こめびつのはなし

今から25年ほど前、朝日新聞社主催の全国作文コンクールの審査員をしていたときに、私が最初に見つけて、建設大臣賞をもらった作文をご紹介します。 

その作者である女性が結婚するとき、ご実家のお母さんからお米が満タンの米びつを贈ってもらいました。お米が減ってきたら、買い足して使っていました。

あるとき、うっかりお米を買うのを忘れて、米びつの底が見えました。見ると、一通の封筒が貼ってあります。

お母さんの筆跡で「お前がこの手紙を見つけたなら、きっと困っているときでしょう。わずかですが、生活の足しになさい。」と、お金と手紙が入っていたという内容です。

お母さんのありがたみ、ご家族のご心配は本当にありがたいものです。

ちょっと生活になれて、さぼったのでしょうか。気を抜いたのでしょうか。おとなになると、だれも叱ってくれません。

きっと、この方はすぐにお母さんに連絡して、おかあさんに叱ってもらったことでしょう。

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