瑠璃の経文(C)2004 RayLand

お薬師さまのことを勉強するにあたって、やはり基本は「薬師本願功徳経」だろうと思います。
実は、大仮説ですが、「すべての仏様はお釈迦さまに帰着するのではないか?!」と考えています。

また、「なぜ、お薬師さまが曼荼羅に出てこないのか?」、「東方瑠璃光世界は、どこにあるのか?」疑問がいっぱい湧いてきます。

薬師如来に関する経典名を調べました。関係する他の仏様の経典はまだです。

佛説藥師如來本願經 達摩笈多
藥師琉璃光如來本願功徳經 玄奘
藥師瑠璃光七佛本願功徳經 義淨
藥師琉璃光如來消災除難念誦儀軌 一行
藥師如來觀行儀軌法 金剛智
藥師如來念誦儀軌 不空
藥師如來念誦儀軌 不空
藥師儀軌一具  
藥師琉璃光王七佛本願功徳經念誦儀軌 沙巴
藥師琉璃光王七佛本願功徳經念誦儀軌供養法 沙巴
藥師七佛供養儀軌如意王經 工布査布
修藥師儀軌布壇法 阿旺扎什
藥師經疏
藥師如來講式 最澄


時間は、たっぷりありますからぼちぼち読んでいきます。

まずは、「薬師本願功徳経」の内容を分析するところから始めようと思います。

佛説藥師如來本願經 達摩笈多
藥師琉璃光如來本願功徳經 玄奘

ほぼ同内容の経が、2つあります。比較しましたが、ほとんど同じです。

「潅頂經卷第十二 藥師如來本願功徳經 三蔵法師 僧玄奘 
弟子賈崇俊願  平安廣徳二年十二月十五日發心  寫  」
を基本にしました。(一部が、抜けているようですが、・・)


[お経の名前](経の中に、お釈迦さまが自ら名づけています。)

 「薬師瑠璃光如来本願功徳(やくし るりこう にょらい ほんがん くどく)」と説き、
 「十二神将饒益有情結願神呪(じゅうにしんしょう にょうやく うじょう けちがん じんじゅ)」と説く。
 「抜除一切業障(ばつじょ いっさい ごうしょう)」と名づく。

[場面と登場人物]

 場所・・・広厳城(こうごんじょう)の楽音樹の下で。
 場面・・・お釈迦さまの周りに、修行者八千人。菩薩三万六千及び国王、大臣、バラモン、居士、天龍、
                              八部衆、人非人等、無量の大衆

      曼殊室利菩薩・觀自在菩薩・慈氏菩薩・善現菩薩・大慧菩薩・明慧菩薩・山峯菩薩・
      辯峯菩薩・持妙高峯菩薩・不空超越菩薩・徹妙音菩薩・常思惟菩薩・執金剛菩薩。
      如是等諸大菩薩而爲上首。及諸國王大臣婆羅門居士。天龍八部人非人等。
      無量大衆恭                      「藥師瑠璃光七佛本願功徳經 義淨」

 主な登場人物・・・
      お釈迦さま 「世尊」、「佛」
      曼殊室利(菩薩) 「曼殊室利法王子」(文殊菩薩)
      阿難
      救脱菩薩
      十二薬(夜)叉大将

[経の目的(本質)](文殊菩薩が、お釈迦さまに対して問い、決意するという設定)

 像法の時代になったとき、諸々の人々を救いたいと思う。諸々の聞き手の悪業を消滅させたい。 慈悲心をもって、諸仏の名号と本願の功徳を説く事で、諸々の人々を利益し、安楽させる為

 我まさに誓って像法の転ずるときにおいて、種々の方便をもって、諸々の清らかな信仰を起して、善き男女などに、世尊 薬師瑠璃光如来の名号を聞くことを得らせ、眠りの中においても又、佛の名をもってその耳を悟らせます。

  ☆像法時代   お釈迦様がお亡くなりになって、500年経ったときから500〜千年間続く と言われている。修行だけがあり悟りを得るものがいない。ただ形だけが残っている時代。

[東方瑠璃光世界](阿弥陀経の極楽に比べて、説明が少ないですね。)

  東の方に、ここを去ること十恒河沙などの仏土を過ぎて世界がある。浄瑠璃という。

  かの佛土はひたすら清浄であり、女性がいなく、又、悪い所及び苦の声がなく、瑠璃を土地とし、金の縄で道を境界し、佛の壁、宮閣、軒窓、珠でできた鎖は皆、七宝で出来ている。

  また、西方 極楽浄土と同じ功徳で飾られていて、差別はない。

  ☆「阿弥陀経」から「極楽浄土」の説明部分です。

 西の方角、十万億の仏の国を過ぎて世界がある。極楽という名前である。極楽の国は七重の柵と七重の網、七重の並木があり、これらはみな、四宝で出来ていて周りを囲んでいる。七宝でできている池があり、八種類の徳を具えた水が満々ている。池の底は金の砂が一面に敷き詰められている。四方には階段の道があり、金・銀・ルリ・ハリ・が組み合わされている。その上には楼閣があり、金・銀・ルリ・ハリ・シャコ・赤い玉・メノウで美しく飾られている。池の中には蓮華が咲いており、大きさは車輪のようである。青い蓮華は青く光輝き、黄色い蓮華は黄色く光輝き、赤い蓮華は赤く光輝き、白い蓮華は白く光輝いていて、いづれも清らかな香を放っている。かの仏の国は常に天の音楽が奏でられ、地面は黄金でできており、昼三回、夜三回に曼荼羅の花の雨を降らす。 

 ●場所が、どこなのかは別途考えます。倶舎論「世間品」や「曼荼羅」を勉強しないといけません。

[お薬師さまの名前](これが、フルネームですね。)

 薬師瑠璃光如来、応正等覚、明行円満、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師仏、薄伽梵


[十二の大願](詳細は、別掲「薬師経対訳」をご覧ください。)

  かの世尊、薬師瑠璃光如来、応正等覚が菩薩の道を行じた時に起した12の優れた上願である

  かの世尊 薬師瑠璃光如来は菩薩の道を行じた時に起した大願及びかの佛土の功徳で飾られたなら、我れはもし、一劫もしくは一劫の余り、説く事をやめることができる。

 ●「地蔵菩薩本願功徳経」の「二十八種功徳」もほぼ同じ内容です。そのあたりから、すべての仏の教えは、すべて同一の根本からきているのではないかと、考え出したわけです。
     
[日光・月光](お釈迦さまが、「浄瑠璃世界」の住人を説明します。)

 その国の中において2人の菩薩がいる。一人目は日光遍照(日光菩薩)、二人目は月光遍照(月光菩薩)という。これはかの無量無数の菩薩衆の上位にいて、ことごとく良くかの世尊 薬師瑠璃光如来の正法の宝の蔵を保っている。

 ●「薬師三尊」といわれる仏像配置のもとですね。私は、この「三尊形式」に興味を持ちました。「日天・月天」、「普賢菩薩・阿しゅく如来」、「不動明王・降三世明王」など日輪・月輪と関係の ある仏が、結構いるんです。
 ●どうやら、お薬師さまの居所が見えてきます。「曼荼羅」を調べようと思います。

[八大菩薩](薬師八大菩薩です。「曼荼羅」の「八大菩薩」ではないのですが・・。)

 もし世尊薬師瑠璃光如来の名号を聞けば、命が終わるときに臨んで八大菩薩がそこにおり、その名を文殊師利菩薩観世音菩薩得大勢至菩薩・無盡意菩薩・宝檀華菩薩・薬王菩薩薬上菩薩弥勒菩薩という。

 八大菩薩は虚空に乗じて来て、その道を示し、かの世界、種々の色の諸々の宝の華の中において、自然に生まれる。

 ●仏は、思念の中にいらっしゃるのなら、念ずればどこにでも、どんな姿でもなって現れるものならこの八大菩薩もまた、別の如来や菩薩であっても不思議はありませんね。

    
[四天王](四天王は、文殊菩薩の命令を受けるんですね。)

 曼殊室利は、お釈迦さまに約束します。

 その時に四大天王は眷属及び吾の無量百千の天衆と共に、皆その場に詣でて供養し守護します。世尊、もしこのお経の宝が流れ出て行く処にて、よく受け持ったならば、かの世尊薬師瑠璃光如来の本願功徳及び名号を聞くことによって、まさに知るべし。



[薬師の願](こうすればいいというのが、わかりやすい。)

 諸々の信心ある、善き男女などは、まさにかの佛の世界に生まれたいと願いなさい

 念ずる時において、餓鬼界、畜生界から帰って人間界へ生まれる。宿命の念を得て、報いにより落ちる迷いの世界の苦を恐れ、欲と楽を願わず、好んで恵みを施す行いをし、施した者を称え、一切の所有をことごとく、物おしみすることなく、次第になお、よく頭目、手足、血肉の身分をもって、求めて来る者に施しをしなさい。もちろん吾の財物もである

 悪行を棄て、諸々の正しい法を修め、報いによって落ちる迷いの世界へ落ちない。たとへ諸々の悪業を捨て、正しい法を  修行する事ができず、報いに応じて落ちる迷いの世界に落ちる者がいても、かの如来の本願の偉大な力をもって、如来の前で、しばらく名号を聞いたなら、これより命が終わって人間へ生まれ変わって、正しい見解と精進とを得て、よく意志を調え、すなわち家を捨てて、家がなく如来の法の中に学ぶ処を受持ち、戒律を破ることなく正しい見解、多くを学んで、極めて奥深い教えを悟り、思い上がりを離れ、正しい法をそしらず、魔の仲間とならず、順次に諸々の菩薩の行を修行して、速やかに円満することを得なさい

 善い因縁によって、今また、思い念じ、心の底から帰依すれば、佛の神力をもって諸々の苦から逃れることができ、眼・耳・鼻・舌・身は悟りを得、智慧は多くを学び、常に勝れた法を求め、常に善き友に遭い、永遠に悪魔の束縛を断ち、無知の殻を破り、煩悩の河は枯れ、一切の生・老・病・死の憂い、苦悩を逃れられる

 諸々の悪事はことごとく害することがなく一切は次々とみな、慈しみの心を起こし、利益・安楽にして苦しめる心及び恨みの心がなく、各々喜んで自ら薬師瑠璃光如来の名号を受ける所によりて、喜びを生じ、あい侵さず互いに害を与えない

 比丘・比丘尼優婆塞・優婆夷及びその他の清らかな心の善き男性・善き女性などがおり、よく正しい見方・正しい思い・正しい言葉・正しい行動・正しい生活・正しい努力・正しい心の安定を受持つ事があって、一年過ぎ、或いは又、3ヶ月、戒を受け持ち、この善根をもって西方極楽世界の無量寿佛(阿弥陀如来)の所に生まれ、正しい法を聴きたい事を願い、いまだ定まらない者も、あるいは、これによって天上界へ生まれる事があり、天中に生まれるといえども、本の善根は今だ尽きる事ない。

 また更に諸々のその他の報いによって落ちる迷いの世界に生まれず、天上の命が尽きればまた人間に生まれ、

 あるいは輪王となって四州を統一し、威厳と徳望を自在にして、無量の衆生を十善道に安立させなさい。あるいは王族・バラモン・居士・大家に生まれて、財宝は豊で倉庫に満々、姿は美しく眷属を具え、聡明にして智慧があり、勇ましく猛々しいこと大力士のごとくなる。

 女人、世尊薬師瑠璃光如来の名号を聞くことを得、真実の心で唱え、のちにおいて又、更に女の身を受ける

  ☆八正道=悟りの境地に達するため、八種類の正しい行い。
       @正しい見方  A正しい考え  B正しい言葉  C正しい行い
       D正しい生活  E正しい精進  F正しい思い  G心を安定させる
  ☆十善道   10種の善い行い。
      生き物を殺さない・盗みをしない・男女の道を乱さない・嘘を言わない
      ふざけ言葉を言わない・悪口を言わない・仲たがいさせるような事を
      言わない・欲を出さない・怒らない・邪まな見解をしない
        
 ●み仏の教えは、どの経においても同じですね。どなたかが書かれておられましたが、仏教の経典は、その多くの部分を「絶賛」にあてているため、内容が理解しにくいですね。
 ●この部分で興味を引くのは、「たとえ極楽に生まれても」という部分ですね。
 ●「女」についてです。「薬師十二大願」にも第八の大願は、願わくば我れ来世に悟りを得たなら、もし女性がいて、女の百の悪に苦しめられるが為に、極めて穢れを嫌って離れたいという思いが生じ、女の身を捨てたいと願って、我が名前を聞いたなら、一切皆、女性が転じて男性となり、丈夫な体が具わり、最高の悟りを得られる。とあります。「極楽」では、「女」はいません。どうも女性差別の解釈が、わかりません。ちなみに、後述の「阿難」は、仏教で初めて、女性を始めて出家させた十大弟子ですね。


[滅除一切衆生苦悩の大陀羅尼](お釈迦さまは、衆生のために祈ります。) 
                 (「抜除一切業障(ばつじょいっさいごうしょう)」)
      真言
   ノウモ バギャバテイ バイセイジャ クロ ベイルリヤ ハラバ アラジャヤ タタギャタヤ 
   アラカテイ 
帰命 世尊 薬師 瑠璃色 光王 如来 応供
   サンミャクサンボダヤ タニヤタ オン バイセイゼイ バイセイゼイ サンボリギャテイ ソワカ

          無上正等覚者 所謂 帰命 薬 薬 薬発生 菩薩行 成就

[薬師の信](信じれば、こうなるということ)

 もし男女に病の苦しみがある者を見たなら、一心に病人の為に、清浄をし食事の後に手を洗いうがいをし、或いは食物、薬、虫のいない水に、108遍真言を唱え、これらを与えて食べさせなさい。かかっている病気の苦はことごとく皆、消滅をする。もし、求めることがあれば、心が至るまで念じなさい。皆、ことごとく無病延命を得られる。命が終わった後に、薬師瑠璃光如来の世界に生まれて、決して失う事のない境地を得て悟りに至る。

 もし男性と女性がいて、かの薬師瑠璃光如来に真実の心で熱心に謹み敬い供養をしないものは、常にこの真言を保って忘れてはいけない

 もし清らかな信仰を起した男女がいて、薬師瑠璃光如来、応正等覚のあらゆる名号を聞くことを得、聞き終わって常に経典を読誦し、朝は歯木を噛み、食事の後に手を洗いうがいをし、清浄にして諸々の香花、焼香、塗香でもって、諸々の音楽をなし、薬師瑠璃光如来のお姿を供養し、この経典を自ら書き、もしくは人に教え書かせ、一心に受け持ってその義を聞き、かの法師において供養を修すること。一切のあらゆる弟子が身に具わったものは、ことごとく皆に施し、与えて乏しくなることがないように。すなわち諸仏の護念をこうむり、求める処の願いが満ちて悟りに至ること

 もしこの経を受持ち読誦をし、あるいは又、他の為に説法を聞き示し、もしくは自ら書き、もしくは人に書くことを教え、謹み敬って尊重をして、種々の華香・塗香・抹香・焼香・花鬘・瓔珞・幡蓋・伎楽をもって供養し、五色の糸で袋を作り、これら(種々の華香・塗香・抹香・焼香・花鬘・瓔珞)を盛り、清い処を水で注いで清めて、高座を聞いて安心して座れば、不慮の死なく、又、諸々の 悪鬼神の為にその精気を奪われず、例えすでに奪われた者でも、元のようになることを得て、心身は安楽になる。

☆五色=仏教の基本色で白・青・赤・黄・黒の五色。密教では五仏や五智などに配当される。


 ●歯磨き、手洗い、香華、抹香、塗香、焼香、音楽なんですね。
  「サンプラーガター(三鉢羅ギャタ)」と唱えると毒が消えるとお釈迦さまが弟子にいったとか。
 ●信ずる心を欠いたとき
     身肉を裂くがの如く深く痛惜を生じる。
     命が終わっても、餓鬼界、或いは畜生界に生まれる。
     自ら邪まな見方を行い、また、限りない数の衆生をとても険しい穴へ落とす。
     地獄・餓鬼・畜生において、流転すること極まりない

[薬師の罰](教えを守らないと、こうなりますよ。)

 地獄・餓鬼・畜生の中に落ちなさい。計り知れない歳月の間、諸々の激しい苦を受け、激しい苦が終わってこれより命の終りが来ても人間に生まれず、牛・馬・らくだ・ロバをなって、恒にムチで打たれ、飢え・渇きに苦しめられる。恒に重いものを背負って道に従って行き、あるいは人となることを得て生まれても、下層に住み、他人の迫害を受け、恒に自由にならない。


[薬師の功徳](私たち衆生は、どうすればいいんでしょう。)

  阿難の不安
 諸々の衆生がいて信念が見えず、この考えを理解せず、ただ薬師瑠璃光如来、一佛の名号を念ずるだけで方便の勝れた功徳を得ることができないと思い、この思いによって信じず、かえって悪口を生じ、彼は長い間、大きな利益と安楽を失い、諸々の迷いの世界に落ち、生まれ変わりをすることきわまりない

  お釈迦さまの答え
 この諸々の生きとし生けるものが、真実の心で受持して疑惑を生ずることがあっても地獄・餓鬼・畜生に落ちる者もここにはいない。

 一切の教えを聞く修行僧、独自の修行をする僧及び迷いの世界を超えた世界を得る為の準備修行をする菩薩、皆ことごとく教えを信じ理解をすること叶わず。(一生悟りを得た菩薩を除く。)

 人の身を得ることは難しい。仏・法・僧の中において、信じ敬い尊重することも得る事ができない。世尊薬師瑠璃光如来の名号を聞く事を得ること、又、聞くことは難しい。

 かの薬師瑠璃光如来の無量の菩薩行、無量の勝れた方便、無量の勝れた願、我もし一劫の余においても広く説けば、劫は速やかに滅びても、かの薬師瑠璃光如来の行願、すぐれた方便は滅びることはない

 ●このあたりが、大乗仏教の三世実有法体恒有(さんぜじつうほったいごうう)ということでしょうか。
       

[救脱菩薩](この菩薩のことは、分かりません。奈良の秋篠寺に仏像があるようです。梵天といらっしゃる。)

 救脱菩薩が、阿難にいいます。

  閻魔法王
  像法の転ずる時、諸々の生きとし生けるものがいて、種々のわずらいに困窮し、永い病気を患い、痩せて飲食することができず、喉と唇が渇きどちらを見ても暗く、死相が現れ、父母、親族、友人が泣いて取り囲んだ。しかし、彼自身は伏して本来の所におり、閻魔の使いが彼の魂を引いて、閻魔法王の前に至ったと見る。しかもなお、諸々の生きとし生けるものには倶生神(くしょうじん)がおり、その悪い行い、もしくは良い行いに従って、皆つぶさにこれを書き、書いたものをことごと く持って閻魔法王に授与する。その時、閻魔法王は充分に検討し、行いを計算して、その悪い行い・良い行いに従って悪い場所を断ち切る。

  時に病人の親族、友人は彼の為に世尊薬師瑠璃光如来に帰依し、諸々の衆僧を招いて、この経を読誦し、七層の燈明を灯し、五色(ごしき)の寿命の延長を祈る幡を掛ける。或いは、この場所に彼の魂が帰ることがある。夢の中にあるかのように明らかにして自らの姿を見る。或いは7日、或いは21日、或いは35日、或いは49日を経て、彼の魂の帰る時、夢から覚めるかのように皆、自ら善・悪の業の得る所の報いを知り忘れてはいけない。自らの業の報いを正しく見ることによって、命を損なわれる災難、諸々の悪業を造らない。故に浄信のある善き男女などは、皆まさに薬師瑠璃光如来のお名前を受持し、力のおよぶ所に従って謹み敬い供養をしなさい

  閻魔王は、世間の名前を記した名簿を管理し、諸々の生きとし生けるものが、不孝、五逆、佛・法・僧を破壊し、主君と下臣の法を破り、信じる戒をそした時、閻魔法王は罪の軽い重いに従い考え、これを罰する。

[お薬師の祭り方]

  救脱菩薩の説明

        もし病人がおり、病苦を逃れたいと思えば、まさにその人の為に七日七夜、殺生をせず、
        他者から盗まず、性交せず、誤りを口に出さず、幾多の災いの元となる薬物を避け、高く
        立派な座には座らない、時を違えて食さないし、歌舞音曲から離れ、香水も飾りも付け
        ない戒めを受持しなさい。

        飲食及び物質で力の整う所に従って(自身で出来る範囲内で)修行僧を供養しなさい。

        昼夜6時にかの世尊薬師瑠璃光如来を礼拝し供養しなさい。

        このお経を49反読誦し、49の燈明を灯し、かの如来の姿の像を7体造り、一つ一つの像の前に
        各々7燈明を置き、一つ一つの燈明の量は大いなる車輪のようにしなさい。
        
        ●薬師七仏については、別記しています。

        49日間光明を絶やさないようにし、五色の幡を造って、長さを49尺にしなさい。

        五色の神聖な幡を造立し、燈明を灯し続け、諸々の生命を放ち、いろいろな色の華を散らして
        多くの名香を焚きなさい。病が癒えることを得、諸々の難から逃れなさい。

        諸々の生きとし生けるものに勧めて燈明を灯し、幡を造り、生き物を放して、福を修めることを勧め
        苦厄を祓い、人々が難に遭わないようにするなり。

        ☆八斎戒(大乗の八戒)を受ける時に唱える誓いの言葉です。(後日教えてもらいました。)
         今から殺生をせず、他者から盗まず、性交せず、誤りを口に出しません。
         幾多の災いの元となる薬物を避けます。高く立派な座には座りません。
         時を違えて、食しません。歌舞音曲から離れ香水も飾りも付けません。
         アラカンたちが、殺生などの悪業から離れたように
         私もまた、殺生などの悪業をなしません。素早く悟りに至りますように。
         あらゆる苦難を受ける衆生が苦しい輪廻の海から解放されますように。

        ☆十善道   10種の善い行い。
         生き物を殺さない・盗みをしない・男女の道を乱さない・嘘を言わない
         ふざけ言葉を言わない・悪口を言わない・仲たがいさせるような事を言わない・
         欲を出さない・怒らない・邪まな見解をしない

        ●薬師寺巡礼は、49の寺院です。49という数字が、薬師の数字ですね。


[九難(不慮の死)]

       [アナンが救脱菩薩に問う]
           「よき菩薩よ。どうしてすでに尽きる命を増益すべきなのか」

       [救脱菩薩が言う]
           「大徳よ。汝はどうして如来の人間が受ける9つの災難、死がありと説いているのを聞かないのか。
           それ故に続命の幡・燈明を造り、諸々の福徳を修することを勧める。功徳を修することによって、
           その寿命が尽きる苦しみをえない」

      アナン問いて言った。
           「人間が受ける9種の災難とは何か」

      救脱菩薩が言った。
           「諸々の生きとし生けるものがおり、病が軽いといえども医薬および看病する者もなく、例え医者
           に遭っても授けられるものが薬でなければ、死ぬも不慮の死である。又、世間の正しい道を妨
           げる悪魔・妖怪の師を信じて、みだりに災いと福を説いて、恐ろしい動きを生み、自ら心を正しく
           せず、占いに問いて災いを求め、種々の衆生を殺して、生きとし生けるものの心に呼び掛け、
           諸々の妖怪を呼んで功徳を招くことを乞い、延命することを願うもついに得る事が叶わず。
           愚痴・迷惑にして誤った見方を信じ、

       初めの横(おう) 不慮の死で地獄に入り、出られる時期はない。
       2つには、道理に外れた王の法律に罪を責められ殺される。
       3つには、獣狩りに喜び、浴場にふけり、酒をたしなみ、気ままに遊んで節度がなく、道理に外れた
             悪鬼の為に、その精気を奪われる。
       4つには、道理に外れた火の為に焼かれる。
       5つには、道理に外れた水の為に溺れる。
       6つには、道理に外れた種々の悪獣の為に食われる。
       7つには、道理に外れた山崖から落ちる。
       8つには、道理に外れた毒薬・祈祷・呪い・死体に取りつく鬼などの為に害される。
       9つには、飢え渇きに苦しめられ、飲食することも得られず不慮の死を遂げる。


[十二神将](「十二神将饒益有情結願神呪(じゅうにしんしょうにょうやくうじょうけちがんじんじゅ))

     その時、人々の中に12の薬叉大将がおり、
     くびら大将  ・ばさら大将 めいきら大将・あんちら大将・ あにら大将・  さんち大将・
     いんだら大将・はいら大将・まごら大将  ・しんだら大将 ・しょうどら大将・びぎゃら大将

    12の薬(夜)叉大将は、一つ一つそれぞれに七千の薬叉がおり眷属となす。薬(夜)叉は
    同時に声をあげて佛に申し上げました。

    「十二神将饒益有情結願神呪(じゅうにしんしょうにょうやくうじょうけちがんじんじゅ)」

    我等は相引いて皆、同一の心にして形を尽して佛・法・僧に帰依し、誓って一切の生きとし生けるもの
    になって、道理と利益を作し、利益を与え安楽にする。従って、何らかの村々・国々・人のいない林の
    中においても、この経を流布し、或いはまた、薬師瑠璃光如来の名号を受持し、謹み敬い供養する者
    がいれば、我ら眷属は、この人を衛護し、みな一切の苦難を消滅させる。あらゆる願いをことごとく満
    足させる。あるいは病気の難から救いを求める者がいれば、まさにこの経を読誦し、五色の糸でもって
    我が名字を結び、願い事を得て終わった後に結びを解くべし

だいたい、見えてきました。
  1.瑠璃光世界は、どこにあるのだろう。
  2.お薬師さまは、誰でしょう。
  3.有情と無常とは?
                           さあ、次は「須弥山」ですね。


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