薬師巡礼(C)2004 RayLand   京都 三千院・神護寺・仁和寺

五月ももう終わります。新しい環境になった平成16年度も、2ヶ月です。
今日も、天気予報は雨模様。西国49薬師巡礼の旅も、いよいよ終盤です。京都の2寺院と舞鶴・城之崎・香住の
3寺を残すのみです。

三千院と神護寺。でも地理的にいうと、結構遠いんです。早朝から、車で向かいました。
♪京都 大原 三千院  なんて歌われる ここ大原は、もう鞍馬の近くです。京都から比叡山に登る
八瀬を越えて北東に。秘仏だとは聞いていますから、せめてお側にという思いです。薬師さまも秘仏が
多く、もうがっかりはしていません。

駐車場を降りると、なんと中学生の修学旅行生たちでぞろぞろ。・・・そうですよね、ここは京都の有名な
観光地です。参道は狭いのに、お土産もの屋さんが並んでいて呼び込みです。

私は、観光客ではありませんって思いながらも、観光もまた一興・・・(いささか残念です。)

拝観させていただきました。立派な寺院です。圧巻は、往生極楽院。阿弥陀三尊が迎えてくれます。
早速、お数珠を出してお参りしました。お堂の中のうち壁には、黒くすすけた小さな仏がいっぱいの板画に
囲まれています。残念だなあと思いながら帰りました。調べましたら、

 

 「御堂内部には、有名な船底天井及び壁画は、金胎曼荼羅・二十五菩薩・飛天雲中供養菩薩(楽器を奏でる
  菩薩像)・宝相華(極楽の花園の図)などの極彩色の絵で包まれ、あたかも極楽浄土をそのまま表しています。」
とのこと。

ご朱印をいただき、少し人いきれにうんざりしていたとき、「来迎院」(本尊薬師如来)の案内が目に入りました。
三千院門跡の右側の坂道をすこし上がったところです。あんなにたくさんの人がいたのに、誰も見かけません。

 来迎院です。写真の通り、誰もいないのです。本堂にはお薬師様が、
 ひっそり私たちだけを待っていてくださいました。

 静かに合掌し、つたない経を上げました。懺悔文、帰依文、般若心経、
 おん。びせいぜいびせいぜい。びせいじゃ。さんぼりぎゃてい。そわか。
 (天台真言)

 静かです。心が静かです。須弥台の天井には2体の天女。縁にはいくつ
 かの楽器(鼓、笙、横笛、琵琶・・)が飛んでいます。


そうです。この来迎院は『声明』(しょうみょう)の道場です。声明は全曲を定められた役の僧が独唱する曲や、
冒頭部分を独唱して、あとを全員が斎唱する曲、輪唱型式をとる曲もあります。

融通念仏宗を開いた聖応大師(良忍)は浄土教信仰の熱心な伝道者で声明の天才的演奏者だったと言われ、
庶民に信仰を説いて回るときに声明を用いたと言います。聖応大師は晩年大原に隠棲し、勝林院の永宴から
大原流梵唄の伝授を受けました。その後、来迎院や淨蓮華院を建て声明根本道場としました。

こうして大原は勝林院(下院流・本家)と来迎院(上院流・本願)の二つの道場において声明梵唄が盛んに
なっていったそうです。

 どこへいっても、必ず仏様は待っていてくださいます。探さなくても、どうやら導いてくださっているようです。
今日も、ゆっくりお会いしたいっていう気持ちを聞いてくださったのでしょう。、私を静かな場所に呼んで
くださったのです。

あまりのうれしさに、帰りの参道で「ぬれおかき」の串を買って、かぶりつきました。
さあ、こんどは京都高尾の神護寺です。

京都の北東から北西まで、車で一時間。険しい峡谷の向こう側の
山の上にお寺があります。さて、気持ちを引き締めて350段の石段を
上りましょう。

空模様が怪しくなってきました。有名な山門が石段のすぐ上から、
私たちが来るのを見下ろしています。

なんの、これしき。夏には四国遍路の決意。この程度で弱音はいいません。
人もまばら。金堂、お薬師さまが十二神将、四天王に守られています。
立像のお薬師は、あまり見かけません。

かえり道で、新緑のもみじと川のせせらぎ音を聞きながら「湯豆腐」を
いただきました。汗を流して食べるのも、また一興です。

そうだ、時間があるから嵐山の向こうにある仁和寺によって行こう。

 かの兼好法師が、目の敵にした仁和寺。華道御室流。
 お抹茶で有名な「大内山」。壮大な領地をもつ、京都でもちょっと別格の寺院。

 ごめんなさい。あんまりいいイメージを持っていませんでした。

 門跡を拝観させていただきました。最初にお会いしたのは、孔雀明王画(模写)
 です。元々インドでは孔雀は毒蛇を食してくれる守護的存在であるために、一切の
 諸毒から護ってくれる力があると信じられてきました。その力を神格化したのが
 孔雀明王です。手に弓と箭をもっておられます。(降三世や金剛夜叉明王のよう)。

 一般的には、その手に蓮華(敬愛)・倶縁果(増益)・吉祥果(降伏)・孔雀尾(息災)
 をもっておられます。
孔雀明王画


 残念ながら、仁和寺霊宝館は、年に二回4月からと10月から50日間
 しか開いていません。あと10日早かったら、愛染明王にお会いできた
 のに。

 今度は、きちんとお参りします。ついで詣は、だめですよね。
 まっていて、ください。

 本堂 阿弥陀三尊をお参りし、水掛不動さまに。
 まだ不動さんのご真言がうまく言えません。持っていた十三仏の経本
 を慌ててだして・・

 のうまく さまんだ ばざらだん せんだまかろしゃだ そわたや 
 うんたらた かんまん


 なんと1.5mから2mもの竹のしゃくがあり、手前の井戸から水を
 すくって掛けます。結構重かったですよ。



 今日は、お疲れ様。もう日が暮れます。毎回、なにか出会いや感動があります。

次への宿題もだんだん増えて、たいへんだ。湯豆腐の胃もたれも、またよしと、帰路に向かいました。


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