虚空蔵菩薩 (こくうぞうぼさつ)
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               ご真言  おんばざら あらたんのう おんたらく そわか
        種字 タラーク


智慧と福徳の仏様。 また、一般には十三仏の最後三十三回忌の本尊として、丑と寅とし生まれの人の守り本尊として、さらに十三詣りの本尊などと私たちにとって馴染み深い。 

梵語 アカ―シャ・虚空,ガルバ・母胎の意訳であり、虚空蔵とは限りない宇宙の広がりの中で恵みを受けられると解釈できる。記憶をつかさどる菩薩であり空暗記・そらんじる、などの言葉は虚空蔵菩薩の空から来ている。

虚空蔵菩薩は福徳と智慧が無限に内臓されていて、衆生の願いを叶える為に蔵から自在に取り出して救済をする。密教の教主である大日如来の働きのうち、「虚空」と「蔵」という特性をもった菩薩。虚空は何ものにもうち破られないから無能勝であり、蔵はすべての人々に利益安楽を与える宝を収めているという意味です。いるというが、現世利益では記憶力を良くするという事が主である。

「虚空蔵菩薩経」には智慧の欲しい者、人々から愛されたい者、歌を好み第一人者となりたい者、王位の位が欲しい者、資財が欲しい者、眷属が欲しいと願う者、名声を上げたい者は虚空蔵菩薩の真言を唱え名前を念じたなら叶えられると記されて虚空蔵菩薩経などに説かれる、

要するに、虚空蔵菩薩は、大宇宙の如く大きな功徳で、悩める全ての人々を救済する力を備えた菩薩であり、不思議な力により窮地に陥った者を救う菩薩であることから、能満諸願(厄払いその他、諸々の願いを良く満たしてくださる)、身体健全、家内安全、交通安全、商売繁盛、水子供養祈祷、等が特に信仰され、その昔、虚空蔵菩薩は、うなぎに乗って天から舞い降りてきたという言い伝えから、料理人からは、うなぎと縁の深い菩薩として信仰され、


真言宗の開祖 弘法大師や中興の祖興教大師は『虚空蔵菩薩求聞持法(こくうぞうぼさつぐもんじほう)』を修している。弘法大師が高知県の室戸岬で求聞持法を修し、満願の日に明星が口の中へ入り、求聞持法を修得したと言われている。室戸岬にはお大師様が求聞持法を修した場所が残されている。

胎蔵界曼荼羅の中に虚空蔵院の中尊である。釈迦院にも。
金剛界曼荼羅の賢劫十六尊の中にいる。
また地蔵菩薩の地中に対して虚空即ち宇宙が対象とされる。

【大集經虚空藏品】に、此より東方莊嚴世界の一寶莊嚴佛の所の菩薩とし、
【虚空藏菩薩經】に、此より西方一切香集依世界の勝華敷藏如來の所の菩薩とす。


[虚空とは]

いっさいのものがなんのさまたげもなく、自由に存在し運動し変化し機能することができます。この空間というものをみたてて、大宇宙空間の如き広さにたとえるのが、虚空蔵菩薩の功徳の大きさにふさわしいと言われています。

『 虚空 虚と空とは無の別稱なり。虚にして形質なく、空にして碍礙なきが故に虚空と名く。此虚空に體あり相あり。體は平等周遍、相は他の物質に隨って彼此別異なり。有部の宗義に依れば之を虚空と空界の色とに分かち、その體を以て虚空とし、その相を以て空界の色とす。此の虚空を以て一の無爲法として三無爲の一の數へて法處の中に攝め、空界の色は眼所見の色法として色處の中に攝む。即ち有爲法なり。世人の所謂虚空は妄法にして生滅を免がれず。』


[お姿]
容姿は向かって右手に宝珠又は、火焔宝珠を持ち、左手には剣を持っている。
が一般的な姿であるが、施無畏印であったり形は多種ある。

【大日經疏五】に「鮮白の衣を被、左手に蓮華を持し、華上に大刀印あり、大刀印を持する所以は利慧の標幟なり。」
【秘藏記】に「肉色にして左手に開蓮華を持し、上に如意珠あり、左手に寳劍を持す。」
【胎藏曼荼羅大鈔五】に「法輪寺の虚空藏は左に如意珠を持し、右に寳劍を持す。」
【觀虚空藏菩薩經】に「虚空藏菩薩の頂上に如意珠あり。其の如意珠紫金色をなす。若し如意珠を見れば即ち天冠を見る。此の天冠中に五十三佛の像ありて現じ、如意珠の中に十方佛の佛像現ず。」

形像としては五智宝冠を頭に頂き印相・持物に付いては胎蔵界曼荼羅の場合と求聞持法と多少異なる、即ち曼荼羅の場合は右手に剣・左に宝珠のせた蓮華をもつ、求聞持法の場合には右手は与願印を示し左は曼荼羅と同型をとる。
、 五智宝冠 宝冠に金剛界五佛(大日如来・阿しゅく如来・宝生如来・無量寿如来・不空成就如来)が配置されている。 

法隆寺の百済観音は化佛の付いた宝冠が発見されるまでは虚空蔵菩薩説が有力であったとのことです。

[虚空藏と明星]

 一説に日月星を觀音、勢至、虚空藏の三菩薩に配し、明星を以て虚空藏の化身とす。故に虚空藏求聞持法を修するには明星に祈祷す。

[求聞持法]

 虚空藏菩薩能滿所願最勝心陀羅尼求聞持法の略名。一卷。唐の善無畏譯。昔大安寺の道慈律師入唐して其の法を受け、還て善議に授け、善議之を勤操に授け、勤操之を空海に授く。【傳通縁起下】

 求聞持法とは、この尊を本尊にして心身を清く保ち、真言を百萬遍誦することにより、一切の経文を暗記し理解することができ、宇宙に遍満する仏の智恵を一身に体得することができるとする秘法である。弘法大師が京の大学をやめて、唐(中国)に渡るまでの間の仏道修行時代に幾度となく修行された。この修行により大師は宇宙の大生命に触れ、このことが後の真言宗の教義を展開する基礎となる。

                                         
『十三参り』

子供が13歳になった時に参拝する『十三参り』がある。多分、三十日秘仏の十三日に配されているからであろうという。
十三参りは京都の法輪寺が有名で、虚空蔵菩薩から知恵と厄除けを授けて頂きます。しかし、渡月橋を渡り終えるまでは後ろを振り返ってはいけない。なぜなら、授かった知恵と厄除けが戻ってしまうからです。


『五大虚空蔵菩薩』

五大金剛虚空蔵とも言い五智如来の如意宝珠の相を表した像です。

五種類の鳥獣に乗った虚空蔵菩薩の事で、富貴の願いを叶え天災を消すという修法(五大虚空蔵求富貴法)のご本尊様です。仏画では円を描き、その中に五つの円を描いてそれぞれの円に虚空蔵菩薩を描く。

法界虚空蔵
中央   =法界・解脱・智慧の虚空蔵菩薩。白色で左に鉤を持ち、
        右は火焔宝珠を持つ。像では獅子に乗る。
金剛虚空蔵
前(東) =金剛・福徳・愛嬌・福智の虚空蔵菩薩。黄色で左に鉤を持ち、
       右に金剛杵を持つ。像では象に乗る。
宝光虚空蔵
右(北) =無垢・福徳の虚空蔵菩薩。青色で左に鉤を持ち、
       右に三弁宝珠を持つ。像ではコンジ鳥に乗る。
蓮華虚空蔵
後(西) =蓮華・施願・能満の虚空蔵菩薩。赤色で左に鉤を持ち、
       右は紅蓮華を持つ。像では孔雀に乗る。
業用(ごうよう)虚空蔵
左(南) =宝光・能満・官位の虚空蔵菩薩。紫色で左に鉤を持ち、
       右は宝珠を持つ。像では馬に乗る。

■虚空蔵求聞持法

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