巡礼の詩    時々の思いを、残したい。平成16年7月30日から平成17年2月13日。

■お参りの作法 ■四国八十八箇所道開 ■四国へんろ準備篇
■遍路 阿波(1) 阿波(2) 土佐(1)  土佐(2)  伊予(1) 伊予(2) 讃岐(1) 讃岐(2)
■巡礼の詩(2)  (3)

 幾多にも 姿を変えし 観音に

    会える楽しみ いざお遍路に

        (1番霊山寺 観音様)
 

 ひよいと四国へ晴れきつてゐる
               (山頭火)
  
                                                   
 まだ初めし 白衣のそでの 衣擦れも

     夢と期待と 喜びの遍路(みち)
  (8番熊谷寺は、暴風雨)

  神風は われの行く手を はばむれど

   消えることなき わが思いさらに

 (8月真夏。炎天下。誰もいない。)

 鈴の音(ね)と 足音だけの へんろ旅

        (16番 観音寺までの道。)
  (17番井戸寺 大師の井戸)

   井戸は 鏡 心を映す 影という

    曇りはないか 濁りはないか
  

 (早朝、朝霧の参道。
      山門まで仏がお迎えです。) 

 迎えられ
       仏と参る
             大師堂

      (20番鶴林寺 参道。)

(室戸の波音に、底知れない怖さを感じて。)

   背負うもの 
         背負い直しの
                   へんろ道

    (24番最御崎寺 室戸岬の海岸道。)
  行き行きて なお行き行きて 一人旅

      共に歩し  大師 頼りに


 へんろ道、息切れしても 
             休みなく 

        とまる機会を また見失ない


    (岬からへんろ道。24番に向かう。)

虚空蔵の 修法いかに

 空と海  若き大師は 

     いずこ見据えし

(21番大龍寺 捨身岳 山頂。24番前 青年大師像  すぐ横に、「みくろど」 虚空蔵求聞持法を修行。)
 明星と 日の出は 永久に 
              変わりなし

   室戸の波も 絶ゆることなし


(24時間絶えない波音。怒涛。
         音もなく昇る朝日。)


 
   爪をもて 刻みし仏の 薬師堂 

     願いも切なり 大日の寺

         (28番大日寺 奥の院)
  きざはしの その一段の 歩みこそ

       重ねる日々の 精進の旅


     (30番 竹林寺 補陀落の寺)

 

 ひとをみな 信ずることが できえなく

       苦しいこころ  まもれ 明王

(36番 独鈷山青龍寺 (不動明王) 本当の優しさは自分に乱れがないところから、生まれるのでしょうか。自分すら信じられないのです。)
  

 四万十の 川面に 浮かぶ 白鷺に

  墨染めのわれ 祈る法舟(のりぶね)

 (足摺は補陀落舟の出るところ。天狗の鼻で。はるか下から呼ばれているような。)

 

 移ろいし 季節の色も 空なりや

      遍路の朝は こころ乱れて

(40番観自在寺 境内は秋晴れでした。爽やかさも いたずらなり。今年の初みかんをいただきました。)

 『朝まいりは わたくし一人の 
               銀杏ちりしく』

  昭和14年11月21日 種田 山頭火




 (44番大宝寺 早朝7時 
       まさにこの句の通りでした。)
   あまりの景色に、詩ができません。
 
 急坂を 下る先には その先は
     如何にあろうと 導きのまま

(44番打ち終わり後、
         満足とは受け入れることと。)
        
 岩屋寺 三十六(みそろく)童子に

    導かれ 不動の御山に

          いざ のぼり行く



(45番 岩屋寺 逼割(せりわり)禅定 50枚のお札と鍵をいただき向かいました。)

 
枯野行き 札打ち始めの 三郎よ

  ここにも一人 懺悔人(さんげびと)あり

 (46番から47番の間 秋 快晴。衛門三郎の菩提寺に向かう。)
 犬二匹 従え上る 階(きざはし)は

  不動のごとく 心みなぎる

 (石鎚山に向かう途中、極楽寺で二匹の犬が出迎えてくれました。ずっと先導してくれました。)
 

 雲辺寺

 大毘沙門の足元に

 おはす羅漢に
 
 亡父(ちち)探しけり

  (66番雲辺寺 五百羅漢)


66番雲辺寺 毘沙門像
 誰(たれ)か来たり

  祈りの背向こうに 気配あり

     大師はここに いましましけり

(石鎚山奥前神寺で祈っていたとき、後ろから近づく足音が確かにしたんです。でも、振り返っても誰もいなかったんです。真後ろまで来たんですよ!)
 (68番観音寺 琴弾有明海岸を望む)

 琴平の 有明の海 眺むれば

   はるばる来(き)ぬる 

     遍路(たび)をしぞ おもう 

 (1番霊山寺から7ヶ月経ちました。)

(73番出釈迦寺奥の院へ。捨身が嶽禅定に向かう。)

    身を捨てて 試す勇気は 無かりけり

       わが身の値打ち 誰(たれ)か計らん

      (天女は何処(いずこ) 出あえ仏)
(「我拝師山」から74番甲山寺・75番善通寺へ)

  急坂を すべるが如く やまくだる

   導(ひ)かれるがまま 命あるまま

 (なにかものに憑かれたように、休み無く一時間かかって下りました。)

 (74番甲山寺に)

   影はきっと わが身に付きて 裏切らず

            杖を頼りの 遍路道まだ
   
   御影頼り 十善のおしえ 片時も

         過ぎさりし日々 よも忘れまじ

   
  五色台 五仏の菩薩に 守られて

   瀬戸の海も のたりのたり

   (81番 白峯寺から瀬戸大橋を)

 根香寺の 木々に包まれ 静かなり

      ここまで至り  仏に参る

          (82番 根香寺にて)

 杖を頼りに 傘をよすがに 過ごしたり

     長々しき日々 また始まらん


  (87番 長尾寺の朝 大師堂にて)



 打ち終わる み寺の前に 立ちたり

    さらに小さき 我の小さき

          (88番 大窪寺 山門)



  雪高野 大師の懐(むね)の 内に入り

         跡を尋ねる  旅の終わりに

 (高野山 四国八十八ヶ寺巡礼遍路 
                結願のお礼参り 冬)

 (山頭火の句碑 88番大窪寺)

 「ここや打留の水があふれてゐる」




 どうしようもないわたしが歩いてゐる

 うしろすがたのしぐれてゆくか






 あなうれし  

  ゆくも かへるも

    とどまるも

       われは だいしと

         二人づれなり

 (この句碑は、87番長尾寺のです。 同じ句碑が、88番大窪寺にも。)

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