正御影供 (しょうみえく)                 H19.3.21

 今日は、日々多忙な仕事の間の休日です。念願の高野山行事である正御影供(しょうみえく)です。
 朝、9時から法要が始まるのですが、いささか遠くて9時には無理です。まあ、お大師様にお会いできる
 ならと、金剛駅7時47分の橋本行き急行に乗りました。

 橋本で乗り換えたら、なんと高野下までしか行かない電車。高野下駅で25分も待ちました。
 でも、何一つ慌てることはありません。少し冷たい空気ですが、暖かい春の日差しにベンチでゆったり
 電車待ち。数人のお客さん。行き交う車を見ながら、向こうの山を越せば高野街道、反対の山の向こう
 は、町石道(ちょういしみち)。みんな歩いた高野への道です。

    

 高野山極楽橋行きの電車は、ほぼ満席ですよ。ケーブルも立ち客が。山頂駅で、もたもたしている観光客
 をすりぬけて、バスに座ります。臨時バスも出ています。

     

 中の橋からは、まっすぐ奥の院灯籠堂に。中から、読経が聞こえます。そんなに人はいませんでしたが、
 参拝の人です。理趣経の途中くらい。20数人のとても偉そうなお坊さんが正面左右に座って、途中ぐるぐる
 回ります。白い衣の二人の僧が、お供えしてあった長持にさおをさして運び出てきました。

※高野山の公式HPの記述です。

  この正御影供ではお大師様が時の天皇陛下より下賜された「檜皮色の御衣」が燈籠堂に運ばれ
  加持された後、伽藍御影堂内々陣に奉納されます。


 露払いの町方の人が、鉄の杖をズルズルすって、その後を長持が行きます。暫くして、大名行列のように
 露払い、長持二人、前四人後ろ四人のかごが出てきます。大僧正様でしょうか。後を、20人ほどのお坊様。
 木の靴音もありがたい。ずっと階段の下で合掌していました。(写真が撮れないので、ご紹介できませんが。)

 やがて、静かになってお写経を奉納し、裏のご廟に向かいます。お大師さまのご宝号を、本当は108回ですが、
 21回させていただきました。続いて、地下に。あの絹の向こうには、今日はくっきりいすにお座りのお大師さま
 が見えましたよ。五鈷と大きいお念珠も触りました。

 最後に、もう一度ご挨拶と、お堂に入りましたら、なんと今日の正御影供の法要にお供えしてあった白い饅頭
 を「どうぞお持ち帰りください。」と張り紙があって、数個残っていました。思わず、いただきましたよ。

 家に持ち帰り、母にも食べさせました。大大感動です。ちょっと大きめの皮の厚いお饅頭。うれしいです。

 お堂を出て、結界の橋まできましたら、なんとお大師さまのお食事が運ばれてきました。維那さんがお供の
 僧二人が担ぐ長持ちの先頭に。またまた合掌。ちょうど10時半ころです。これまた、タイミングに大感動!

 やっと橋を渡って、今日は橋の裏の梵字が見えるかなと覗き込むと、なんとくっきり梵字が見えます。
 こんなことってあるのですね。何度ものぞいたことがありましたが、見たことがなかったのです。

     

 これまた、私の境遇の良さは、絶対お大師様のおかげにちがいないと、もう完全に有頂天ですよ。

 感動をずっと味わいながら、一の橋まで向かいます。仲良し地蔵や蜜厳堂、姿見の井戸などを拝見しながら
 一の橋、刈萱堂、そしてみろく石(かさ国)さん。やっぱりくるみ餅。焼き餅、桜餅、小さいぼた餅。
 何杯もほうじ茶のおかわりですよ。(お昼が、食べられるかな。)

     焼き餅をもう一度あぶって

 今度は、中本名玉堂です。念願の高野槙の念珠を購入。ちょうどおかみさんが奥で数珠の手直しをされていて
 出てきてくださいました。最近、よく売れていますとか。鉄刀木(たがやさん)の私の念珠を見せました。
 あのぼんぼりがひとつほどけてしまっているのです。修理は、いつでもしますが、4000円くらいしますよって。
 最近は、ぼんぼりでなくて、組みひものようなまるい先になってきているそうです。でも最近だそうです。

 前に高知県の旅館で見たときは、6000円くらいしたのですが、4600円でした。とても軽くて、やわらかい。
 「やはり、新しい念珠は、開眼していただかないといけませんか。」と尋ねましたら、「お金のいることだし、
 できたら奥の院の地下のお数珠にこすって祈ればいいよ。」と聞きました。でも今日は、すでに帰り道です。
 そうだ、御影堂と金堂で祈ろうと思います。

 前回ここに来たときに、愛染明王のフィギュアーを手に入れていたのですが、今回不動明王をゲットしました。
 これで、我が家には「金胎不二」の明王がそろいます。今まで使っていた鉄刀木のお念珠は、一緒に家の
 祭壇におまつりします。過去にこの念珠でこすった仏は何体か分からないほどです。すべてに功徳をいただいた
 念珠ですから、怖いものはありませんよね。

            
  左が鉄刀木(たがやさん)   もちろん隣には、愛染明王です。
  右が高野槙のです。

 続いて、数珠屋四郎兵衛さん。「高野香」というお香を購入。毎日のお写経に一本づつです。沈香です。
 あの消防署の交差点、一乗院の方に数軒いくと、いつも閉まっていたお店ですが、今日は開店していました。
 湯葉のちらし寿司とうどんのセット。

 満腹です。今日は、金剛峰寺は前で合掌。そのまま大伽藍へ。愛染堂は、今日は閉まっています。
 国宝不動堂。大塔に到着。教えよろしく、金堂裏の御影堂には、三鈷の松の裏を回ってお参りです。
 きっと、あの奥の院の長持と一緒に来たら、御影堂のご開帳が見れたのでしょうね。一心に勤行しました。

 折りしも、金堂横の鐘楼の鐘が、ゴーーンと。1時から彼岸会の法要が始まります。あの鐘を撞くのも初めて
 見ました。このタイミング!いそいそ金堂に入ります。数人の方がおられるだけ。
 中には、これまた20人ほどの僧が向かって右に一列に座っておられます。いよいよ法要が始まります。

     
   金堂横の鐘楼            金堂                 大師堂


 新しい念珠でお祈りします。血曼荼羅、お薬師さま。あの血縁灌頂のときを思い出しながら、あああそこを
 通ったなあなんて。理趣経も百字偈しか覚えていませんが、一緒に唱えました。

 約40分ほどで、法要も終わり、今日は霊宝館に寄らないで、南院に山を越えて向かいます。去年の夏に
 地元の方に教えてもらった、山道です。雪の名残がちらほら残っていますが、日差しは暖かです。
 この道は、まるでへんろ道ですから、大好きな道です。
 
       南院縁起絵馬

 道を出ると、目の前が南院です。中には、たくさんの白衣を着た参拝の団体さん。もちろん私は、外からの
 お参りです。と、白いねこが声を枯らして近寄ってきます。どうも臆病らしい。でもすぐに、わたしの周りを
 まわって、首を足にこすり付けてくれましたよ。反対側では、茶色の犬が昼寝です。ぎゃあ子とベンちゃん!
 お世話されている女性に名前を聞きました。天上の竜も笑っているようでしたよ。

    ぎゃあ子とベンちゃん・・・見えますか?

 南院向かいの花屋さんで、高野槙を家のお墓と仏壇用に買いました。帰りのケーブルは超満員。
 特急こうや号で帰路に着きました。とってもすばらしい一日でした。みなさんが、ご無事に暮らせますように。
 新しい高野槙の念珠でお祈りしました。        南無大師遍照金剛    合掌

  ※旧暦の20日 2007年5月6日(日)  旧正御影供御逮夜  午後6時 大伽藍 御影堂

   旧正御影供のお待ち受け法会で、別名「萬燈萬華会」とも呼ばれます。その名のごとく、
   伽藍境内一面をロウソクとお花で埋め尽くします。当日は午後6時よりご詠歌・舞踊の奉
   納が行われ、午後8時よりは御逮夜の御法楽が行われます。この御法楽の後に一年を
   通じて一度だけ、一般の方の御影堂内へのお参りができます。

   旧暦の21日 2007年5月7日(月)  (旧)正御影供  午前9時 奥の院 御影堂

   旧暦の21日には「旧正御影供」といたしまして、午前9時より奥之院、午後1時より御影堂
   にてそれぞれ御影供と称してお大師様柄の報恩を捧げます。この日は「裏千家」による献
   茶・高野山に伝わる華道流儀「華道高野山」による献花式が行われます。