観音巡礼(7)   [長谷寺・法起院]

 もう何年経ったでしょう。初めて西国三十三観音巡礼に出たのは。あの時は、5年くらいかかりました。
 今日の長谷寺は、西国2回目のお参りです。ここも数年ぶりです。

 四国八十八ヶ寺の参拝も2回満願して、高野山にもお参りしました。先月のことです。
 一ヶ月も経つと、お寺にお参りしていない自分が、不安なのか、あの満足感が薄れていくのか、むずむず。

 どこかもう一度行って見たいお寺と問われたら、関西だと須磨寺、長谷寺、醍醐寺・・・・。

 久しぶりに春の日差しが暖かい今日。迷わず、奈良桜井の長谷寺に向かいます。
 イメージを大切にしたいと思います。最初に浮かんだお寺。そう、それがご縁。

 土曜日のいい天気のせいか、休日運転者のせいか、事故渋滞があちこちです。まあ、でも家から近いので
 あわてない。

 三輪大社の大鳥居を過ぎて、国道165号線。6kmほどで、初瀬の門前町です。狭い道の両側には、草もち屋
 と旅館がずらり。もう呼び込みのおばさんが、あちこちに立っています。

   正面山門です。ここから階段が続きます。

 あの高野山で手に入れた新しい輪袈裟をつけました。気持ちが引き締まります。いざ、み仏に礼拝つかまつります。

 有名な回廊ですね。ここを通るたびに、永平寺の廊下を思い出します。歩いていくと、導かれている実感があります。

  桜の季節は、さぞすばらしいだろうと思います。

  長谷寺は、ぼたんの寺です。もう咲いているのがありました。
 季節を思うと、何もない冬だからこそ豊かな季節に思いを馳せることができるんです。それが、信仰ですかね。

 三段に折れる回廊の途中に蔵王権現社があります。振り向くと、鐘楼の向こうに、愛染堂です。

  愛染さまが、おられます。
 手製の経本で、愛染勤行次第を持っています。早速、理趣経百字偈です。

 いよいよご本堂。
   

ちょうど法要のご祈祷が始まって真言宗豊山派の声明を目の当たりに拝見しました。熱心な信者の方は、
地面に正座しておられました。あとで、解説を見ますと、毎日11時に行われるようで、偶然と思えない出会いでした。

  御影堂(大師堂)です。お参りはやっぱり大師堂も行かないとね。

 至福の時。仏に包まれて、ゆたかでたおやかな空間です。時間が止まっています。
 大師堂におまいりして、ご本堂の裏側に回ると、ご本尊の背中を拝見できます。そっと手を合わせますと、
 とても冷たい冷気が、頬に伝わってきます。南無観世音菩薩!合掌。

 本堂の向かい側に、日限(ひぎり)地蔵さんがおられます。お参りしました。子安・水子の地蔵様。

    

 横向きのお大師さま。初めて見ました。どこを向いておられるのか。目の先は、十一面観音菩薩の
 ご本堂です。

 
  「初瀬の谷は 春を待ち 仏の御元で ひっそりと」

 ゆっくりベンチに座っていたら、若い僧が三人、前を。ご丁寧にお辞儀をしていただきました。
 谷を見渡せば、初瀬の里 若き僧の 合掌や うれし

 折りしも、寺の鐘が鳴りました。何度かの後、ほら貝の音が谷あいに響きます。長谷寺では、毎日正午に。
 時計は見ていません。みんな、待っていてくださったようです。

 続いて、門前町にある法起院にお参りしました。

  西国観音霊場の番外です。
 
『大和長谷寺の徳道上人が年老いて仮死状態にあった時、閻魔大王と出会い、大王は「いまの世は罪を重ねて
地獄に堕ちる者が多く、なんとか救いたい。そのためには観音様の三十三の救いの手に頼るのが最もよいので、
悩み苦しむ人たちが観音様とご縁を結べるようにしてほしい。観音様と結縁したものはすべて極楽へ行けるように
したい。ただし人間はうそつきもいるから三十三ヶ所の宝印(現在の納経朱印)を与えるので一ヶ所ごとに捺印する
ように」と指示されて徳道上人を再び娑婆へかえされました。元気を回復した上人は閻魔大王から預かった三十三
ヶ所分の宝印を棒持(もったいない宝印なので行衣の上にもう一枚袖なし−おいずる−を着ける)して長谷寺をあと
に行脚の旅に出て、観音様を奉安する三十三ヶ所を探し求めました。養老2年(718)のことでありました。しかし、
当初は徳道上人を誰も信用せず、止むを得ず中山寺に宝印を埋められました。それから270年後の永延2年(988)
花山法皇がこの宝印を掘り出し、法眼・性空・弁光上人などを伴にして、那智をはじめに紀伊・和泉・河内・大和・山城・
丹波・摂津・播磨・丹後・近江をめぐり、美濃の谷汲で結願された。その後巡礼は盛んになり現在の西国観音巡拝コース
が定まったと伝えられています。』    中山寺のHPから



    愉快な石像です。夫婦地蔵?
 徳道上人の沓脱ぎ石です。ここから成仏されたとか。

 『極楽は よそにはあらじ わがこころ おなじ蓮(はちす)の へだてやはある』御詠歌
   極楽は、どこにあるものでもない 自分のこころのなかにある蓮の花は なんの区別があろうか あるはずがない

 「それ仏法はるかにあらずして心中に近し」お大師様の言葉です。 

 今日も、とてもいい時間をいただきました。お昼は、三輪そうめんのにゅうめんと古代米のセットです。
 最初に呼び込みの声をかけてくださったお店にしました。ご縁だと思うことに。

 名物草もちもふかしたて。車の中は、30℃を越えて今年初めてのクーラーです。また、きます。
 ■西国観音(1) (2) (3) (4)  (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14)
 ■薬師巡礼   ■薬師順礼を終えて
 ■愛染堂だより(1) ■(2) ■(3) ■(4) ■(5) ■(6)  ■(7) ■(8)  ■(9) ■(10) 
 ■(11) ■(12) ■仏教の勉強室