阿閃如来 (あしゅくにょらい)  種字は、ウン

                          ご真言    おん あきしゅびや うん
                                          羯磨會は  オンアクシビヤウン、
                                          三昧耶會は バザラキジャナウウン。


十三仏の7回忌導師。左手で衣の端をにぎっているのが特徴です。少し地味な存在で、四仏または
五仏のひとつとして祀られるのが一般的です。鏡のように全てを映し出すという意味で「大円鏡智」と
呼ばれる智を表します。薬師如来と同じと言う考え方もあります。

阿シュク如來は梵名をアクキシュビヤ又はアシュクヒ、アシュク婆と云ひ、訳して不動或いは無動業といいます。
又た密號を不動金剛或いは怖畏金剛と稱し、過去久遠の昔阿比羅提國に出現し、大日如來の化導を受け、
修行を終わって佛果を證し、善快に淨土を建立し、説法度生せらるる佛なりといわれます。

密ヘでは、大圓鏡智の徳に住し、諸種の惡魔煩惱を對破し無垢の淨菩提心を顯現する事を司り、
薩、王、愛、喜の四菩薩を眷屬とします。

慈恩の疏には「阿シュクヒ佛とは無瞋恚と名け、東方阿比羅提國に在り」と。
聖位經には「最初に無上乘に於いて菩提心を發す、阿シュク佛の加持に依るが故に、圓滿の菩提心を證得す」と。

攝眞實經には「胸臆中より光を放ち、東方無量世界を照らす」とあります。密ヘに於ける金剛界曼荼羅には、
東方日輪の中央に座し、又た胎蔵界曼荼羅にありては、天鼓雷音如來と同本誓にして、大日如來の東方です。


[お姿]

其の尊容は黄色にして左拳を膝に置き右手を垂れ、指頭を以て地を押す、とあり、印相は羯磨會は左を金剛拳
にして臍に安し、右の五指を伸べ膝を覆ひ指の先を地に觸る、即ち阿シュク觸地の印。三昧耶會は二手外縛し
て中指を竪て合わせ、劍のようにしています。


[曼荼羅から]
shining9's Mandara Explorer   http://homepage3.nifty.com/shining9/index.html の資料によりますと、

金剛界曼荼羅の中心である金剛界五仏のなかに位置します。
 
アク      北     不空成就仏
キリーク   西      阿弥陀如来
バン     中央    大日如来
ウン      東     阿閃如来
タラ-ク    南     宝生如来

金剛界三十七尊


金剛界曼荼羅の首腦なり。第一根本成身會に一千六十一尊ある中に、五佛と、中央大日に屬する四波羅蜜菩薩と、他の四佛に屬する各々の四親近即ち十六大菩薩と、内の四供養、外の四供養の八供と、及び四攝菩薩となり。此の中十六大菩薩は慧徳にして四波八供四攝は定徳なり。即ち此の數自ら三十七菩提分法の數に應ず。因みに密ヘに於いて諸尊の廢立の數法門に依って重々あり、一尊八尊九尊十尊五十三尊七十三、乃至十佛刹微塵數尊。

四波羅蜜菩薩 金剛界大日如來の四親近の女菩薩なり。是れ皆大日如來より流出して四方四佛の能生の母となるなり。一に金剛波羅蜜菩薩、K色にして左手の蓮華の上に凾あり、右手に阿シュク如來の印を結ぶ。金剛とは金剛堅固菩提心なり。此の菩薩を東方阿シュク如來の能生養育の母となす。二に寳波羅蜜菩薩、白黄色にして左手の蓮華の上に寳珠あり、右手に四角の金輪を持す、寳とは萬善所成の功徳なり。此の菩薩を南方寳生如來の能生養育の母となす。三に法波羅蜜菩薩、赤肉色にして無量壽の印を結び、蓮華の上に凾あり。法とは智慧門説法の徳なり。此の菩薩を西方無量壽佛の能生養育の母となす。四に業波羅蜜菩薩、色にして左手蓮華上に凾あり、右手に羯磨杵を取る、業とは衆生の利益の事業なり、此の菩薩を北方釋迦如來の能生養育の母とす。【兩部曼荼羅鈔上】

四親近 金剛界五佛中の四方に、佛の四方に隨從する四菩薩を四親近と云ふ。


a1.阿シュク如来
b1.四親近
c1.東方輪 006 阿シュク如来 ■ 無動如来
007 金剛サッタ菩薩 西 ■
008 金剛王菩薩 北 ■
009 金剛愛菩薩 南 ■
010 金剛喜菩薩 東 金剛善哉菩薩


金剛王菩薩

金剛王菩薩は梵名をバザララジャと云ひ、譯して金剛王と云ふ。密號を自性金剛又は執鉤金剛と稱す。東方阿シュク如來の四親近の一尊にして北方に住し、如來の四攝の徳を表示する菩薩なるが故に、百八名讃には不空王、妙覺、最上金剛王、金剛鉤の名を以て其の徳を讃す。
聖位經に曰く、「毘盧遮那如來内心に於いて金剛鉤四攝三摩地智を證得して自受用の故に乃至金剛王菩薩の形を成し、阿シュク如來の右邊の月輪に住す」と。又た略出經に曰く、「金剛鉤の契を結ぶが故に、能く速やかに一切如來を鉤引す」と。

金剛界曼荼羅成身會の像は、二手金剛拳に作し、腕を交へて抱き、微細會、羯磨會の像同じく、供養會は蓮上に三股鉤二本を竪てたるを兩手にて持す。又た金剛王儀軌には「身に四臂あり、上なる二臂は箭を端むる勢に住し、したの右手は仰げて心に當て、金剛杵(五股)を持ち下の左手は金剛拳を作し、腰の則に安住して金剛鈴を持ち、眉を顰めて口微笑し、白色にして五佛の冠を戴き、緋裙天衣にして月輪中蓮華座に半跏座す」と。
又た胎藏界曼荼羅金剛部院金剛持菩薩の右に持する像は、二手相叉え拳を作し、頭指を伸べ蓮華座に座す。

印相は二手を金剛拳にして胸を抱いて兩頭指を鉤して招く勢になすもの羯磨會の印にして、外縛して兩頭指を竪てゝ鉤の如くし、頭相去ること二三分するもの三昧耶會の印なり、又た供養會は外縛して右の脇に安ずるなり。眞言に曰く、羯磨會はオンバザララシャジャク、三昧耶會はアナウヤソハカ、供養會はキメヤウカツマキリ。

金剛サッタ菩薩

金剛サッタ菩薩は梵名をバザラサトバ或いはバザラサトバマカサトバと云ひ、譯して執金剛、金剛手、持金剛、持金剛具慧者、普賢サッタ、金剛手秘密主、金剛サッタ金剛手サッタ摩訶薩と云ふ。密號を大勇金剛又たは眞如金剛と稱し眞言宗に於ける付法八祖中の第二祖なり。
大樂軌に曰く「此の菩薩は本是れ普賢なり、毘盧遮那佛の二手の掌より親しく五智金剛杵を受け即ち灌頂を與へられ金剛手となる」と。又た五秘蔵訣に曰く「金剛サッタは是れ即ち普賢大菩薩の異名なり、亦一切如來の長子と名く、亦大阿闍梨と名く、又た此の菩薩は一切衆生の菩提心の本體にして其の性の堅固なること金剛の如くなれば金剛と名付け、一切衆生は此のサッタの加持力に由って發心す」と、又た五秘密儀軌には「金剛サッタとは是れ普賢即ち一切如來の長子なり、一切如來の菩提心なり、是れ一切如來の長子なり」と。
從って其の本誓多様にして、金剛界には十六大菩薩の首尊と成り、阿シュク如來の四親近としては其の第一と成り、理趣會に於いては中臺の主尊となり、胎藏界には金剛手院の主尊となり、又た大日如來内眷屬の主尊となり、付法八祖の中には其の二祖となる。
故に此の菩薩は一切衆生の代表にして大日如來を覺者の總體とすれば金剛サッタは迷者の總體にして吾人を代表する尊なり。

而して其の像は金剛界曼荼羅羯磨會及び理趣會にあっては、五股杵を斜に持して胸に當て、左手に金剛鈴を持して腰に置く、是れ金剛サッタの常の像にして、五股杵は五佛の三昧、鈴は一切衆生の長眠の夢を驚かしむるの意、又た五股杵は慧門の十六大菩薩を表し、鈴は金剛鈴菩薩の三昧にして、定門の十六菩薩を表示す、故に此の尊の一體に於いて三十七尊の總徳を具備し、大日如來と同體なるを標するものなり。又た供養會の像は兩手にて蓮華を持し、蓮上には獨股杵を莖としたる未敷蓮華を載せり。又た胎藏界の像は右に三股杵を持し、左を忿怒金剛拳にして胸に當つ。又た五秘密瑜伽法の本尊の像は、五尊一圓にして、その四尊は欲、觸、愛、慢の四金剛菩薩にして中尊金剛サッタの像容は右手斜に五股杵を持し、左手鈴を持し腰に當つ、五秘密軌に曰く、「身前に於いて金剛サッタ智身を想ひ、自身の如く觀ず、四印を以て圍繞す、同一月輪、同一蓮華にして各々本威儀に住し、標記を執持し、各々五佛の寶冠を戴く」と。
又た金剛サッタは金剛手菩薩にして、仁王經に於ける五大力菩薩の東方の尊なり、其の形相は「手に金剛杵を持ち、色の光を放つ」と。

印相は普通に用ふるものは、外五股印又は内五股印なるも、金剛界羯磨會は左を金剛拳にし腰に安し、右掌を伸べて大指を横たへ、五股を抽擲する勢にす。又た三昧耶會は外縛して中指を竪て合わせ、二大二小指を開き立つ五股形なり。供養會は外縛して心上に安す。眞言に曰く、三昧耶會はオンサンマヤサトバン、羯磨會はバザラサトバアク。
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