代地蔵経典の伝来はあったが信仰としては殆ど広がりを見せなかったが、平安末期から広がりを見せた浄土教の発達に伴い菩薩形から僧侶の姿に変え地獄に於ける衆生の苦しみを救いまた賽の河原に於いて子供を守る守護役として存在感を示し始めた。     

日本民衆に多くの親しみ与えた地蔵信仰は室町時代に六道輪廻の各所に現れる六地蔵信仰から爆発的に広がりを見せ日本古来よりの道祖神と習合して発達した。

 又江戸時代には鎌倉時代に始まった身代わり地蔵信仰が発展して泥付地蔵(田植え)・矢取地蔵・縄目地蔵・延命地蔵・子育地蔵・腹帯地蔵・とげぬき地蔵・水子地蔵などが作り出された。  

[お姿]

姿形としては立像も坐像も中国で始まったとされる比丘形(僧形・びくぎょう)が殆どで右手に錫杖(しゃくじょう)か与願印をとり左手に宝珠を持つ例が多い、また菩薩形として胎蔵界曼荼羅の地蔵院に不空見菩薩や宝光菩薩等と共に主尊に地位にある。 


【六地蔵と六道】 『大日経疏』

あの世とこの世の境である六道の入口には地蔵が立ち、衆生を教化すると考えられ、六地蔵が生まれました。

1 地獄道    大定智悲地蔵(地蔵菩薩) 宝珠 錫杖

2 餓鬼道    大徳清淨地蔵(宝手菩薩) 宝珠与願印

3 畜生道    大光明地蔵(宝処菩薩) 宝珠 如意宝珠

4 (阿)修羅道  清淨無垢地蔵(宝印手地蔵) 宝珠 梵篋

5 人間道    大清淨地蔵(持地菩薩) 宝珠 施無畏印

6 天道     大堅固地蔵(堅固意菩薩) 宝珠 経巻


我々の住む世界(娑婆)は、この六つの世界から成り立っています。

上表のNo.1〜3の三つを三悪道、No.4〜6の三つを三善道とも呼びます。

人間は人間界にいますが、この世で悪行を繰り返せば、畜生や地獄に生まれ変わり、善いことを積み重ねれば天(神々の国)に生まれ変わります。これを六道輪廻(りんね)と呼びます。

地蔵菩薩は娑婆世界を守ることが使命なので、この六道すべてを守護するといわれており、一つの世界に一体ずつ地蔵を配した六地蔵が作られました。

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