真言八祖  wiki

密教がインドで起こり、中国を経て、空海(弘法大師)に伝えられ、日本で独立した宗派として真言宗を開くまでに、八祖を経て伝えられたとする伝承がある。これを真言八祖(しんごんはっそ)という。

付法(ふほう)の八祖と伝持(でんじ)の八祖の二つがあり、空海は著作『秘密曼荼羅教付法伝』『真言付法伝』で、真言密教の起源と付法の七祖・伝持の七祖(付法・伝持の八祖の内、弘法大師を除く七祖)の伝記や付法の系譜を記している。

真言宗のほとんどの寺院は、本堂などに真言八祖((伝持の八祖)・絵像で制作されることが多い)が祀っているのが特徴の一つである。


付法の八祖  

真言宗の法流の正系を示している。教主大日如来の説法を金剛薩埵が聞いて教法が起こり、真言宗の教えが伝わった系譜である。

大日如来(だいにちにょらい)
金剛薩埵(こんごうさった)
龍猛菩薩(りゅうみょうぼさつ)
龍智菩薩(りゅうちぼさつ)
金剛智三蔵(こんごうちさんぞう)
不空三蔵(ふくうさんぞう)
恵果阿闍梨(けいかあじゃり)
弘法大師




伝持の八祖  

真言宗の教えが日本に伝わるまでの歴史に関わった8人の祖師。付法の八祖のうち、大日如来、金剛薩埵は実在しない人物なので除き、2人の祖師を加えた。八祖大師(はっそだいし)とも称される。
手に印を結んだり仏具などを持っているが、これは悟りの本質をあらわしている。
龍猛菩薩 : 大日如来の直弟子金剛薩埵から密教経典を授かって、世に伝えたといわれている(三鈷杵(さんこしょ)を右手に持っている)。

龍智菩薩 : 龍猛から密教を授かった(経文を右手に持っている)。

金剛智三蔵 : インドで龍智から密教を学んだのち唐へ渡り、『金剛頂経』を伝える(数珠を右手に持っている)。

不空三蔵 : 西域生まれ。貿易商の叔父に連れられて唐へ行き、長安で金剛智に入門。『金剛頂経』を漢語に翻訳し、灌頂道場を開いた(外縛印(げばくいん)を結んでいる)。

善無畏三蔵(ぜんむいさんぞう : インド生まれ。大乗仏教を学び、さらに密教を受け継ぐ。80歳になって唐に渡り『大日経』を伝える(右手の人さし指を立てている) 。

一行禅師(いちぎょうぜんじ): 中国生まれ。禅や天台教学、天文学、数学を学ぶ。長安で善無畏に入門し、善無畏の口述をもとに『大日経疏(だいにちきょうしょ)』を完成させた(法衣のなかで印を結んでいる)。

恵果阿闍梨 : 中国生まれ。金剛界・胎蔵界両部の密教を受け継いだ(椅子に座り、横に童子を待らせている)。

弘法大師 : 恵果阿闍梨から金剛・胎蔵界両部を授けられ、日本に伝えて真言密教を開いた。空海(五鈷杵(ごこしょ)を右手に持ち、左手には念珠を持っている)。


高野山 壇上伽藍 大塔  八祖像が四隅にあります。