文殊菩薩    ご真言 おん あらはしゃな マン
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 文殊菩薩は三七日忌の本尊です。 妙法華経 序本 第一

 不動尊と釈迦如来により、魔障や煩悩を退けて、成仏を自覚し、更に正しい道の修行に導かれた精霊は、愈々仏としての智慧を修めるべく、文殊菩薩の道場に入ります。

 文殊菩薩の陀羅尼(真言)の功徳は、一遍唱えれば修行者の苦難を除き、二遍で死に代わりの重罪を滅除し、三遍で仏の境地が現前し、四遍で憶いを堅持して忘れず、五遍で無上の菩提を成就し、正しい智慧の三密の説法を聴聞することを得るという。

元々は 実在した人物で舎衛国のバラモンの子といわれ、仏典編纂に関わった。妙吉祥、妙音菩薩ともいい、智慧を司る菩薩。 サンスクリット語でマンジュシュリーといい、音写して文殊師利または曼殊室利などといい、実在した人物であるとされています。普賢菩薩とともに釈迦如来の脇侍として従います。

文殊菩薩は数ある菩薩の中で最も優れた智慧を持つ菩薩です。

[経典]

文殊菩薩は2世紀頃より信仰され、維摩経(ゆいまぎょう)は病に伏した維摩と見舞いに来た文殊菩薩の問答。

華厳経「入法界品」では善財童子が文殊菩薩に教えを請い、あらゆる人々を訪れる。法華経では文殊菩薩が竜宮で法華経を説き、八歳の龍女が成仏する女人成仏の教えを説いた。

[文殊菩薩像]

髻を結い、瓔珞(ようらく)、腕釧(わんせん)、臂釧(ひせん)等の装身具で飾り、条帛を着け、右手に剣、左手に経巻を持つ。元々は結跏趺坐像であったが、「陀羅尼集経(だらにじっきょう)に「身は皆白色ーー獅子に乗ず」とあり、平安時代頃よりの、獅子に乗る姿が一般的文殊菩薩像。獅子は百獣の王で文殊菩薩の智慧が秀抜であることを表す。
密教では通常、清純さを示す童子形に表わし、髻(もとどり)を真言の数だけ結う一字文殊、五、六、八字文殊がある。大日如来の五つの徳を表しており、天台宗の五台山文殊という。



[エピソード]

『釈迦の弟子たちが、非常に聡明で大乗仏教の奥義に通じた維摩居士に議論を挑んだが、次々とやりこめられた。しかしただ一人、文殊菩薩だけは、対等に論議することができた』
奈良法隆寺五重塔、興福寺東金堂には、その問答を表現した塑像があります。
この文殊菩薩の智慧は純粋に理性的なもので、ものごとを全く主観を交えないで判断することができる、いわゆる悟りの智慧といわれています。


【特徴】

獅子にまたがり、右手に剣、左手に経巻を持つのが一般的とされていますが、必ずしも一定しません。経巻は智慧の象徴、剣はその智慧が鋭く研ぎ澄まされている様を、獅子はその智慧の勢いが盛んであることを表現しています。
獅子にまたがる像は、平安中期に盛んに作られ、それ以降の模範となりました。

また密教では、右手に梵篋(ぼんきょう=多羅樹という木の葉に経文を刻んだもの)、左手に金剛杵などを持ちます。

髪は、一つ、または五つ、六つ、八つのまげを結っています。密教では陀羅尼(だらに=一種の呪文)を唱えることによって、ある特定の御利益を得ようとします。この陀羅尼は一文字から数文字の短い文句ですが、この文字数と文殊菩薩のまげの数とが一致します。つまり一文字の陀羅尼を唱えるときは、まげが一つの文殊菩薩を本尊とし(これを一文字文殊または一髷(いっけい)文殊とよぶ)、五文字、六文字、八文字の陀羅尼を唱えるときは、それぞれまげが五つ(五文字文殊、五髷文殊)、六つ(六文字文殊、六髷文殊)、八つ(八文字文殊、八髷文殊)の文殊菩薩を本尊とします。それぞれ、増益、敬愛、調伏、息災などの御利益があります。

髪(髻=もとどり)に特徴があり、その数によって智慧の本誓を表し、
   一髻(増益=幸せの増進)、
   五髻(愛敬=和合・親睦)、
   六髻(調伏=魔障や怨敵の摧破)、
   八髻(息災=災難や障りを除く)
の文殊といわれ、無執無我の般若の妙慧で、説法して人々を救済する。


【稚児(ちご)文殊】
稚児のような純粋無垢で執着のない智慧であることから、子供の姿に作られる例も多く、
これを特に童形(どうぎょう)文殊または稚児文殊と呼んでいます。

【僧形文殊】
僧侶の日常生活の手本とされたことから、僧の形に似せる例もあり、僧形文殊といわれます。

【五台山文殊】
眷属として善財(ぜんざい)童子や優でん王(うでんおう、「でん」は土へんに眞)、仏陀波利三蔵(ぶつだはりさんぞう)、最勝老人(さいしょうろうじん)を従える、五尊形式の作例もあり、五台山文殊といわれます。五台山とは、中国山西省にある地名で、文殊菩薩の聖地とされる「清涼山」と比定して信仰された場所です。五台山信仰は天台宗を中心に盛んになりました。高知竹林寺、奈良安倍文殊院などに作例として遺っています。

【渡海(とかい)文殊】
五台山信仰が発展し、雲に乗って海を渡り五台山に向かうとされています。

【日本三大文殊】
安倍文殊院(奈良桜井市)、切戸文殊(京都天橋立(知恩寺))、黒谷文殊堂(京都東山金戒光明寺)

【眷属】
五台山文殊の場合、善財(ぜんざい)童子、優でん王(うでんおう、「でん」は土へんに眞)、仏陀波利三蔵(ぶつだはりさんぞう)、最勝老人(さいしょうろうじん)。
また、八大童子として、光網(こうもう)童子、宝冠童子、無垢光(むくこう)童子、髷設尼(けしに)童子、烏波髷設尼(うばけしに)童子、質多羅(しったら)童子、地慧幢(ちえとう)童子、請召(しょうじょう)童子。

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